特許翻訳における「高収入」について

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特許翻訳は、最も難易度の高い翻訳ジャンルの一つと言われています。高い語学力はもちろん、科学技術と法律の知識も必要だからというのが理由のようです。その分報酬も他の翻訳ジャンルと比べて高い傾向にありますが、ここ数年、特許翻訳の料金も下がり続けています。特に、フリーランスの特許翻訳者の翻訳単価はここ20〜30年の間に50%以下にまで落ち込んだとも言われています。一昔前は特許翻訳者の絶対数が少なく、特許翻訳ができる人は先行者利益により上手い下手にかかわらず誰でもお金持ちになれたと聞いたことがあります。しかし昨今では、特許翻訳者の数も増えて人々の特許翻訳を見る目も肥え、専業の特許翻訳者としてそれなりの生活をしていくためにはそれ相応の努力や工夫が必要になってきていると思います。したがって、低価格化、高品質化という意味では、特許翻訳業界も他の業界同様、至極適正になったのではないかと私は思っています。時々、「特許翻訳は高収入」のように書かれている翻訳コースの広告を翻訳雑誌などで目にすることがありますが、これは他の多くの業種と同様、本人の努力と工夫次第で高収入も不可能ではない、ととらえるべきです。

「高収入」とは具体的にいくらか、については人によって意見が分かれるところですが、特許翻訳業界ではだいたい年収1000万円以上を稼ぐと高収入と言えるのではないかと思います。私の知り合いに、年収が1000万円~2000万円の特許翻訳者が5、6人います。この方々に共通する特徴はあるだろうかと考えてみました。男女比率は半々ぐらいで、全員がフリーランス、そして多くが毎月膨大な量の翻訳をこなすことでこの高収入を実現しています。あまり聞こえのよくない言葉で言うと薄利多売と言えるかも知れませんが、これが特許翻訳で高収入を得ることができる確率の高い方法だということが言えると思います。

膨大な量の翻訳をこなすためには、マクロなどの翻訳支援ツールを駆使しているのだろうと思われるかも知れませんが、上記の方々は翻訳支援ツールを「そこそこ」にしか使っていないようです。1人の方は、マクロはもちろん、パソコンや機械をいじるのが苦手だと言っていました。これは極端な例ですが、翻訳支援ツールの開発ばかりに注力して、肝心の翻訳は薄っぺらいものになっているという、手段が目的化している翻訳者を何人も見てきました。このような特性の翻訳者は、少なくとも私が知っている上記5、6人の特許翻訳者にはいません。翻訳支援ツールを適度に使いつつ、原文と真剣に向き合って翻訳する。そして、これを1日の大半を使って行うことによって毎月の翻訳量が膨大になっていく、という共通点を上記の方々から見い出せるかも知れません。もちろん、翻訳支援ツールを自由自在に使うことができて翻訳能力も高い水野麻子さんのような翻訳者は世間にいると思いますが、あまり顔が広くないせいか、私はこのような翻訳者を水野さん以外知りません。

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