特許翻訳に資格は必要ない

前回の記事
『名を捨てて実を取る』
http://beikokupat.com/blog/?p=92
で、
特許翻訳をやっていくのに
英検1級は無駄だと言い切りました。

これは私自身の経験から実感していることです。

私の会社では、
外部翻訳者を常に募集しているので、
頻繁に応募がきます。

その際、
履歴書と一緒に自分で翻訳した
サンプルを送ってもらうようにしています。

そして、
最初、私は応募者の経歴や資格等は
ほとんど見ません。

まず、
応募者の翻訳だけを見て、
翻訳が上手いかどうかを判断する
ようにしています。

上手いと判断した人についてのみ、
トライアルを受けてもらっています。

この時初めて、
履歴書を見て経歴や資格などを
確認します。

したがって、
経歴や資格などによって
トライアルを受けてもらうかもらわないかの
判断が左右されることはほとんどありません。

つまり、
応募者の合否判定は、
・翻訳が上手いかどうか
で判断しています。

どんなに素晴らしい経歴や資格を
持っていても、
まず翻訳が上手くないと特許翻訳者として
仕事をお願いすることはできません。

逆に言うと、
素晴らしい経歴や資格を
持っていない人でも
翻訳が上手ければ
仕事をお願いする可能性があります。

これが特許翻訳という世界だと思います。

名を捨てて実を取る

以前の記事で、
特許翻訳を仕事にして
生活できるようになるためには、

英検1級もTOEIC900点以上も必要ない
ということを書きました。

『特許翻訳に英検1級もTOEIC900点以上も必要ない』
http://beikokupat.com/blog/?p=53

英検1級を取ろうとする人は、
1級用の問題対策を数ヶ月の間
集中的に行なうと思います。

しかし、
一度1級合格してしまうと、
達成感に浸ってしまって、
もう英語を勉強・練習しなくなる人がいます。

1級合格後、
英語力が格段に落ちた人を
たくさん知っています。

英検1級は、
定期的に試験を受け直して
更新するような資格では
なかったと思います。

なので、
一度合格すると、
一生英検1級という称号を
持つことができます。

しかし、
上記のように
英語力が合格時から右肩下がりになり、
本当に称号だけになっている人が
たくさんいます。

そもそも、
http://beikokupat.com/blog/?p=53
でも述べたように、
英検1級を取ったからといって
英語が上手くなるわけではありません。

これから特許翻訳を目指す人は、
資格マニアになるのは辞めるべきだと思います。

「特許翻訳を仕事にする」
ことの目的は、

  • 特許翻訳が上手くなり、
  • 引き合いが多くなり、
  • 収入が上がり、
  • 家族や大切な人を養うことができ、
  • 貯金や資産運用ができ、
  • 好きなものが買え、
  • 好きなところへ旅行に行けたりする

ことではないかと思います。

このために、
英検1級などの資格を
まず目指すことは遠回りだと思っています。

ダメ翻訳回避の3原則

私は米国特許事務所時代に
次の業務を経験しました。

・明細書翻訳を米国出願用の英文明細書に書き換えること、
・オフィスアクションで拒絶されたクレーム、特に第112条(b)拒絶で意味不明と言われたクレームを書き直すこと

これらの業務を通して、
非常にたくさんのダメ翻訳に
目を通してきました。

そして、
ダメ翻訳にしないために大切なことは、
次の点に集約されるのではないかと思い至りました。

1.原文の内容を正確に理解して、
2.特許の権利範囲が狭くならないように注意しながら、
3.原文を、日本語が読めない人が容易に理解できる英語にする。
1~3のような翻訳にするための
具体的な方法を、会社のHPで解説しています。

『高品質「7つのC」』
http://goo.gl/S8TpYl

具体的に解説はしているものの、
1~3とも一朝一夕には
身につかないスキルだと思います。

特に、私も含めて、
3で苦労する人が多いのではないでしょうか。

3は、英文ライティングのスキルです。

「日本語が読めない人が容易に理解できる英語」
とは、

日本人は原文と英訳とを
見比べることができますが、

日本語が読めない
圧倒的多数の世界の人たちは、
英訳だけを読みます。

そんな人達が容易に理解できる
ような英訳にするという意味です。

しかも、特許翻訳の場合は、
1と2を消化した上で
(1と2の制約の中で)
上記のような英訳をする必要があります。

改めて、
特許翻訳はハードルの高い職種だと思います。

しかし、
英文ライティングのスキルは
コツコツと練習すれば必ず身につくと
思っています。

今後、練習方法をご紹介しています。

ダメ翻訳の烙印、35 U.S.C.§112(b)

