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料理関係の英文記事は方法表現の勉強になる

何気なく読み始めたスターバックスに関する英文記事に、特許翻訳において特に方法を表現する際に役立ちそうな表現がたくさん含まれていました。忘備録としてここに書いておきたいと思います。

http://www.thisisinsider.com/tips-from-starbucks-baristas-2017-12

I was a Starbucks barista for 4 years — here are the biggest things I learned

Guaranteed, Starbucks Gold members can pinpoint the memory of the first time they laid eyes on a beautifully layered, two-toned iced caramel macchiato. Most people’s first inclination upon receiving the cup is to swirl their straw in circles, mixing the two layers of espresso and milk to create a uniform creamy brown-colored coffee drink.

上の2つの文章のうち、2文目(Most people’s …)は、多くの人がキャラメルマキアートを飲むときにやってしまいがちな行動で、ストローで全体をかき混ぜることが残念な行動として紹介されています。この文章の構造(swirl …, mixing … to create)は、何かを作ったりする際の表現として応用が効く(使い回せる)のではないかと思います。また、ここにも、『特許翻訳者のあるべき姿』で紹介した“… is to動詞(ここではswirl)”という便利表現が使われています。

次の文章は、複数の材料を順番に加えていって何かを作るための説明文として英借文できるかも知れません。“to start”は、日本語明細書の「まず」として使えそうです。

A caramel macchiato is made with vanilla syrup to start, then milk, then espresso, and is finished with a special crosshatched pattern of caramel drizzle.

次の文章は、構造物の構成要素を列挙する際にコロンが使用されている例です。

An espresso shot is made up of three parts: the heart (the dark brown base), the body (the middle layer), and the crema (the creamy, beautiful foam topper that provides a bit of sweetness).

次の文章は、上記記事とは別のスタバ関連記事からの抜粋です。“in either mocha or Frappuccino form”の“in … form”は「・・・形状で」「・・・の形態で」といった意味で私もよく使っています(formは無冠詞)。

http://www.thisisinsider.com/starbucks-holiday-drinks-around-the-world-2017-11

12 Starbucks holiday drinks you won’t find in the US

Baristas mix white chocolate with sour raspberries in either mocha or Frappuccino form, then top a dollop of whipped cream with the same ingredients.

記事の至るところで、“top”が動詞や形容詞で使われています。「てっぺん」にあるものを説明したり、「てっぺん」に何かを施したりするときに使えるかも知れません。

Starbucks closed its Teavana stores earlier this year, but the brand name teas are still available. Malaysia mixed the black tea with apple juice to create a special flavor for the holidays. It’s topped with cinnamon spice foam.

上記の記事に限らず、料理の作り方が書いてある記事は、「動き」を伴う表現が多く、同じく「動き」を伴う表現が多い特許の方法表現の参考になると私は思っています。

特許翻訳者のあるべき姿

 

 

 

日英特許翻訳で「売れる」ためのスキル

以前のブログ記事『洋書を読まない特許翻訳者の特徴』において、日英特許翻訳者にとっての洋書を読むことの重要性について書きました。しかし、特許翻訳者を目指す方で、洋書を読んだことがない、洋書を読むのが苦手という方を何人も見てきました。そんな方に対して言いたいことは、心配いりません、現実は、洋書が読めることは日英特許翻訳の仕事をしていく上で必須要素ではありません、ということです。洋書が読めなくても、その他のスキルでもって日英特許翻訳の仕事を受け続けている人が大勢います。以下、この「その他のスキル」について書きたいと思います。

