一流の特許翻訳者になる

科学論文の英語用法百科 第2編: 冠詞用法

年末の恒例として、『表現のための実践ロイヤル英文法』を毎年読み返すことにしていますが、今年はグレン・パケット著『科学論文の英語用法百科 第2編: 冠詞用法』を読んで冠詞を体系的に学び直しています。1年以上前に発売された際に一通り読んだのですが、もう一度読み直したいと思っていました。冠詞に特化した本としては、翻訳者のあいだでは『技術英語の冠詞活用入門』が非常に有名です。私もそうでしたが、”A cat’s dead”と”The cat’s dead”の解説で冠詞の真髄を理解した人も多いと思います(子供が母親に”The cat’s dead”と言ったら、”A cat’s dead”と言いなさいと正された)。『科学論文の英語用法百科 第2編: 冠詞用法』は、『技術英語の冠詞活用入門』の内容をより深く、よりアカデミックなアプローチで解説しています。例文も豊富で、なかでも誤用例と添削例があるのがパケットシリーズのいいところだと思います。用語もアカデミックになっていて、例えば、私が普段好んで使っている「特定感」が「同定性」となっています。自分が稚拙な言葉を使っているような気分になり少し恥ずかしくなりました。パケットシリーズは難解すぎて途中で読むのをやめたということをよく聞きますが、私は、日本人がおかしやすい英文ミスについて他に類を見ないほど詳細に解説してあるという点で、パケットシリーズは素晴らしい本だと思っています。

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ジェームズ・バーロー著『特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために』

JamesBarlow

日英特許翻訳の重要ポイントが
簡潔にまとめられた秀逸な記事をご紹介します。

ご紹介するのは、
日本弁理士会が発行している「パテント」誌にかつて掲載された
『特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために』
という記事です。

著者であり米国特許弁護士である
ジェームズ・バーロー氏は、
米国特許庁の元審査官で、
日本で約3年にわたり特許出願の英語翻訳文を校正したご経験があります。

この経験を通して氏が気づいた英語翻訳文の問題点と
その解決案が示されているのが上記記事です。

例えば、次のようなポイントが例文とともに解説されています。

・文は短く書く
・簡潔に書く
・能動態で書く
・「that」と「which」を正しく使う

20年近く前の記事(「パテント」誌1998年4月号)ですが、
その内容の素晴らしさは今も変わることはなく、
特許翻訳者や特許実務家のための
一級品のテキストだと個人的に思っています。

しかし、掲載から20年近くが経ち、
記事の入手が難しくなっていました。

そこで、この度、関係各所の承諾を得て、
記事を当社のホームページに掲載し、
誰でも簡単にアクセスできるようにしました。

特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために

原文である英文と日本語訳の両方を
閲覧できるようになっています。

今回、記事を当社のホームページに掲載できたことで、
誰でも好きなだけ読むことができるようになりました。

20年近く前に書かれたものとは思えないほど、
ここで提起されている問題は今でも現実の問題として
感じられるのではないでしょうか。

今回の取り組みが皆さまのお役に立てば幸いです。

100%誤解のない文章を書くのは難しい

ネット上で見つけたある記事を読み、特許翻訳者として非常に考えさせられました。”25+ People Who Take Instructions Too Literally”(https://goo.gl/1N7zGB)という記事で、書いてある英語の指示が、意図した意味とは違う意味にとられた例がいくつか紹介されています。これらの例はどれも笑えるのですが、同時に、人に誤解を与えない文章を書くのは本当に難しいということを教えてくれます。例えば、次の写真の例では、pumpkin, log, river, fox, pondをアルファベット順に並べなさいという指示が書いてあります(appleに×印が付いているのは、appleが一番目にくることが示唆されていると思われます)。

alphabetical

この指示に従うと、fox, log, pond, pumpkin, riverという順番に並べるのが正解と思われますが、回答欄には、1つ1つの単語を構成するアルファベットをアルファベット順に並べ直したものが記入されています。小学生による回答のようで、大人の世界ではあり得ない回答かも知れませんが、指示「Write the following words in alphabetical order」が100%誤解のない文章ではないことがこの小学生によって証明されています。この指示をより誤解が少なくなるように修正するとしたら、WriteをPut, Place, Sort, Listなどに置き換えるといいかも知れませんが、それでもなお、写真のような対応をする小学生が出てくることも否定できません。

