連載『米国特許法解説』を更新しました

連載・米国特許法解説_03

連載『米国特許法解説』を更新しました。

第2回:米国特許法の基本~米国特許法の法源~
http://beikokupat.com/us-patent/number2/

今回も濃い内容になっており、何度も読み返して勉強したいと思います。なお、以前ご紹介した阿川尚之著『憲法で読むアメリカ史(全)』(http://beikokupat.com/blog/?p=662)を読むと、この連載をより楽しむことができます。

米国特許業界におけるAI

RoboReview

昨年、GoogleがAI技術を利用したニューラル機械翻訳(GNMT)を導入し、翻訳業界に影響を与えつつあるようですが、米国特許業界にも、AIの波が押し寄せているようです。

http://www.abajournal.com/news/article/patent_document_robot_legal_review

この記事で紹介されているように、RoboReviewという製品は、これから米国出願しようとしてるクレームを過去に出願されたクレームと比較して、特許性があるかどうか予測してくれるというものです。また、SmartShellという製品は、オフィスアクションに対する反論について、過去に行われた同様の反論がどのような結果になったかを表す統計を示してくれるそうです。もちろん、どちらの製品も、書類フォーマットを自動的に作成する機能が搭載されており、米国の法律事務所の多くで使用されているProLawをもっと進化させた製品と言えるかもしれません。

四則演算に関する特許英語表現

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特許明細書では、四則演算に関する表現が出て来ることがあり、これを私がどのように英訳しているかをご紹介したいと思います。四則演算とは、足し算(加算、addition)、引き算 (減算、subtraction)、掛け算 (乗算、multiplication)、割り算 (除算、division) のことです。そして、加算の結果を和(sum)、減算の結果を差(difference)、乗算の結果を積(product)、除算の結果を商(quotient)といいます。例えば、「Xは、AにBを加算してYに送る」という原文があるとすると、XがYに送るのはAとBの和なので、the sumという表現を補足して”X adds B to A and sends the sum to Y”のように英訳します。この例では、原文に「和」という表現が隠れていますが、場合によっては「加算結果」という表現を使用して「Xは、AにBを加算して加算結果をYに送る」と明示されていることもあります。この場合でも、加算結果は和のことなので、上記と同じ英訳にしています。ここでthe sumと定冠詞が付いているのは、AとBの和は一つしかない、といった特定感が出るからです。クレームにおいては、lack of antecedent basisの問題があるため、いきなりthe sumとするのではなく、例えば最初に”a sum of A and B”や”a sum obtained by adding B to A”のように表現して、それ以降はthe sumとすることが考えられます。

最も便利なトラックボール

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トラックボールは欠かせない仕事ツール』において、ケンジントン社のトラックボールがいいと書きましたが、ケンジントン社のどのトラックボールがいいのかという質問をいただきました。私はこれまでケンジントン社のほぼすべてのトラックボールを試してきましたが、個人的に断然使いやすいのは、写真のSlimBlade Trackballという最上級モデルです。SlimBlade Trackballが非常に便利な点は、画面をスクロールするときに、画面右端のスクロールバーをクリックし続ける必要がなく、ただ画面上でボールを動かすだけで画面が上下に動くという点です。機能としてはノートPCのキーボード側にある操作パッドやトラックポイントと同じで、SlimBlade Trackballはこれらをもっと操作しやすくしたものだと思います。家電量販店で、数種類のトラックボールを使い比べることができるコーナーが設けられていることがあるので、ここでSlimBlade Trackballとその他とを使い比べてみるといいかも知れません。

新連載『米国特許法解説』

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当社のウェブサイトにおいて、『米国特許法解説』という連載が新しく始まりました。米国特許法を中心に、市販の本には書かれていない情報を含む様々な情報を紹介していく予定です。執筆を担当するのは、弁理士であり米国弁護士である小野康英先生です。小野先生は、当社のアドバイザー的存在で、日頃から様々な助言をいただいています。当社は、米国特許法などについて自分たちで日々研究していますが、やはりそれだけでは足らず、専門家による助言や情報提供が必要です。小野先生には、こういった役割を担っていただいており、非常にお世話になっています。今回、米国特許法に関する連載の執筆を依頼したところ、ご多忙にもかかわらず快く引き受けて下さいました。私は一読者として、毎回記事を読むのを非常に楽しみにしています。

連載『米国特許法解説』
http://beikokupat.com/us-patent/
第1回:米国特許の基本~米国特許法及び米国憲法の関係~
http://beikokupat.com/us-patent/number1/

米国特許の入門書

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本棚を整理していたら、『The Pocket Idiot’s Guide to Patents』という本が出てきました。この本は、新規性や非自明性、仮出願などの米国特許の基本が分かりやすく解説されている本です。書かれている英語も平易で理解しやすく、簡単に読み進められます。”Idiot’s Guide”シリーズは、著者によっては英語ネイティブでないと理解し難いようなユーモア表現などが散りばめられており、著者のノリについていけなくなることがありますが、『The Pocket Idiot’s Guide to Patents』の英語はクセがなく、こんな分かりやすい英語を仕事でも書きたいと思わせるものです。10年以上前に出版された本で、古くて参考にならない(してはいけない)情報も含まれていますが、特許の考え方の基本は変わらないと思われるので、現在でも米国特許の入門書として十分に役に立つと思います。

質問は択一形式又は多肢選択形式にする

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翻訳をしていると、原文の説明が分かりにくく感じることがよくあります。このようなとき、原文を最初から最後まで読めばどこかに理解へのヒントがあったりして原文の意図が類推できることもあれば、原文を最初から最後まで読んでもまったく理解できないこともあります。後者の場合、理解できないことは翻訳することができないので、クライアントに質問して原文の意図を確認するようにしています。

