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今年も大きな出会い

「安藤忠雄展―挑戦―」の特設売り場で買った本『安藤忠雄 仕事をつくる』を、今週ずっと仕事の合間に読んでいました。安藤氏のシンプルで美しい建築の裏には、泥臭い作業と地道な交渉事があることを改めて知り、なぜか元気づけられました。また、安藤氏の作品は、決して彼一人の力や才能でできたものではなく、チームとしての多くの人の助けがなければ成し得なかったことも改めて知りました。今後、会社をもっと強いチームに育てたいと思っている私にとって、良い本との出会いでした。

チームといえば、毎回欠かさず観た今年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』は、井伊家という弱小チームが戦国時代を生き延びていく様子が描かれ、零細企業を運営している者としては、領主・井伊直虎にシンパシーを感じずにはいられませんでした。小さなチームをうまく続けていくための一つのキーポイントは、人を大切にするということのようです。

人を大切にするといえば、今年も幸いにして、仕事上の良い出会いがいくつかありました。なかには、「新たな出会いは残念な結果になることも往々にしてあるのですが、今年は大島さんにお会いできて本当に良かったと思っています。」と言ってくださった方もいました。『大きな出会い』でも書いたように、こういう出会いを大切にすることが当社のような弱小チームにとって重要なことはもちろん、損得抜きに、こういった方を大切にしていきたいと心底思っています。家族以外で大切にしたいと思える人ができたことは、会社を始めて本当に良かったと思えることの1つです。

建築英文記事は構造表現の勉強になる

大きな出会い

 

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Federal Circuitで最も多く引用された判例

Patently-Oに掲載された“Most Cited Federal Circuit Decisions 2014-2017”という記事に、2014年から2017年の間にFederal Circuit(米国連邦巡回区控訴裁判所)で最も多く引用された12の判例が載っていました。

https://patentlyo.com/patent/2017/10/cited-federal-circuit-decisions.html

Most Cited Federal Circuit Decisions 2014-2017

ここに書いてあるように、12の判例のうち、実に8もの判例がeligibilityに関する判例だったということです。eligibilityとは、米国特許法第101条の特許主題適格性のことを指し、101条に挙げられている4つのカテゴリー(process, machine, manufacture, composition of matter)に当てはまる発明のみが特許を取得することができるというものです。

35 U.S. Code §101 – Inventions patentable
Whoever invents or discovers any new and useful process, machine, manufacture, or composition of matter, or any new and useful improvement thereof, may obtain a patent therefor, subject to the conditions and requirements of this title.
新規かつ有用なプロセス、機械、製造物若しくは組成物、又はそれらについての新規かつ有用な改良を発明又は発見した者は、本特許法の定める条件及び要件に従って、それらについて特許を取得することができる。(『新米国特許法 増補版』より)

eligibilityに関する判例がFederal Circuitで頻繁に引用されたということは、一度特許になった発明が、そもそも特許を取得できるカテゴリーの発明であったのか?ということが、Federal Circuitで頻繁に争点になったということを示していると思います。こういう現実は、普段、出願用の翻訳ばかりを行っている翻訳者にはなかなか気づきにくいところかも知れません。また、eligibilityは、翻訳者の力量で解決できる問題ではないと言えるため、翻訳者はただ翻訳しろといわれたものをそのまま翻訳するしかない、という考え方もあります(この考え方が大多数です)。ただ、翻訳者は、英文明細書という内部証拠(intrinsic evidence)を作るという非常に重要な役割を果たす人々です。自分が翻訳者として関わる発明が、将来どのような問題に直面する可能性があるかについて知っておくことは重要だと思っています。

建築英文記事は構造表現の勉強になる

六本木の国立新美術館で開催されている「安藤忠雄展―挑戦―」に行ってきました。

安藤忠雄展 ―挑戦―

安藤忠雄展 ―挑戦―

建築家・安藤忠雄氏がこれまでに手掛けた国内外の建築を模型や写真、映像などで紹介する大規模な展覧会です。私は、展示物のなかでどうしても見たいものがあったので、今回の展覧会に行くのをずっとを楽しみにしていました。見たかったのは、「光の教会」という安藤氏の代表作の一つを、本物と同じ材料(コンクリート)を使って、しかも原寸大で再現したものです。コンクリートの壁に十字架型の切り込みが入っていて、これにより外から差す光が十字架型になるという素敵すぎる建物で、本物は大阪・茨木市にあります。本物は、建主の意向で十字架の中にガラスが張ってありますが、設計当初の案では、十字架から外の光とともに空気も入ってくるように、ガラス等はなく、内と外の仕切りがない状態になっていたそうです。再現された「光の教会」は、設計案通りの、ガラスのないものになっていました。いい建物を見ることができ、中に入ることもできて、建築好きとしては気分が上がりました。