次の例は、ドレッシングのカバーのタブに書いてある指示「OPEN ON OTHER SIDE」に対して、わざわざナイフを取り出してきて底の部分を切り開いており、明らかにウケ狙いと思われますが、指示「OPEN ON OTHER SIDE」は下側の写真のように対応できなくもないということを示しています。そういう意味では、これも上の例と同じく考えさせられるものです。そもそも、なぜこんな指示が書いてあるのか気になります。指示が書いてあるタブの反対側にタブを設けて「OPEN ON THIS SIDE」と書くのではダメなんでしょうか。。。

otherside

米国特許庁では、Broadest Reasonable Interpretation (BRI)という方針のもとでクレームが審査されます。BRIは、クレームはリーズナブルな範囲で広く解釈されるという意味で、広く解釈される分、先行技術とバッティングする部分が大きくなり、それだけ審査に通りにくいということを示しています。上の2つの写真もBRIの例だと思います。

次の例では、指示のitを明確にすれば犬の悲劇は確実に避けられると思います。

dog

メールを送るときは一番伝えたいことをタイトルにする

methodbusinesswriting

『ABSTRACTを150ワード以内にまとめる』(http://beikokupat.com/blog/?p=1051)において、一番重要なことを見極めて短くまとめるということを書きました。この作業の練習を兼ねて日頃からできることがあります。それは、メールを送るときに、一番伝えたいことをタイトルにすることを心がけて実践することです。これは、私が過去に行ったセミナーでも紹介したことがあります。メールのタイトル部分を短く書くということは誰でも実践していることだと思いますが、多くのメールはタイトルに件名だけが書かれていて具体的な内容は本文を見なければ分からなくなっており、忙しい人への配慮のないものになっています。これを、短いのはそのままにして、一番伝えたいこと(結論とも言えます)をタイトル部分に書くようにします。これにより、メールの受け手はタイトルを見るだけで本文の大体の内容を掴める上、上記のように、一番重要なことを見極めて短くまとめるという、米国出願用の明細書翻訳を行う人にとって必要なスキルを身につける練習にもなります。

非常にシンプルな例を見てみます。仕事で取引先の担当者に会いに行くことになり、その日時を担当者にメールで伝える際、メールのタイトル部分に例えば「11月10日14時に御社に伺います」と書きます。これを、「御社訪問の件」などと書くと、担当者は本文を見なければ相手がいつ来社するのか分からない状態になります。また例えば、私の会社のトライアルを受けてくれた人がいて、その人に審査結果をメールで伝えるとすると、タイトル部分に「トライアル審査結果のご連絡」などと書いて勿体ぶらずに、「トライアル合格のご連絡」のようにストレートに書くかも知れません。

これをもっと複雑なサンプルを使って、しかも英文で練習できるという素晴らしい本があります。『メソッド方式 英文ビジネスライティング完全マニュアル』という本で、この本には、一番重要なことを見極めて短くまとめる方法の説明と、英文で行う練習問題が載っています。また、この本はエンジニア向けに書かれたものらしく、工学系の題材がふんだんに使われており、特許翻訳者や知財関係者にとっては馴染みやすいのではないかと思います。その他にも、この本には関係代名詞のthatとwhichの使い分けや三段論法など、英文ライティングの基本が詰め込まれています。

 