当社は、『特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために』に書かれているように、例えば米国特許訴訟において、英語しか読めない陪審員にとって分かりやすい英語が書けることを目指しています(これを仮にネイティブ指向と呼びます)。そのために、日常的に洋書やインターネットの英文記事などを読んで良い英文に触れておくことは重要だと考えています。その一方で、日本人のお客様にとって読みやすい英語を書くことも、売れる翻訳者としての一つスキルと言えると思います。洋書から拾ってきたお客様に馴染みがない英語表現を使うよりも、ジーニアス英和辞典で簡単に調べられるような表現を使う方が、お客様思いのおもてなしの翻訳と言えるかも知れません(これを仮にお客様指向と呼びます)。また例えば、『あの手・この手の特許翻訳―誰でも使えるパソコン活用術入門』には、著者が心がけていることとして、原文の語順に訳文の語順を合わせることが書かれています。これも、お客様が原文と訳文を見比べながらチェックしやすいようにというお客様指向の翻訳の一例です。たとえ、お客様指向の翻訳が『特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために』で指摘されているような数々の問題を引き起こしてきたとしても、それはお客様に求められたものを提供してきた結果であり、お客様に求めにきちんと応える翻訳者が売れる翻訳者と言えるのかも知れません。どんな商売も、潔癖さを求めるよりも、(言い方は悪いですが)清濁併せ呑む態度で臨んだ方がお客様に好まれるのは明らかだと思います。よく、「お金に色はない」と言われます。例えば、10万円分の翻訳の仕事を依頼されたとして、ネイティブ指向の翻訳とお客様指向の翻訳のどちらをしたとしても、銀行口座に振り込まれるのは同じ10万円であって、この10万円には何の違いもなく、どちらも翻訳者が貴重な時間と労力を注ぎ込んで生み出した尊い10万円です。

「翻訳者あるある」として、次のようなものがあります。会合などで、異業種の人(社会的地位の高いおじさまが多い)に、翻訳という仕事は、言語だけでなく文化も理解している人でないと務まらない、という「有り難い」アドバイスをいただくというものです。しかし、お客様指向の日英特許翻訳では、ここまでできなくてもやっていけるという『特許翻訳者のあるべき姿』とは程遠い現実があります。当社は、お客様指向の翻訳もネイティブ指向の翻訳もどちらもできます。ネイティブ指向の翻訳を求められたときに、上辺だけでなく本当に使える翻訳を提供できる翻訳者がどれだけいるか(『育たない特許翻訳者、育てない特許事務所-翻訳とは意訳なり─』)。そんな翻訳者になれるように、日々研究を重ねています。

洋書を読まない特許翻訳者の特徴

特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために

特許翻訳者のあるべき姿

※当社はアマゾン・アソシエイトに登録しており、上記リンクからの購入により当社に紹介料が入る仕組みになっています。紹介料は当社ホームページの運営費に充てています。

MPEPを盲信してはいけない

連載『米国特許法解説』を更新しました。

第4回:米国特許法の基本~MPEPの法規範性~

第4回:米国特許法の基本~MPEPの法規範性~

昨年末にWesterman Hattori Daniels & Adrian, LLPに移籍された小野康英先生が、渡米準備などで非常にお忙しいなか原稿を書いてくださいました。以前小野先生に、MPEPは特許翻訳者を含む特許実務家にとって非常に有益な資料であるものの、MPEPの内容を盲信することは危険だ、と教えていただいたことがありました。今回の記事では、これについて詳しく解説されています。

特許翻訳者のあるべき姿

私は、折にふれて木村進一先生のブログ記事を読むことにしています。先日改めて読んだ記事『育たない特許翻訳者、育てない特許事務所-翻訳とは意訳なり─』は、特許翻訳者の本来あるべき姿が描かれており、当社もこのような姿を目指そうと決意を新たにしました。

英語力に加えて、日本法の知識、外国法制や現地の実務の知識、たとえば、FestoやKSR、さらにEPCにおける各種審決例の法理などを三位一体的に総動員して翻訳に当っている特許実務家が果たして何人いるでしょうか。

翻訳とはそもそも意訳なのであり、「意訳が悪いのではなく、悪い意訳があるとすれば、英語力不足、思考力不足、教養不足の酸欠ならぬ“三欠”の結果です」という指摘は、心にズキンときます。“三欠”の状態で行われた意訳が一番たちが悪いことは、私もこれまで多くの翻訳を見てきて感じてきたことですが、これは程度の差の問題であって、木村先生に言わせると、当社の翻訳もまだまだ“三欠”なのかも知れません。記事で言及されているロボット(つまりAI)との差別化のためにも、当社は上記特許実務家のような姿を目指していきます。この記事を読んで、木村先生にまた叱咤激励された気分になりました。