私が米国特許事務所で
働いていたとき、
担当していた業務は、
次の2点でした。

1.日本の基礎出願明細書の英語翻訳文を米国出願用の英文明細書に書き換えること。
2.米国特許商標庁(USPTO)に提出された英文明細書を読んだ審査官から送られてくる拒絶理由通知書(オフィスアクション)への応答書を書くこと。

1はリバイズと呼び、
http://beikokupat.com/blog/?p=86
で述べた通りですが、

実にたくさんのダメ翻訳を目にし、
それを米国式に、かつ読みやすく
修正する経験を積みました。

2のオフィスアクション対応は、
新規性、進歩性、記載不備など
の拒絶理由に対して、

クライアントからの指示をもとに
応答書を英語で書くという、
これまた貴重な経験をすることが
できました。

オフィスアクションには
いろいろな拒絶理由が記載されていますが、

翻訳者にとって一番関係が深いのが
米国特許法第112条(b)(http://goo.gl/c56Dx0)に
基づく拒絶です。

この拒絶は簡単に言うと、審査官が
『この翻訳は意味不明なので書き直してください』
と言っている拒絶です。

つまりこの拒絶は、
審査官からダメ翻訳の烙印を
押されたようなものです。

意味が分からない文章をもとに
新規性や進歩性を適正に判断できるのか
疑問が湧いてきます。

したがって、
112条(b)拒絶は重大な問題で、
担当した翻訳者は責任を感じるべき
だと思います。

そして、
この拒絶が非常に多かったのを
強烈に覚えています。

この拒絶に対応するにあたり、
よく日本語の原文を読みました。

すると、
原文自体が分かりにくかったり
意味が曖昧であることが多いのに
気づきました。

翻訳者は、
分からないことを分からないまま、
曖昧なところを曖昧なままにして
翻訳したのでしょう。

分かりにくい原文を
分かりやすい英語で表現する
能力が不足していたのかも知れません。

そして、
その後始末をするのが
当時の私の仕事でした。

審査官が理解できる翻訳とは
どういうものかを身をもって体験でき、
今の仕事にはなくてはならない経験でした。

ただ、
112条(b)拒絶の問題、
つまり多くの翻訳が下手だという
現実を痛感した経験でもありました。

これがきっかけになって、
いい翻訳を提供したいと思い始め、
独立へと繋がっていきました。

リバイズとは?

私は以前、
米国特許事務所で働いていました。

担当していた業務内容は、
日本企業の米国特許出願を
手助けすることです。

具体的には、
次の2点を担当していました。

1.日本の基礎出願明細書の英語翻訳文を米国出願用の英文明細書に書き換えること。
2.米国特許商標庁(USPTO)に提出された英文明細書を読んだ審査官から送られてくる拒絶理由通知書(オフィスアクション)への応答書を書くこと。

1は通称リバイズと呼ばれ、
多くの米国特許事務所が有料で
行なっているサービスです。

料金は、
1件あたり1000ドル程度で、
主に独立クレームと明細書の形式を
米国式に修正するものです。

作業時間は、
1件あたり3時間程度にするよう
指導されていました。

3時間以上かけると赤字になるから
ということでした。

米国の特許弁護士の報酬は、
時間給(タイムチャージ)が基本です。

特許弁護士の経験や能力にもよりますが、
だいたい1時間あたり400ドル程度
だったと思います。

リバイズは1件あたり1000ドル程度と
決められているため、

タイムチャージが400ドル/時間の
特許弁護士が3時間かけてリバイズをすると、
もらうべき報酬は1200ドルとなり、
この人は200ドル分タダ働きしたことになります。