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私は建築が好きで、建築に関する英文記事をよく読みます。以前書いた『ファッション記事は構造表現の勉強になる』と同様、建築記事は構造表現の宝庫で、英文特許明細書において参考になりそうな表現に出会うことが頻繁にあります。私がよくチェックしているのは、ArchitectureWeekという建築サイトです。世界中にある現代建築物が写真とともに解説されています。記事の長さがちょうどよく、仕事の合間の息抜きなどにもってこいの長さだと思います。あと、建築がテーマの小説としておすすめなのが、Ayn Randという作家の「the Fountainhead」で、『こんな面白い小説がある!』で紹介しています。

ArchitectureWeek

ArchitectureWeek

ファッション記事は構造表現の勉強になる

こんな面白い小説がある!

科学論文の英語用法百科 第2編: 冠詞用法

年末の恒例として、『表現のための実践ロイヤル英文法』を毎年読み返すことにしていますが、今年はグレン・パケット著『科学論文の英語用法百科 第2編: 冠詞用法』を読んで冠詞を体系的に学び直しています。1年以上前に発売された際に一通り読んだのですが、もう一度読み直したいと思っていました。冠詞に特化した本としては、翻訳者のあいだでは『技術英語の冠詞活用入門』が非常に有名です。私もそうでしたが、”A cat’s dead”と”The cat’s dead”の解説で冠詞の真髄を理解した人も多いと思います(子供が母親に”The cat’s dead”と言ったら、”A cat’s dead”と言いなさいと正された)。『科学論文の英語用法百科 第2編: 冠詞用法』は、『技術英語の冠詞活用入門』の内容をより深く、よりアカデミックなアプローチで解説しています。例文も豊富で、なかでも誤用例と添削例があるのがパケットシリーズのいいところだと思います。用語もアカデミックになっていて、例えば、私が普段好んで使っている「特定感」が「同定性」となっています。自分が稚拙な言葉を使っているような気分になり少し恥ずかしくなりました。パケットシリーズは難解すぎて途中で読むのをやめたということをよく聞きますが、私は、日本人がおかしやすい英文ミスについて他に類を見ないほど詳細に解説してあるという点で、パケットシリーズは素晴らしい本だと思っています。

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ジェームズ・バーロー著『特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために』

JamesBarlow

日英特許翻訳の重要ポイントが
簡潔にまとめられた秀逸な記事をご紹介します。

ご紹介するのは、
日本弁理士会が発行している「パテント」誌にかつて掲載された
『特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために』
という記事です。

著者であり米国特許弁護士である
ジェームズ・バーロー氏は、
米国特許庁の元審査官で、
日本で約3年にわたり特許出願の英語翻訳文を校正したご経験があります。

この経験を通して氏が気づいた英語翻訳文の問題点と
その解決案が示されているのが上記記事です。

例えば、次のようなポイントが例文とともに解説されています。

・文は短く書く
・簡潔に書く
・能動態で書く
・「that」と「which」を正しく使う

20年近く前の記事(「パテント」誌1998年4月号)ですが、
その内容の素晴らしさは今も変わることはなく、
特許翻訳者や特許実務家のための
一級品のテキストだと個人的に思っています。

しかし、掲載から20年近くが経ち、
記事の入手が難しくなっていました。

そこで、この度、関係各所の承諾を得て、
記事を当社のホームページに掲載し、
誰でも簡単にアクセスできるようにしました。

特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために

原文である英文と日本語訳の両方を
閲覧できるようになっています。

今回、記事を当社のホームページに掲載できたことで、
誰でも好きなだけ読むことができるようになりました。

20年近く前に書かれたものとは思えないほど、
ここで提起されている問題は今でも現実の問題として
感じられるのではないでしょうか。

今回の取り組みが皆さまのお役に立てば幸いです。