クライアントに質問するときに気をつけていることがあります。それは、昨年開いたセミナーでも言ったことですが、質問を択一形式又は多肢選択形式にすることです。択一形式とは、原文が2つの意味(A又はB)に解釈されるときに、原文で意図されているのはAですか?それともBですか?と質問することです。多肢選択形式とは、原文が3つ以上の意味に解釈されるときに、原文で意図されているのはこれらの選択肢のうちどれですか?と質問することです。どちらの形式も自分で選択肢を文章化するという作業が必要ですが、こうすることによって、担当者(忙しい人が多い)は、正しい選択肢を選ぶだけですみます。

これに対して、極力避けている質問形式として、オープンエンド形式(open-ended question)という形式があります。これは、例えば「これはどういう意味ですか?」のように、担当者に回答内容を丸投げする質問形式です。つまり、これは担当者に回答を一から作るという作業を強いる形式であり、これは結構な負担になることがあります。また、担当者のなかには、説明することが必ずしも上手ではない人がおり、オープンエンド形式の質問に対して自由に書かれた回答自体が理解しにくいことがあり、せっかく使命感をもって質問したにもかかわらず、質問する前よりも分からなくなってしまうことがあります。このようなことを避けるためにも、質問する際には択一形式又は多肢選択形式にしています。

トラックボールは欠かせない仕事ツール

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私にとってなくてはならない仕事ツールをご紹介します。パソコンで仕事をするとき、私はマウスの代わりにトラックボールを使っています。トラックボールは、マウスのように机の上でガチャガチャと動かす必要がなく、中心にある大きなボールを指先で動かすだけでカーソル移動とページスクロールができます。写真(上)のケンジントン社のトラックボールは特に便利で、人差し指と中指(の指先)だけでカーソル移動とページスクロールが自由自在にできます。この便利さに慣れると、たまにマウスを使ったときにマウスの使いにくさが際立って感じられます。トラックボールは私には欠かせない仕事ツールですが、世間ではあまり普及していないようで、これが不思議でなりません。以前、当社に銀行の方が来られたとき、トラックボールを見て「これは翻訳の機械ですか?」と聞かれたことがありました。ある意味そうですが。。。私はトラックボール好きが高じて、出張時にホテルなどで作業する際には、持ち運び便利な軽量版トラックボールをノートPCにつなげて使っています。

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どんなに忙しくても研究する時間をとる

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今週もほぼ毎日、早朝から深夜までずっと翻訳をしていました。普段仕事ばかりして、本を読むなどの研究をしないと進歩がないとはよく言われることです。進歩がないというのは自分では分かりにくいことですが、実際は怖いことだと私自身実感してきたので、毎日どんなに忙しくても研究の時間をとるようにしています(トレーニングの時間も)。当社は米国特許翻訳社という社名ですが、この社名にした理由の1つは、このような大それた社名にすることで、否が応でも米国特許について研究せざるを得ない状況に自分たちを追い込むことができると考えたからです。先日、お世話になっている方から『Patent Practice』というパテントバー受験用のテキストを譲り受けました。本業である翻訳とは直接は関係のないトピックが含まれているかも知れませんが、米国特許に関するあらゆることを知っておくことが当社の義務だと思っています。また、後々どんな情報が翻訳に役立つか分からないので、翻訳者としてはこんな本を読むべきだと自分で決めつけず、人から勧めらたものは先入観をもたずに読むことにしています。

内容に踏み込んだ翻訳をする

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このところ、早朝から深夜までずっと翻訳をしています。当社では基本的に社内で翻訳をすることにしており、一度に案件が増えすぎて社内で対応しきれなくなった場合にのみ、信頼できる外部の翻訳者さんに翻訳を依頼しています。今は割りと忙しい時期で、私も翻訳者としてフル稼働している上に、外部の翻訳者さんにも目一杯仕事を依頼している状況です。こういうときに更に翻訳依頼がきた場合は、納期を伸ばしてもらうか、それが無理な場合はお断りすることにしています。外部の翻訳者を増やして翻訳キャパを増やすことも可能ですが、付き合いが浅くまだ実力と人柄がよく分からない翻訳者に仕事を依頼するのは抵抗があります。また、翻訳を外注した場合、必ず社内で翻訳を隅から隅までチェックしており、出来の悪い翻訳だと修正するのに自分たちで翻訳するより時間がかかったりして何をやっているのか分からなくなります。外注した翻訳を文法や訳抜け、形式などのチェックのみ行ってクライアントに納品するという翻訳会社もあると思いますが、それだとここで詠まれている名川柳のようになります。もともとの原因と思われることが、『特許翻訳の実務』という本に書いてあります。

一部の翻訳会社や翻訳者は、迷ったら直訳あるいは逐語訳にするという態度で仕事をしているケースがあるが、直訳や逐語訳をすることによって内容が不明確になったり、かえって内容に意味が追加されたり、ひどい場合は、上の例のように意味が変わってしまう場合さえある。翻訳文において、翻訳先の言語を母語とする人たちが理解できなくなるようなことはあってはならないはずであるにもかかわらず、日本からくる翻訳文は何が書いてあるかさっぱり分からないと現地代理人から言われることが多いのは、このよう一部の翻訳会社や翻訳者の態度によるものである。(p.99)

当社がこのような仕事をすると、クライアントが当社に依頼してくれた意味がなくなり、この会社を始めた意味がなくなります。やはり、1件1件、原文をよく読みよく考え、技術的にも特許的にも内容にまで踏み込んだガチンコ勝負の翻訳をすることが当社の存在意義だと考えています。