methodとbyの組み合わせに注意

「グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語」を更新しました。

http://beikokupat.com/blog1/paquette-ipenglish/by/

今回は、byの誤用についてです。今回の記事をまとめていて、「~による」「~によって」を機械的にbyにすることの危険性を改めて感じました。

特に、29.1.3『「道具」が手段、過程、方法、などである場合』に書かれているように、methodとbyの組み合わせには注意が必要であることが分かります。特許明細書では、「~方法により・・・を行う」といった表現が頻出しますが、「~方法により」を”by … method”とするのはbyの誤用である可能性があるため、記事を一読してよく考えた方がいいと思います。

その他にも、「ここはbyでいいのか?」と迷うときに役立つ解説が満載です。

記事をまとめるのに丸一日かかりましたが、何度も読み直す価値のある(もとの本が秀逸なので)よい情報ソースができたと思っています。

コラム特許翻訳:断面を示す線「II-II」の「II」を対応する図面番号にする~37 CFR 1.84(h)(3)~

コラム特許翻訳を更新しました。

断面を示す線「II-II」の「II」を対応する図面番号にする~37 CFR 1.84(h)(3)~
http://beikokupat.com/blog1/column_patenttrans/cross_section/

今回は、図面の断面を示す線に付ける番号に関する原則についてまとめました。

この原則については、倉増一さんの「特許翻訳の基礎と応用」でも少し触れられていますが、今回の記事ではより詳しく、一次情報である規定37 CFR 1.84(h)(3)とこの規定に従った図面サンプルを記載しています。

断面を示す線は、特許明細書だけではなく特許図面にも記載される事項のため(正しい番号に修正する場合、明細書だけではなく図面も修正する必要があるため)、特許翻訳者が対応できる範囲外の問題と思われるかも知れませんが、原則を知っておくことは重要だと思い、今回記事にしてみました。

YouTubeライブセミナー第6回目:パテント・プロセキューション・ハイウェイ(PPH)における補正などの注意点

2021年2月9日に、ブライアン・エプスタイン米国弁護士による YouTubeライブセミナーの第6回目が開催されます。

今回は、パテント・プロセキューション・ハイウェイ(PPH)における補正などの注意点などがテーマとなっています。

今スライドの準備をしていますが、今回のセッションは個人的に非常に面白いです。USPTOにおいては、PPHは単に審査が早まるわけではないということが、エプスタイン弁護士の解説から分かると思います。私自身、解説を聞くのを非常に楽しみにしています。

セミナーは以下のURLからご覧いただけます。

https://youtu.be/TRRgQJflMuo

本を出版した感想

年の瀬になりました。今日は事務所に来て掃除をしています。普段は資料などが散乱している机の上を一気に片付けて、奇跡的に綺麗な状態に仕上げました。

今年は、新型コロナウィルスの流行で世間的に大変な1年でしたが、私個人としては、仕事以外の時間は、ほぼ本の出版準備のためだけに費やしたともいえる1年でした。

多くの方から温かい応援や協力をいただき、無事10月に出版することができました。お世話になった出版社は、かつて「特許翻訳の基礎と応用」というベストセラーを出した出版社です。

出版前に編集者さんと話していましたが、私の本は、ただでさえマニアックな感のある特許翻訳のなかでも、さらにマニアックな内容になっているため、ベストセラーの再来を狙うようなタイプの本ではないだろうと思っていました。

ただ、私の周辺の方々からは出版を望む声を多くいただき、私もこれまでに経験してきた特許翻訳実務を本にまとめると面白い本になるだろうと確信していました。

この思いが読者に伝わったのか、「【弁理士が選ぶ10冊】 知財「推し」本発掘隊 2021 結果発表! 」(https://toreru.jp/media/trademark/2342/)というところで私の本が好意的に紹介されたことを知り、とてもうれしく思っています。

今回、本の出版にあたり、編集者さんをはじめとした数人の別業界の方と知り合いました。それぞれのプロの仕事を目の当たりにすることができ、これがとても新鮮で、社会勉強になりました。

また、ここ数年ずっと進めていた本の出版計画をひとまず終えることができ、肩の荷が下りた気分です。これまでは、別のことをしていても、常に頭のどこかで 本のことを考えていました。計画を遂行したことにより次のステップに進む余裕ができたため、来年以降、また別の面白いと思うことをやっていきます。

新刊のご案内『特許翻訳者のための「米国特許クレーム作成マニュアル」』

この度、『特許翻訳者のための「米国特許クレーム作成マニュアル」』という本を出版しました。

本書は、米国出願用のクレーム翻訳について詳細に解説した本です。

本書の構成と特徴につきましては、以下をご覧ください。

<本書の構成と特徴>

本書の構成は、日本語で書かれたある特許明細書の請求項をまず原文に忠実に英訳し、これを米国特許クレームにリライトしていくという実践的なものになっています。

そして、「なぜこのようにリライトするのか?」について、ステップ・バイ・ステップ形式の詳細な説明を行っています(例えば、「プリアンブル」に関する説明は約10ページにも及んでいます)。

また、扱っている題材は、ティーバッグ(飲料バッグ)という多くの人にとって非常に馴染みがある日用品のため、技術的な予備知識なしに読むことができます。

さらに、ティーバッグを題材に、次のような主要なクレーム形式について翻訳する方法を解説しています。

・モノに関する独立クレーム(モノクレーム)
・モノクレームに従属するクレーム
・モノの製造方法に関するクレーム(方法クレーム)
・方法クレームに従属するクレーム

このように、新刊では、米国特許クレームについてしっかりと学べるようになっています(クレームだけではなく、明細書本文の翻訳例も記載しています)。

また、本書はいわゆる米国出願用翻訳に関する本ではありますが、説明の多くはPCT用翻訳やEP用翻訳にも応用できます。

例えば、以下の独立クレームについて英語で定義した文章において、withoutの前にコンマがあります。本書ではなぜここでコンマが必要かについて詳しく解説していますが、この解説は米国用・PCT用・EP用といった分類に関係なく当てはまります。

A claim that contains a complete description of the subject matter, without reference to any other claim.