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ABSTRACTを150ワード以内にまとめる

日本語で書かれた基礎明細書に添付されている要約書を米国出願用のABSTRACTに翻訳する際、私の会社では、クレーム1の内容をABSTRACT用の形式に書き直したものをABSTRACTに記載しています。ABSTRACT用の形式の基本的なルールは『要約書の書き方』(https://goo.gl/n8GhBJ)に書いてある通りですが、そのなかでも「150ワード以内」というルールが最も有名だと思います。私の会社でも、もちろんこの150ワードルールを守りつつ上記作業を行っていますが、クレーム1の長さによっては、150ワード以内にまとめるのがなかなか難しいときがあります。つまり、クレーム1の長さが150ワードを大幅に超えているような場合、これをどのように150ワード以内にまとめるのか、という問題に直面します。このような場合でも、私の会社では必ず150ワード以内にまとめています。

具体的な方法としては、当たり前かもしれませんが、クレーム1のなかで一番重要と思われる限定を残し、これとは直接関係ないと思われる限定を削除してワード数を減らす、という方法を採用しています。この作業は、何が一番重要なのかを見極めることが必要になってくるため、発明の本質を理解できていることが前提となり、作業者の腕の見せどころとも言えます。また、どの限定を中心にまとめたのかを納品時にコメントするようにもしています。また、当たり前ですが、このようにまとめたABSTRACTの内容がクレーム1の内容と矛盾するようなことがないように注意しています。ABSTRACTは、クレーム解釈の際に重要視される内部証拠として参酌される可能性があるためです。そういう意味では、ABSTRACTを150ワード以内にまとめるという作業は責任重大な作業と言えます。

なお、「150ワード以内」であっても、例えば149ワードなどの150ワードに近いぎりぎりのワード数にはせず、できれば140ワード前後にしています。これは、方式審査に一貫性がないことを想定して、149ワードなどが目視で150ワードを超えているように判断され、いわれのないオブジェクションが発せられるのを避けるためです。

「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」の英訳は意外と難しい

複数の実施形態が記載されている特許明細書において、「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」といった説明が書かれていることがよくあります。この表現には様々なパターンがありますが、どれも英訳するとなると意外と難しく、時間がかかることがあります。私はこのような場合、多くの特許翻訳者がそうしているように、例えば以下のようにインターネットから英文例を拾ってきて、使えそうな表現の断片同士を組み合わせて意味の通る英文に再構築するという作業をしています。英作文上達の王道は英借文と言われますが、この場合はまさにそうだと思います。

It is to be noted that like reference numerals designate identical or corresponding components throughout the drawings.
https://www.google.com/patents/US9747982

… in which identical reference numerals are used to denote identical or substantially identical components between the first and second embodiments.
https://www.google.com/patents/US7267112

It should be noted that in the detailed description that follows, identical components have the same reference numerals, regardless of whether they are shown in different embodiments of the present invention.
http://www.freepatentsonline.com/y2017/0309416.html

The use of the same reference numerals indicates similar, but not necessarily, the same or identical components.
https://goo.gl/L7Fifb

Referring now to the drawings, wherein like reference numerals designate identical or corresponding parts throughout the several views, FIG. 1 illustrates an embodiment of a monitor system 100.
https://www.google.com/patents/US9699958

「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」などは、翻訳者にとって英訳にあまり時間をかけたくない部分かも知れません(【図面の簡単な説明】などもそうかも知れません)。しかしそのようなところであっても、しっかりと調べ考えて英訳したいと私は思っています。また、このように心がけているため、他の翻訳者が英訳したものを見ると、重要度が低いと思われる部分であってもしっかりと調べ考えて英訳されているかが分かり、その人の力量や仕事への姿勢が分かります。

なお、「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」は、「重複する説明を省略する」や「更なる説明を省略する」などの表現とセットになっていることがありますが、英語では、これらをセットにすることはあまりないようです。私は「説明を省略する」にピッタリの英文は”… will not be elaborated upon (here)”だと思っていますが、これは、「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」の文脈で使われるよりも、「この技術は周知のため詳述しない」といった文脈で使われるのをよく見ます。