ちなみに、記事では、記載不備で拒絶された稚拙な翻訳を木村先生が書き直されていますが、改訂文の[0002]において、“One of them is to devise such a program as to guard against unauthorized use”という文章があります。この“one … is to 動詞”という表現は、冒頭に“is”という結論がきていて非常に読みやすい上、改訂文で行われている「短文」化のためのツールとしてかなり応用の効く便利な表現です。実際、私が米国特許法律事務所に勤めていたとき、米国弁護士がこの表現を使っているのを頻繁に目にしました。例えば、鑑定書(クライアントの発明と先行技術とを比較したもの)において、“one possible approach to circumvent the prior art is to …”(当該先行技術を避ける方法の一つとして、・・・することが考えられます)といった具合に。また、“to 動詞”の部分をthat節にすることもでき、更に応用の効く表現になります。例えば、“a possible explanation is that …”(その理由の一つとしては、・・・であることが考えられる)など数限りない表現を作ることができます。

特許英語の大家、木村進一先生

http://skimura21.exblog.jp/7705600/

育たない特許翻訳者、育てない特許事務所-翻訳とは意訳なり─

Alice判決や英語表現などについて

米国用の英文明細書に関する興味深い記事を読みました。“Changes in Patent Language to Ensure Eligibility Under Alice”という記事で、米国最高裁のAlice判決以降、独立クレームの文字数が顕著に増加しているという内容です。Alice判決以降、独立クレームをそれまでより詳細に書き、また明細書本文(Description)において効果(benefit statements)もより詳細に書く傾向が強まったということです。しかも、独立クレームでは、単に似たような表現を繰り返して文字数を増やしているのではなく、表現の1つ1つが意味のある限定になっている、と記事では分析しています。こういった傾向を知っておくことも、特許翻訳者にとって無駄ではないと思っています。こういう知識の積み重ねが、適切な判断の手助けとなり、いい翻訳へと繋がっていくのでしょう。

http://www.ipwatchdog.com/2017/12/06/changes-patent-language-ensure-eligibility-alice/id=90721/

Changes in Patent Language to Ensure Eligibility Under Alice

 

ちなみに、この記事で、特許翻訳者にとって非常に参考になりそうな次の英語表現を見つけました。

In other words, a repeated word would only count a single time in our analysis.

「同じワードは1ワードとしてカウントする」というような意味だと思いますが、“a repeated … count a single time”は特許翻訳で非常に応用が効きそうな表現です。この文章は、直前の文章の最後“by unique word count”を言い換えたものになっていますが、上記文章を“unique word count”の3ワードで表現できるというのも非常に勉強になりました。

Alice判決とは、『Federal Circuitで最も多く引用された判例』でも書いたeligibility(特許主題適格性)に関する判決で、本来特許を受けることのできない(ineligibleな)抽象概念などをコンピュータなどの特定の技術環境で実現しても、ineligibleであることに変わりはない、と米国最高裁が判断したものです。Alice判決はビジネス方法に関するeligibility判決で、病気の治療方法に関するeligibility判決であるMayo判決(101条(eligibility)の判断には102条(novelty)の判断が必要なときがあるとした判決)とともに、Mayo/Aliceテスト(2014 Interim Eligibility Guidance Quick Reference Sheet)というeligibilityの判断基準が確立され、この2つの判決はeligibilityに関して現在最も影響力のある判例とされています。その影響力は、クレームを打ち込むことによってAIによるeligibility予想が受けられるサイト(“Automated Analysis of 101 Eligibility”)が出現したことからも分かります。

Federal Circuitで最も多く引用された判例

http://alice.cebollita.org:8000/predict

Ask Alice!

年末年始の楽しみ

新年明けましておめでとうございます。本年もこのブログを暇なときにご覧いただけたら幸いです。

年末年始を香港で過ごしています。大晦日に香港入りし、ヴィクトリアハーバー沿いで行われた新年カウントダウンと花火を楽しみました。これ以外は、今年はこれといった観光はせず、元日にホテルの部屋でサッカー天皇杯の決勝を観て、あとはほとんどの時間Kindleを片手にホテルのプールで過ごしました。これが毎年のささやかな楽しみになってきています。普段、好きな仕事をしているので、特にリフレッシュの必要はないと思っていましたが、香港のような日本とは全く異なる環境に身をおくと、普段はない刺激があり面白いです。ただ、こうして香港で過ごしているあいだも、良くも悪くも、どうしても仕事のことを考えてしまいます。特に今年は仕事上で楽しみなことがいくつかあり、アクティブな一年になります。今は帰国して再び動き出すのが楽しみです。

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