本書のその他の特徴として、ほとんどの説明において根拠となる条文や文献を引用しています。引用文献としては、米国特許クレーム作成の指南書として名高い次の3冊を主に採用しています。

Faber on Mechanics of Patent Claim Drafting(Robert C. Faber著)
Patent Practice(Irving Kayton著)
Essentials of Patent Claim Drafting(Morgan D. Rosenberg著)

1番目のFaberは特に名著と言われています。今回の新刊プロジェクトは、Faberの内容を特許翻訳に応用するためのマニュアル本のようなものを作りたいという思いから始まりました。

Faberは、米国特許クレームに関するノウハウが詰まった1000ページを超える大著で、実務家や翻訳者のあいだでバイブル的存在として長年親しまれてきました。

その一方、Faberは、長すぎてどこを読んでいいか分からない、難解な説明部分がある、高価である(5万円前後)、英語で書かれている、などの理由で一部の学習者にとってハードルが高い存在となっています。

新刊では、Faberの内容を噛み砕いて紹介しつつ、これを参考に実際にクレームを作成(翻訳)していきます。

また、Faberをはじめとする上記文献の原文(英文)をスペースの許す限りたくさん記載してもらうよう出版社に尽力いただきました。

これにより、読者は新刊のなかで多くの分量の一次情報に触れることができ、ご自身の研究材料にできるようになっています。

さらに、「おまけ」として、「特許英語の基本をチェック」と題したコラムを計23コラム書いています。

コラムでは、英文明細書の形式や公報の表記方法などの形式に関する基本事項や、特許翻訳をする上でおさえておきたい(しかし間違いやすい)英文法の基本事項などをチェックできるようになっています。

コラムだけを読んでも、特許英訳の勘どころを押さえることができるように努めました。

<おわりに>

これまで、多くの翻訳者から、米国出願用の翻訳はどのようにしたらいいか分からない、といった声を聞いてきました。

また、「米国出願用の翻訳はこうすればいい」と明確に解説した本はいままでになかったように思われます。

本書では、信頼できる文献を参照したうえで、「こんなやり方もある」というアプローチ方法を提案しています。少しでもみなさまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

当社HPでの新刊紹介ページ:http://beikokupat.com/usclaim_drafting/
Amazonでの販売ページ:https://amzn.to/2HsXvWs
出版社の紹介ページ:https://www.kspub.co.jp/book/detail/5195611.html

BRI基準及びPhillips基準のいずれを用いても同じ結論になるとしたPower Integrations事件

小野康英先生(Westerman Hattori Daniels & Adrian, LLP)による連載『米国特許法解説』を更新しました。

第16回:米国特許法の基本~米国特許商標庁の手続におけるクレーム解釈(その4)~

http://beikokupat.com/us-patent/number16/

「BRI基準及びPhillips基準のいずれの基準を用いても同じ結論になる」という前回とは逆の内容です。今回の記事も、BRI基準とPhillips基準に関する、数少ない有益な情報源になると思います。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~as a resultとas the result~

「グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語」を更新しました。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~as a resultとas the result~

今回も記事を作りながら非常に勉強になりました。パケット先生もこの取り組みを喜んでくださっており、やり甲斐をもって続けています。

 

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語~according to~

「グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語」を更新しました。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~according to~

今回は、特許英語において頻出する表現であるaccording to(Chapter 3)についてまとめました。according toの誤用例とリライト例をいくつか記載しています。これらを何度も見比べて、according toの正しい用法の感覚をつかむ必要があると思います。

BRI基準及びPhillips基準のいずれを用いるかにより結論が異なると明言したPPC Broadband事件

小野康英先生(Westerman Hattori Daniels & Adrian, LLP)による連載『米国特許法解説』を更新しました。

第15回:米国特許法の基本~米国特許商標庁の手続におけるクレーム解釈(その3)~

第15回:米国特許法の基本~米国特許商標庁の手続におけるクレーム解釈(その3)~(2020年1月20日)

「BRI基準及びPhillips基準のいずれの基準を用いるかにより結論が異なると明言したPPC Broadband事件」という非常に面白い内容です。また、次のような事態が起こり得るとも解説されており、非常に興味深く読みました。

特許侵害事件においては、まず、連邦地裁で特許侵害訴訟が提起され、その後、USPTOで当事者系再審査(EPR: Ex Parte Reexamination)(35 U.S.C. 302-307)又はIPRの開始申請がなされるというケースがある。その場合、同一のクレーム中の同一の用語について、連邦地裁はその用語をPhillips基準に基づき解釈し、USPTOのPTABはその用語をBRI基準に基づき解釈するという事態が生じ得る。
「(2)連邦地裁におけるクレーム解釈及びUSPTOにおけるクレーム解釈」より