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先行詞の性質によって使う関係代名詞が変わる

コラム特許翻訳を更新しました。

関係代名詞②~先行詞の性質によってthatを使うかwhichを使うかが変わる~
http://beikokupat.com/blog1/column_patenttrans/that-which2/

今回は、関係代名詞①(http://beikokupat.com/blog1/column_patenttrans/that-which1/)からの続きになっています。関係代名詞①では、thatを限定用法として使い、whichを非限定用法として使う、というthatとwhichの使い分けについて考察しています。

今回の関係代名詞②では、同一の先行詞(例えば、claim 2)であっても、状況によってthatを使うかwhichを使うかが変わることについて考察しています。

その上で、非限定用法whichを使う際の注意点について、「特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために」(http://beikokupat.com/barlow/)を引用しながら説明しています。

“same”を使うときは5つのパターンに当てはまるか確認する

「グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語」を更新しました。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~same~
http://beikokupat.com/blog1/paquette-ipenglish/same/

今回は、Chapter 111のsameついてまとめました。特許翻訳においては、「同じ」や「同一」などの表現に対応するsameを使う場面が非常に多いですが、今回の記事をまとめていて、sameの誤用に注意しなければならないと改めて感じました。

sameの正しい用法には5つの基本パターンがあり、sameを使うときは、この5パターンに当てはまるかどうかを確認する必要があると思います。

また、sameは「同じ」「同一」などの日本語原文に対して使用されると思いますが、原文に「同じ」「同一」が記載されているからといって、必ずしもsameを使用しなければならないというわけではなく、むしろsameを使用することにより不自然な英文になることがある例も紹介されています。

パケット先生の説明にはいつも関心させられますが、今回も、5つの基本パターンという、sameの指針となる非常に有益な情報を得ることができました。

特許翻訳者にとって興味深い判例~Superguide Corp. v. DirecTV Enters., Inc. (Fed. Cir. 2004)~

コラム特許翻訳を更新しました。

“at least one of”の通常とは異なる解釈について~Superguide Corp. v. DirecTV Enters., Inc. (Fed. Cir. 2004)~
http://beikokupat.com/blog1/column_patenttrans/at-least-one-of/

特許翻訳において多用される表現である”at least one of”が議論された判例Superguide Corp.についてまとめました。

記事にも書いてある通り、”at least one of A, B, and C”は、通常、「Aのみ」「Bのみ」「Cのみ」「AとB」「AとC」「BとC」または「ABCすべて」と解釈されると思いますが、Superguide Corp.では、「Aのなかの少なくとも1つ」「Bのなかの少なくとも1つ」「Cのなかの少なくとも1つ」という意外な解釈がされています。

記事では、このような解釈に至った原因のいくつかを紹介しています。その1つとして、かの名著The Elements of Styleが引用されており、この意味でも特許翻訳者にとって興味深い判例になっています。

Superguide Corp.の解釈はイレギュラーな解釈だと思いますが、なぜこのような解釈になったのかを知っておくことは有益と思い記事にしました。

コラム特許翻訳:関係代名詞①~thatとwhichを使い分ける~

コラム特許翻訳を更新しました。

関係代名詞①:thatとwhichを使い分ける
http://beikokupat.com/blog1/column_patenttrans/that-which1/

英文ライティングにおいて基本でありながら非常に重要な事項である、thatとwhichの使い分けについて、シカゴマニュアルを引用しながら簡単にまとめています。

この記事は、『特許翻訳者のための米国特許クレーム作成マニュアル』の「特許英語の基本をチェック」というコラムの内容を再掲したものです。

特許英訳では、thatとwhichを使い分ける場面が頻出するため、この使い分け能力は特許英訳において必須の能力だと思っています。

thatとwhichをどのように使い分けるかについては、シカゴマニュアルの引用文に端的に書かれています。また、これよりもさらに詳しい説明を、『ワンランク上へ・特許英訳無料メール講座』(http://beikokupat.com/email_seminar/)の第5回「関係代名詞を正しく使う」で書いています。

コラム特許翻訳:名詞前の形容詞句をハイフンでつなぐ際の基本ルール

コラム特許翻訳を更新しました。

名詞前の形容詞句をハイフンでつなぐ際の基本ルール
http://beikokupat.com/blog1/column_patenttrans/hyphenation/

今回は、シカゴマニュアルが推奨するハイフンの使い方についてまとめました。

一般的に、名詞の前に形容詞句を配置する場合、例えば”small-animal hospital”のように、読み手に誤解を与えないように、形容詞句をハイフンでつなぐことが行われています。

ハイフンなしの”small animal hospital”だと、smallがanimalを修飾しているのか、それともhospitalを修飾しているのかが不明確になるため、意図した修飾関係が明確になるようにハイフンを有効に使う必要があります。

そもそも、”small-animal hospital”といった表現をしなくてすむような英文構成を考えるのが好ましいように思えますが、どうしてもハイフンを使用しなければならない状況は確かに起こります。

これは特許翻訳も同じで、まずハイフンを使わない表現ができないか考え、ハイフンを使わなければどうしようもない場合には、基本ルールにしたがって使う、という流れになると思います。

今回は、シカゴマニュアルに記載の基本ルールについてのみ扱っていますが、さらに複雑な場合(例:a Nobel Prize-winning chemist)の推奨ルールもあるので、これについてはまた別の機会にまとめてみたいと思っています。