Such interfaces are well known in the art and therefore will not be elaborated upon here.
http://www.google.com.pg/patents/CA2331221A1

Details of disk 10 will not be elaborated upon, as they are well known in the art.
http://www.google.tm/patents/US6771588?cl=en

All other components in the circuitry illustrated in FIG. 2 should be relatively obvious to one skilled in the art and will not be elaborated upon.
https://www.google.ch/patents/US4101844

ちなみに、以下は、日本語で書かれた基礎明細書を英訳したものと思われますが、2文目冒頭の”Therefore”に強烈な違和感を覚えます。

The overview and internal structure of the digital camera according to the present embodiment are identical to those of the digital camera according to the first embodiment. Therefore, they will not be elaborated upon further here.
http://www.google.sr/patents/US20080088733

1文目には、本実施形態のdigital cameraの概要と内部構造は第1実施形態のdigital cameraと同じだ、と書いてあります。2文目には、両者は同じだから、本実施形態での説明は省略する、と書いてあります。しかし、両者は同じだから後の方の説明を省略する、は意味が通らず(両者が同じだとなぜ後の方の説明を省略するのか?)、2文目を”Therefore”で始めるのは不自然だと思います。これが仮に「既出だから説明を省略する」なら意味が通るかと思いますが。「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」から話が逸れますが、上記”Therefore”は、日本語の「したがって、」や「~のため、」をそのまま英語にしたものかも知れません。「そのまま英語にする」ことの弊害が分かる一例です。

「その旨」とはどの旨か?

3ng

私の会社には、現地代理人に宛てたレターやEメールの文章を英訳して欲しいという依頼がよくきますが、和文に「・・・その旨ご連絡ください」といった表現がたまに出てきます。英訳する際は、「その旨」がどの旨かをはっきりと書くようにしています。ただし、「その旨」の内容が次の例のように長くなってしまうことがあり(だから短くて便利な「その旨」を使っている)、このような場合は、和文全体を再構築して「その旨」を使わなくてもすむような文章構成にした方がいいかも知れません。

なお、米国特許商標庁のオフィス・アクション(包袋情報)がPatent Application Information Retrieval (http://portal.uspto.gov/external/portal/pair)から入手可能である場合には、オフィス・アクションの写しの別途添付は不要ですので、その旨を記載してください。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pdf/highway_pilot_program/01.pdf

「はっきりと書く」に関連する面白い記事を見つけました。

「イラっとさせられる文章」に共通する3大NG
http://toyokeizai.net/articles/-/187658

曖昧なことを具体的に書くことで「全員が同じ解釈」できる文章にするという考えが記事全体を貫いており、これは英文ライティングにも応用できる考えだと思います。

四則演算に関する特許英語表現

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特許明細書では、四則演算に関する表現が出て来ることがあり、これを私がどのように英訳しているかをご紹介したいと思います。四則演算とは、足し算(加算、addition)、引き算 (減算、subtraction)、掛け算 (乗算、multiplication)、割り算 (除算、division) のことです。そして、加算の結果を和(sum)、減算の結果を差(difference)、乗算の結果を積(product)、除算の結果を商(quotient)といいます。例えば、「Xは、AにBを加算してYに送る」という原文があるとすると、XがYに送るのはAとBの和なので、the sumという表現を補足して”X adds B to A and sends the sum to Y”のように英訳します。この例では、原文に「和」という表現が隠れていますが、場合によっては「加算結果」という表現を使用して「Xは、AにBを加算して加算結果をYに送る」と明示されていることもあります。この場合でも、加算結果は和のことなので、上記と同じ英訳にしています。ここでthe sumと定冠詞が付いているのは、AとBの和は一つしかない、といった特定感が出るからです。クレームにおいては、lack of antecedent basisの問題があるため、いきなりthe sumとするのではなく、例えば最初に”a sum of A and B”や”a sum obtained by adding B to A”のように表現して、それ以降はthe sumとすることが考えられます。