つまり、
リバイズは特許弁護士にとって
「ペイできる」仕事ではないため、
私のような弁護士資格を持っていない
スタッフの担当となります。

しかし、
私がリバイズしても人件費が
かかるため、
上記のように3時間ルールがありました。

この3時間の間に集中して
英文明細書を仕上げる作業を
何百件とこなしました。

この経験が今の仕事に非常に
役に立っています。

基礎出願を単に英訳したものに
過ぎない翻訳文を、

いかにして米国で通用する明細書に
修正していくのかを叩き込まれたからです。

なお、
このリバイズはあくまでも
オプションのため、

基礎出願の翻訳文をリバイズなしで
そのまま米国出願するようにという
クライアントからの依頼もありました。

このような案件を
「Just file」(ただ出願する)
と呼んでいました。

Just fileの案件は、
リバイズされていないので、
全体が米国形式になっておらず、
クレームも米国式に修正されていないため、
拒絶される可能性が高いと思われます。

これは2の業務に繋がってきますが、
次回述べたいと思います。

特許翻訳での早い、安いというサービス

私の会社は、
特許分野の日英翻訳、
つまり日本語から英語への翻訳を
専門にしています。

日英翻訳を仕事にして
お金をもらっている以上、

英語ライティング力を
常に磨くことが
必要だと考えています。

ここで、
「必要だと考えています」
と書いたのは、

特に特許翻訳では、
日英翻訳で食べていくにあたって、
英語ライティング力を
常に磨く必要はない
という考え方もあるからです。

世の中には
いろいろなお客さんがいます。

品質の良いものを求める人がいる一方、
スピードと安さを重視する人もいます。

『全部で100ページある特許明細書を
3日で訳して欲しい。しかも安く。
その代わり、高い品質は求めない。』

このような依頼は、
うちの会社としては受けたくない
ものですが、
現に需要として存在します。

こんな需要にきちんと応えるのも、
1つの特許翻訳の商売の形かも知れません。

企業の大切な特許を守るために
非常に重要な役割を果たすのが
翻訳ですが、

他の商売と同様、
安さとスピードというサービスが
入り込む余地がないとは言えません。

この場合、
強い特許になるか、
世界に通用する英語か、
といった尺度は無視される
かもしれませんが。

ただ、
私の会社ではこのような方針は
採用していません。

お客さんが
海外で強い特許を取りたいと
考えたときに、

翻訳会社としてまずうちの会社が
思い浮かぶような、
そんな会社になるように、
英語ライティング力を磨く努力は
欠かしません。

但し、
安さとスピードという、
商売の基本とも言える方針も
考慮に入れて、

良いものを、
早く、
安く

提供できるよう
英語ライティング力と
同じぐらい努力する必要がある
と考えています。

「Schiphol」「Moet Et Chandon」の発音

オランダ・アムステルダムにある
スキポール空港に来ています。

パリからKLM航空を利用して帰国途中で、
KLM航空のハブ空港であるスキポール空港に
トランジットで滞在しています。

経路の案内が分かりやすく、
清潔で快適な空港という印象です。

それにしても、
「スキポール」はなかなかインパクトのある名前です。

Schipholと書きますが、
英語ではどう発音するのか知らなかったので、
調べてみたところ、

「スキポーゥ」と発音し、
「キ」にアクセントがあるようです。

下記で確認することができます。

このEmma SayingというYoutubeチャンネルは、
今さっき偶然見つけたんですが、
発音しにくい単語の実際の発音を
聞くことができる便利なチャンネルです。

