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「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」の英訳は意外と難しい

複数の実施形態が記載されている特許明細書において、「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」といった説明が書かれていることがよくあります。この表現には様々なパターンがありますが、どれも英訳するとなると意外と難しく、時間がかかることがあります。私はこのような場合、多くの特許翻訳者がそうしているように、例えば以下のようにインターネットから英文例を拾ってきて、使えそうな表現の断片同士を組み合わせて意味の通る英文に再構築するという作業をしています。英作文上達の王道は英借文と言われますが、この場合はまさにそうだと思います。

It is to be noted that like reference numerals designate identical or corresponding components throughout the drawings.
https://www.google.com/patents/US9747982

… in which identical reference numerals are used to denote identical or substantially identical components between the first and second embodiments.
https://www.google.com/patents/US7267112

It should be noted that in the detailed description that follows, identical components have the same reference numerals, regardless of whether they are shown in different embodiments of the present invention.
http://www.freepatentsonline.com/y2017/0309416.html

The use of the same reference numerals indicates similar, but not necessarily, the same or identical components.
https://goo.gl/L7Fifb

Referring now to the drawings, wherein like reference numerals designate identical or corresponding parts throughout the several views, FIG. 1 illustrates an embodiment of a monitor system 100.
https://www.google.com/patents/US9699958

「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」などは、翻訳者にとって英訳にあまり時間をかけたくない部分かも知れません(【図面の簡単な説明】などもそうかも知れません)。しかしそのようなところであっても、しっかりと調べ考えて英訳したいと私は思っています。また、このように心がけているため、他の翻訳者が英訳したものを見ると、重要度が低いと思われる部分であってもしっかりと調べ考えて英訳されているかが分かり、その人の力量や仕事への姿勢が分かります。

なお、「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」は、「重複する説明を省略する」や「更なる説明を省略する」などの表現とセットになっていることがありますが、英語では、これらをセットにすることはあまりないようです。私は「説明を省略する」にピッタリの英文は”… will not be elaborated upon (here)”だと思っていますが、これは、「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」の文脈で使われるよりも、「この技術は周知のため詳述しない」といった文脈で使われるのをよく見ます。

Such interfaces are well known in the art and therefore will not be elaborated upon here.
http://www.google.com.pg/patents/CA2331221A1

Details of disk 10 will not be elaborated upon, as they are well known in the art.
http://www.google.tm/patents/US6771588?cl=en

All other components in the circuitry illustrated in FIG. 2 should be relatively obvious to one skilled in the art and will not be elaborated upon.
https://www.google.ch/patents/US4101844

ちなみに、以下は、日本語で書かれた基礎明細書を英訳したものと思われますが、2文目冒頭の”Therefore”に強烈な違和感を覚えます。

The overview and internal structure of the digital camera according to the present embodiment are identical to those of the digital camera according to the first embodiment. Therefore, they will not be elaborated upon further here.
http://www.google.sr/patents/US20080088733

1文目には、本実施形態のdigital cameraの概要と内部構造は第1実施形態のdigital cameraと同じだ、と書いてあります。2文目には、両者は同じだから、本実施形態での説明は省略する、と書いてあります。しかし、両者は同じだから後の方の説明を省略する、は意味が通らず(両者が同じだとなぜ後の方の説明を省略するのか?)、2文目を”Therefore”で始めるのは不自然だと思います。これが仮に「既出だから説明を省略する」なら意味が通るかと思いますが。「同一の構成要素には同一符号を付し・・・」から話が逸れますが、上記”Therefore”は、日本語の「したがって、」や「~のため、」をそのまま英語にしたものかも知れません。「そのまま英語にする」ことの弊害が分かる一例です。

『下町ロケット』のTBS版とWOWOW版

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テレビドラマ『下町ロケット』は、“Flash of Genius”(http://beikokupat.com/blog/?p=848)とともに、特許が重要テーマになっている数少ないドラマの1つで、TBS版とWOWOW版とがあります。先日、WOWOW版を初めて観ました。数年前に放送されたTBS版を観てハマり、WOWOW版も観たいとずっと思っていました。TSUTAYAでDVDを全話分借り、先週のバリ島旅行のときに移動中の飛行機内で観ました。TBS版は、演技や演出を大げさにしてエンターテイメント性を出しているような印象でしたが(これはこれで面白かったですが)、WOWOW版は、よりシリアスな社会派ドラマとなっています。主人公の社長・佃航平の性格も対照的で、TBS版では熱血漢であるのに対し、WOWOW版では内省的な印象を受けました。本来根暗な私にとっては、どちらかというと後者の佃航平の方が親しみがもてたように思います。また、WOWOW版は、TBS版と違い、ロケットエンジンのバルブシステムを開発するロケット編のみが描かれ、心臓弁を開発するガウディ編は描かれていません。私が知る限り、WOWOW版はAmazonビデオで視聴でき、TBS版はhuluで視聴できます。

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同じホテルチェーンに泊まり続ける

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バリ島に行ってきました。島内にあるアグン山という火山が噴火するかも知れないという外務省からの注意喚起があり(http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2017C201.html)、旅行のキャンセルが相次いだようですが(https://www.jiji.com/jc/article?k=2017092700891&g=int)、旅行者が減って穴場になれば喜ばしく、また噴火したらしたで面白い経験になるだろうと思い、自己責任で旅行を強行しました。幸い滞在中の噴火はありませんでしたが、初日は空港周辺が悪天候で、乗っていた飛行機がなかなか着陸できず、空港上空を1時間以上旋回するという別の面白い経験をすることができました。

私は、海外旅行するとき、週末に連泊すると1泊分が無料になるという、いくつかのメジャーなホテルチェーンが採用している制度を利用しています。今回もこの制度を利用しました。以前は、ホテルの宿泊代を比較できるサイトをチェックしてできるだけ安く泊まれるホテルを探していました。しかし今は、気に入ったホテルの会員になり、国内・海外を問わず、どこに行ってもこのホテルチェーンを利用しています。会員になることで上記制度を利用できる上、泊まれば泊まるほどロイヤルティーが評価されてポイントの還元率が高くなり、長期的に見て安上がりになることが分かりました。

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米国特許法の学習者は持っておきたい辞書

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『第3回:米国特許法の基本~事実問題及び法律問題~』(http://beikokupat.com/us-patent/number3/)において、『英米法辞典』(東京大学出版会、田中英夫編集)を使って「コモン・ロー」などの法律用語が解説されています。『英米法辞典』は、米国特許法の学習者向けに推奨されることが多い辞典の1つで、私も1冊持っています。「コモン・ロー」「エクイティ」など、普通の辞書の定義ではよく分からないような法律用語が非常に詳しく解説されており、この辞典を持っていると、日々の仕事をやっていく上で頼れるものがあるという安心感があります。

法律について「知らないことを英語で知る」ために、英語で書かれた法律辞典も手元に置いています。私が持っているのは、「Black’s Law Dictionary」という辞典の卓上版です。これも『英米法辞典』同様に解説が詳しく、定義をさっと調べるというよりも、じっくりと読む類いのものです。カバーする用語の範囲も広く、例えば、pre-AIAの§102(b)などに対して使われる”statutory bar”が載っている辞典は、私が知る限り「Black’s Law Dictionary」(卓上版)だけです。