日英特許翻訳で「売れる」ためのスキル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

以前のブログ記事『洋書を読まない特許翻訳者の特徴』において、日英特許翻訳者にとっての洋書を読むことの重要性について書きました。しかし、特許翻訳者を目指す方で、洋書を読んだことがない、洋書を読むのが苦手という方を何人も見てきました。そんな方に対して言いたいことは、心配いりません、現実は、洋書が読めることは日英特許翻訳の仕事をしていく上で必須要素ではありません、ということです。洋書が読めなくても、その他のスキルでもって日英特許翻訳の仕事を受け続けている人が大勢います。以下、この「その他のスキル」について書きたいと思います。

当社は、『特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために』に書かれているように、例えば米国特許訴訟において、英語しか読めない陪審員にとって分かりやすい英語が書けることを目指しています(これを仮にネイティブ指向と呼びます)。そのために、日常的に洋書やインターネットの英文記事などを読んで良い英文に触れておくことは重要だと考えています。その一方で、日本人のお客様にとって読みやすい英語を書くことも、売れる翻訳者としての一つスキルと言えると思います。洋書から拾ってきたお客様に馴染みがない英語表現を使うよりも、ジーニアス英和辞典で簡単に調べられるような表現を使う方が、お客様思いのおもてなしの翻訳と言えるかも知れません(これを仮にお客様指向と呼びます)。また例えば、『あの手・この手の特許翻訳―誰でも使えるパソコン活用術入門』には、著者が心がけていることとして、原文の語順に訳文の語順を合わせることが書かれています。これも、お客様が原文と訳文を見比べながらチェックしやすいようにというお客様指向の翻訳の一例です。たとえ、お客様指向の翻訳が『特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために』で指摘されているような数々の問題を引き起こしてきたとしても、それはお客様に求められたものを提供してきた結果であり、お客様に求めにきちんと応える翻訳者が売れる翻訳者と言えるのかも知れません。どんな商売も、潔癖さを求めるよりも、(言い方は悪いですが)清濁併せ呑む態度で臨んだ方がお客様に好まれるのは明らかだと思います。よく、「お金に色はない」と言われます。例えば、10万円分の翻訳の仕事を依頼されたとして、ネイティブ指向の翻訳とお客様指向の翻訳のどちらをしたとしても、銀行口座に振り込まれるのは同じ10万円であって、この10万円には何の違いもなく、どちらも翻訳者が貴重な時間と労力を注ぎ込んで生み出した尊い10万円です。

「翻訳者あるある」として、次のようなものがあります。会合などで、異業種の人(社会的地位の高いおじさまが多い)に、翻訳という仕事は、言語だけでなく文化も理解している人でないと務まらない、という「有り難い」アドバイスをいただくというものです。しかし、お客様指向の日英特許翻訳では、ここまでできなくてもやっていけるという『特許翻訳者のあるべき姿』とは程遠い現実があります。当社は、お客様指向の翻訳もネイティブ指向の翻訳もどちらもできます。ネイティブ指向の翻訳を求められたときに、上辺だけでなく本当に使える翻訳を提供できる翻訳者がどれだけいるか(『育たない特許翻訳者、育てない特許事務所-翻訳とは意訳なり─』)。そんな翻訳者になれるように、日々研究を重ねています。

洋書を読まない特許翻訳者の特徴

特許出願における英語翻訳文をより良いものにするために

特許翻訳者のあるべき姿

※当社はアマゾン・アソシエイトに登録しており、上記リンクからの購入により当社に紹介料が入る仕組みになっています。紹介料は当社ホームページの運営費に充てています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*