スキポールの他にも、
シャンパンの「Moet Et Chandon」は
英語でこんなふうに発音します。

その他、NBA選手の名前も聞くことができます。

案外、うまく発音できないことが多い世界の国名も。

体の部位も聞けます。

コンピュータ関連語も。

トランジット待ちの時間に見るのに丁度いい、
なかなか便利なチャンネルを見つけました。

最後に、スキポール空港は、無料Wifiは速度が遅いのが難点です。

パリのうどん屋さん

パリ・オペラ座近くにある
ピラミッドという地区は、
多くの日本食レストランが営業しており、
日本の食材が手に入るスーパーマーケットもあります。

そのピラミッドにある
「さぬき屋」といううどん屋さんに立ち寄り、
うどんを食べてみました。
sanukiya

以前、ニューヨーク・マンハッタンの
和食屋さんを何軒か回ったところ、

提供されていた料理はお世辞にも美味しいと
いえる味ではなかったので、

海外にある日本食屋に懐疑的な印象を
抱いていました。

パリの和食の味はどうか、
試してみたくなって
さぬき屋さんの暖簾をくぐりました。

結果からいうと、
とても美味しいという感想をもちました。

美味しいというか、
日本のうどん屋さんで味わえる
うどんそのものがパリで再現されている印象です。

例えば、
のり巻きを海外展開するときに
海苔とご飯の位置を逆にして
海外の趣味趣向に合わせたりすることが
あると思います。

でも、
ここさぬき屋さんの場合は
そういうのではなくて、
日本人が安心して食べられるうどんを
出すという信念のようなものを感じました。

そしてすごく美味い。

これが受けているのかもしれません。
店内は日本人らしき客でいっぱいでした。

パリで働いていると思われる日本人客と
店員さんとの会話も聞こえてきました。

パリで日本人が納得するうどんを作るのは
材料確保など容易でないことがあると思います。

値段は物価の高いパリ価格で、
日本の倍ぐらいしますが、
現地の食べ物に飽きた日本人が駆け込みたいのが
分かるお店です。

さぬき屋
9 rue d’Argenteuil 75001 Paris
https://www.facebook.com/sanukiyaparis

パリ滞在

今パリに来ています。

今年2回目のパリ滞在で、
パリで弁護士をしている
日本人の方との交流が主な目的です。

パリは、ニューヨーク、京都と並んで
一番好きな街です。

いつもこちらに来て
観光をしたりショッピングをしたり
することはほとんどありません。

ただ街を歩くだけで楽しめます。

パリ市内・市街を歩きながら
歴史的な建造物を見たり、
現地の人を観察するのが好きです。

日本と違う風習や生活システムが
たくさんあり、
見ていてとても興味深く、
飽きることがありません。

今回もいくつもの発見がありました。

パリでは、
レンタル自転車システムが整備されています。
こんな自転車スタンドが街中にあります。
rental

電気自転車も普及しているようで、
こんな充電スタンドを見かけました。
dennki

ただ、ほとんどの通りが縦列駐車で
埋め尽くされています。

パリで暮らすには縦列駐車のテクニックが
必要かもしれません。
juuretu

パリの地下鉄風景です。
bench
ベンチのデザインがお洒落です。

地下鉄内では、
スリに気をつけるように
という旨の日本語アナウンスが流れます。

日本人の被害が多いのでしょうか。

パリの街を歩いていると、
不動産屋がたくさんあるのに気づきます。
必ず立ち止まって不動産情報をチェックするようにしています。

飲み物を買いにふと立ち寄った
ボン・マルシェという百貨店で、
日本展をやっていました。
lejapon

また、パリ市内のいくつもの書店で、
葛飾北斎のコーナーがありました。
hokusai

香港では、
家電製品や化粧品などで
多くの日本製品を見かけましたが、
パリではあまり見かけません。

北斎人気に見られるように、
日本は芸術的な側面で興味を
もたれているのかも知れません。

関西国際空港

image1

関西国際空港に来ています。

20代の時に、
通関関係の仕事をしていたことがあり、
1年程ここ関空で働いていました。

今でも一番よく利用する空港です。

関空は、アジアのハブ空港を
目指して1994年に開港しました。

ターミナルビルは、
イタリアの世界的建築家である
レンゾ・ピアノ氏による設計で、
流線形の屋根・天井が魅力的です。

外から見ると、
建物が地面と一体化しているような
素敵な印象を受けます。

建物は確かに素敵ですが、
規模感や活気から言うと、

シンガポール・チャンギ国際空港、
香港国際空港、
韓国の仁川空港
など、他国のライバル空港に見劣りする感があります。

先日行った香港国際空港では、
その広さ、乗り入れキャリアの多さ、
人種の多様性、活気の凄さに
驚かされました。

こういうのが本当のハブ空港と呼べるのだろうと。

海外からの利用者は、
滞在中に消費活動をするので、
利用者が多ければ多いほど
消費額が増えることが容易に想像できます。

日本でもこれから羽田や関空の利用者が増えて、
こんな喜ばしい状況になる可能性はあるでしょうか。

今、日本にカジノ特区を作る話が進んでいます。

場所はまだ決まっていませんが、
東京だとお台場周辺、関西だと大阪湾の舞洲に
誘致しようという動きがあるようです。

大阪では、地元のUSJやパチンコ業界が
強い興味を示しているという話も聞きます。

カジノの是非はともかく、
カジノができたら空港利用者が
増えるのは間違いありません。

空港をよく利用する者として、
カジノ計画の行方を注視しています。