質問は択一形式又は多肢選択形式にする

questions

翻訳をしていると、原文の説明が分かりにくく感じることがよくあります。このようなとき、原文を最初から最後まで読めばどこかに理解へのヒントがあったりして原文の意図が類推できることもあれば、原文を最初から最後まで読んでもまったく理解できないこともあります。後者の場合、理解できないことは翻訳することができないので、クライアントに質問して原文の意図を確認するようにしています。

クライアントに質問するときに気をつけていることがあります。それは、昨年開いたセミナーでも言ったことですが、質問を択一形式又は多肢選択形式にすることです。択一形式とは、原文が2つの意味(A又はB)に解釈されるときに、原文で意図されているのはAですか?それともBですか?と質問することです。多肢選択形式とは、原文が3つ以上の意味に解釈されるときに、原文で意図されているのはこれらの選択肢のうちどれですか?と質問することです。どちらの形式も自分で選択肢を文章化するという作業が必要ですが、こうすることによって、担当者(忙しい人が多い)は、正しい選択肢を選ぶだけですみます。

これに対して、極力避けている質問形式として、オープンエンド形式(open-ended question)という形式があります。これは、例えば「これはどういう意味ですか?」のように、担当者に回答内容を丸投げする質問形式です。つまり、これは担当者に回答を一から作るという作業を強いる形式であり、これは結構な負担になることがあります。また、担当者のなかには、説明することが必ずしも上手ではない人がおり、オープンエンド形式の質問に対して自由に書かれた回答自体が理解しにくいことがあり、せっかく使命感をもって質問したにもかかわらず、質問する前よりも分からなくなってしまうことがあります。このようなことを避けるためにも、質問する際には択一形式又は多肢選択形式にしています。

内容に踏み込んだ翻訳をする

jitsumu

このところ、早朝から深夜までずっと翻訳をしています。当社では基本的に社内で翻訳をすることにしており、一度に案件が増えすぎて社内で対応しきれなくなった場合にのみ、信頼できる外部の翻訳者さんに翻訳を依頼しています。今は割りと忙しい時期で、私も翻訳者としてフル稼働している上に、外部の翻訳者さんにも目一杯仕事を依頼している状況です。こういうときに更に翻訳依頼がきた場合は、納期を伸ばしてもらうか、それが無理な場合はお断りすることにしています。外部の翻訳者を増やして翻訳キャパを増やすことも可能ですが、付き合いが浅くまだ実力と人柄がよく分からない翻訳者に仕事を依頼するのは抵抗があります。また、翻訳を外注した場合、必ず社内で翻訳を隅から隅までチェックしており、出来の悪い翻訳だと修正するのに自分たちで翻訳するより時間がかかったりして何をやっているのか分からなくなります。外注した翻訳を文法や訳抜け、形式などのチェックのみ行ってクライアントに納品するという翻訳会社もあると思いますが、それだとここで詠まれている名川柳のようになります。もともとの原因と思われることが、『特許翻訳の実務』という本に書いてあります。

一部の翻訳会社や翻訳者は、迷ったら直訳あるいは逐語訳にするという態度で仕事をしているケースがあるが、直訳や逐語訳をすることによって内容が不明確になったり、かえって内容に意味が追加されたり、ひどい場合は、上の例のように意味が変わってしまう場合さえある。翻訳文において、翻訳先の言語を母語とする人たちが理解できなくなるようなことはあってはならないはずであるにもかかわらず、日本からくる翻訳文は何が書いてあるかさっぱり分からないと現地代理人から言われることが多いのは、このよう一部の翻訳会社や翻訳者の態度によるものである。(p.99)

当社がこのような仕事をすると、クライアントが当社に依頼してくれた意味がなくなり、この会社を始めた意味がなくなります。やはり、1件1件、原文をよく読みよく考え、技術的にも特許的にも内容にまで踏み込んだガチンコ勝負の翻訳をすることが当社の存在意義だと考えています。