振り返ってみれば役立っていること

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フェロー・アカデミーの運営会社が発行している翻訳業界誌“Amelia”の2016年10月号に、『ベテラン翻訳者に聞いた 振り返ってみれば翻訳に役立っていること』という特集が載っていました。出版翻訳やメディカル翻訳など、各分野の第一線で活躍しておられるプロの翻訳者さんが、過去に経験したことで今の仕事に役に立っていると思っていることが紹介されています。例えば、簿記を学んだこと、歴史書をたくさん読んだこと、英語の発音を練習したことなどが翻訳の仕事に活かされているとのことでした。


この特集を読んで、私にはこのような経験が何かあるだろうかと考えてみたところ、翻訳に役立っているというよりも、会社をやっていく上で役立っていると思える経験があることを思い出しました。学生のとき、ある世界的に有名な英語教材を営業販売するアルバイトをしたことがあります。教材販売会社が用意した名簿に載っている人の電話番号に片っ端から電話を掛けて商品説明をし、興味を示した人にはアポを取り直接会って商品を売り込み、成約となれば商品代金(数十万円)の数パーセントをコミッションとしてもらえる、というアルバイトです。時給制ではなくフルコミッション制だったため、いくら時間をかけて頑張っても商品が売れなければお金にならないという厳しい労働条件でした。しかも、成約を取るのは至難の技で、そもそもアポ取りが難しく、このアルバイトを始めてから最初の数週間は1人もアポが取れませんでした。何度も辞めようと思いましたが、その度にせめて1つでも売れるまでは頑張ってみようと思い留まり、練習と工夫を重ねていきました。結局、アポは比較的簡単に取れるようになり、成約もいくつか取ることができました。成約という結果を出せたことはもちろん嬉しく、自分に自信を持てるようになったきっかけでもありますが、それよりも、人から断られるということに免疫がついたのが一番の収穫だったように思います。人から断られるのは、商品を本当に必要な人にたどり着くまでのコストのようなものなんだと身をもって知りました。

また、いくら良い商品を扱っていてもお客さんの方から近寄ってきてくれるわけではないということをこのアルバイトを通して知りました。英語教材の営業販売と聞くと、怪しい業者の怪しい商品のように思われるかも知れませんが、私が実際に使ってみたところ本当に良い教材だと思いました。実際、20年近く経った現在でも販売されており、確立され支持されている教材なのだと思います。ただ、いくら良いものであってもまずその存在を人に知ってもらわなければ何も始まらず、また知ってもらったとしてもまったく興味のない人がいるということを学び、ターゲットを見極めるというマーケティングの重要性を知ったのもこのアルバイトででした。

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