コラム特許翻訳:断面を示す線「II-II」の「II」を対応する図面番号にする~37 CFR 1.84(h)(3)~

コラム特許翻訳を更新しました。

断面を示す線「II-II」の「II」を対応する図面番号にする~37 CFR 1.84(h)(3)~
http://beikokupat.com/blog1/column_patenttrans/cross_section/

今回は、図面の断面を示す線に付ける番号に関する原則についてまとめました。

この原則については、倉増一さんの「特許翻訳の基礎と応用」でも少し触れられていますが、今回の記事ではより詳しく、一次情報である規定37 CFR 1.84(h)(3)とこの規定に従った図面サンプルを記載しています。

断面を示す線は、特許明細書だけではなく特許図面にも記載される事項のため(正しい番号に修正する場合、明細書だけではなく図面も修正する必要があるため)、特許翻訳者が対応できる範囲外の問題と思われるかも知れませんが、原則を知っておくことは重要だと思い、今回記事にしてみました。

本を出版した感想

年の瀬になりました。今日は事務所に来て掃除をしています。普段は資料などが散乱している机の上を一気に片付けて、奇跡的に綺麗な状態に仕上げました。

今年は、新型コロナウィルスの流行で世間的に大変な1年でしたが、私個人としては、仕事以外の時間は、ほぼ本の出版準備のためだけに費やしたともいえる1年でした。

多くの方から温かい応援や協力をいただき、無事10月に出版することができました。お世話になった出版社は、かつて「特許翻訳の基礎と応用」というベストセラーを出した出版社です。

出版前に編集者さんと話していましたが、私の本は、ただでさえマニアックな感のある特許翻訳のなかでも、さらにマニアックな内容になっているため、ベストセラーの再来を狙うようなタイプの本ではないだろうと思っていました。

ただ、私の周辺の方々からは出版を望む声を多くいただき、私もこれまでに経験してきた特許翻訳実務を本にまとめると面白い本になるだろうと確信していました。

この思いが読者に伝わったのか、「【弁理士が選ぶ10冊】 知財「推し」本発掘隊 2021 結果発表! 」(https://toreru.jp/media/trademark/2342/)というところで私の本が好意的に紹介されたことを知り、とてもうれしく思っています。

今回、本の出版にあたり、編集者さんをはじめとした数人の別業界の方と知り合いました。それぞれのプロの仕事を目の当たりにすることができ、これがとても新鮮で、社会勉強になりました。

また、ここ数年ずっと進めていた本の出版計画をひとまず終えることができ、肩の荷が下りた気分です。これまでは、別のことをしていても、常に頭のどこかで 本のことを考えていました。計画を遂行したことにより次のステップに進む余裕ができたため、来年以降、また別の面白いと思うことをやっていきます。

BRI基準及びPhillips基準のいずれを用いても同じ結論になるとしたPower Integrations事件

小野康英先生(Westerman Hattori Daniels & Adrian, LLP)による連載『米国特許法解説』を更新しました。

第16回:米国特許法の基本~米国特許商標庁の手続におけるクレーム解釈(その4)~

http://beikokupat.com/us-patent/number16/

「BRI基準及びPhillips基準のいずれの基準を用いても同じ結論になる」という前回とは逆の内容です。今回の記事も、BRI基準とPhillips基準に関する、数少ない有益な情報源になると思います。

BRI基準及びPhillips基準のいずれを用いるかにより結論が異なると明言したPPC Broadband事件

小野康英先生(Westerman Hattori Daniels & Adrian, LLP)による連載『米国特許法解説』を更新しました。

第15回:米国特許法の基本~米国特許商標庁の手続におけるクレーム解釈(その3)~

第15回:米国特許法の基本~米国特許商標庁の手続におけるクレーム解釈(その3)~(2020年1月20日)

「BRI基準及びPhillips基準のいずれの基準を用いるかにより結論が異なると明言したPPC Broadband事件」という非常に面白い内容です。また、次のような事態が起こり得るとも解説されており、非常に興味深く読みました。

特許侵害事件においては、まず、連邦地裁で特許侵害訴訟が提起され、その後、USPTOで当事者系再審査(EPR: Ex Parte Reexamination)(35 U.S.C. 302-307)又はIPRの開始申請がなされるというケースがある。その場合、同一のクレーム中の同一の用語について、連邦地裁はその用語をPhillips基準に基づき解釈し、USPTOのPTABはその用語をBRI基準に基づき解釈するという事態が生じ得る。
「(2)連邦地裁におけるクレーム解釈及びUSPTOにおけるクレーム解釈」より

特許翻訳者は判例を知っておくべき

特許翻訳者にとって、判例を知っておくことは重要だと思っています。例えば、米国においてなぜミーンズクレームを避ける出願人と逆に積極的に使用する出願人がいるのか、あるいはなぜプログラムクレームを記録媒体クレームとして書かなければいけないのか、などは判例を知ることで理由が分かってくることが多く、クライアントの指示の意図を汲み取ることができます。

私自身の判例の勉強を兼ねて、米国の主要な判例の概要を数行でまとめ、『米国特許用語集』に加えていくことにしました。まずは、特許対象(特許適格性、patentable subject matter; 35 U.S.C.§101)に関する以下の3つの判例についてまとめました。

・Diamond v. Chakrabarty, 447 U.S. 303 (1980)
http://beikokupat.com/uspatent_glossary/diamond-v-chakrabarty/

・Mayo v. Prometheus, 566 U.S. 66 (2012)
http://beikokupat.com/uspatent_glossary/mayo-prometheus/

・Alice Corp. v. CLS Bank International, 573 U.S. 208 (2014)
http://beikokupat.com/uspatent_glossary/alice-cls/