「~から・・・まで」の訳し方

今回は、
「~から・・・まで」や「~から・・・に至る」
といった表現の英訳についてご紹介します。

これらを英訳する際注意していることは、
これらが暗示している始点と終点の
ニュアンスを訳出すべきかどうかということです。

つまり、
「AからBまで」という表現は、
これを書いた人の目が勝手にAからBへ動き、
その勝手な動きをそのまま主観的な文章に
してしまっている可能性があるため、
英訳の際は注意しています。

例えば、
「AからBまでの距離」では
距離は「AからBまで」だけでなく、
「BからAまで」でもよいことから、

始点と終点は関係なく、
単に「AとBとの間の距離」という2点間の距離として
the distance between A and B.
と英訳しています。

一方、
始点と終点のニュアンスを訳出すべき場合として、
動きを伴う文脈における「AからBまで」があります。

「ものをAからBまで移動する」
Move an object from A to B.

ここではfromとtoを使って始点と終点の
ニュアンスを出していますが、

ここでもbetweenを使って
Move an object between A and B.
とした方が特許的に広いため、
クレームではbetweenが使えないか検討する
ことになると思います。

なお、距離は符号Dとともに使用されることがあります。

実施形態において、
「AとBとの間の距離D」の距離Dが初出の場合、
a distance D between A and B.
とする例をよく見ますが、
当社では次のように英訳しています。

the distance, D, between A and B.

このようにDをコンマで囲み、
2回目以降はコンマをとってthe distance D
としています。

なお、
『米国出願用特許翻訳・重要ポイント解説』
http://beikokupat.com/email_seminar/
の第5回目で説明しているように、
Dはイタリック体にしています。

図面を参照しやすくするための工夫

特許明細書には多くの場合
図面が添付されています。

当然のことですが、
図面が添付されている明細書を翻訳する際、
必ず図面を参照しながら翻訳
にあたる必要があります。

例えば、原文の「図5に示すように、」を訳す際、
ただ”as illustrated in FIG. 5,”と訳すだけではなく、
実際に図5を目で確認しながらその先の原文を読み進め、
説明されている構造などを理解しながら翻訳します。

このように、
原文と図面とを突き合わせながら
翻訳することで原文の理解が深まり、
より良い翻訳に繋がります。

ここで障壁になってくるのが、
該当する図面を見るという行為が
意外と容易ではない(面倒くさい)
ということです。

例えば、
図面をすべてプリントアウトして
ホッチキスで1つにまとめ、
1枚ずつめくりながら該当する図面を
探すという一般的な確認方法があります。

この「めくる」という作業が
翻訳者にとってなかなかの重労働
になることがあります。

あるいは、
データ化された図面上でスクロールなどを
しながら該当する図面までたどり着くという
方法もあります。

この場合、スクロールという手の動きが
意外と負担になることがあります。

また、明細書によっては複数の図面を
一度に見ないと理解しづらいこともあります。

これらの負担をなくすために、
私の会社ではスタッフ一人一人が
1~2枚のホワイトボードを専有し、
翻訳中の図面をプリントアウトして
ホワイトボードにすべて貼るようにしています。

その様子を写した写真がこれです。

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こうすることによって、
頭を動かすという非常に簡単な作業で
該当する図面を確認することができます。

この方法、社内でとても好評ですので
是非お試しください。

クライアント数を増やすよりも今のクライアントからの依頼を増やす

先日、
クライアント企業の知財部長が
当社を訪問してくださいました。

知財部長直々の訪問ということで、
私の会社の評価結果などを
知らされるだろうと身構えていましたが、
大変嬉しい評価をいただきました。

私の会社に明細書の英訳を依頼するようになってから
アメリカでの審査が通りやすくなり、
RCEをしなくなったので、
今後ほとんどの明細書翻訳を当社に依頼してくださる
とのことでした。

クライアントにこのように言っていただくのが
経営する私にとって一番嬉しいことです。

当社はクライアント数を増やすよりも
今お付き合いいただいているクライアントからの
依頼数を増やしたいという方針で活動しているため、
努力が実った瞬間でもありました。

クライアントからの期待を受けプレッシャーを感じもしますが、
限界を超える努力をして期待を大きく上回るつもりです。

フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション

私は建築を観るのが大好きで、
時間を見つけてはよく建築を見に出かけています。

いい建築を見ると、建築家の創造力と
実際に施工した人たちの技術力に感心し、
なぜかモチベーションが上がります。

先日、
世界的に有名な建築設計事務所である
フォスター+パートナーズの展覧会を観に
六本木ヒルズのスカイギャラリーへ行ってきました。

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フォスター+パートナーズによる
最も有名な建築作品の一つが、
ロンドンにあるスイス・リ本社ビルではないでしょうか。

ロンドンに行ったことがある方なら
これを必ず目にしたことがあると思います。
http://allxa.web.fc2.com/a-map/uk/maryaxe/maryaxe01.html

展覧会では、
リ本社ビルやその他50の代表的なプロジェクトが
リアルな模型や図面、スケッチなどとともに紹介されており、
若干マニアックな内容になっていますが(笑)、
私は十分愉しんできました。

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私の本業は翻訳ですが、
こういう展覧会に来ると創造力を掻き立てられ、
もっと創造力をもって翻訳していこうという気になります。

余談ですが、
六本木ヒルズのスカイギャラリーから
赤坂方面を見下ろすと、
自分のオフィスが微かに見えるということが分かりました。

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『特許英訳トライアル対策』開講のお知らせ

特許翻訳講座『特許英訳トライアル対策』のお知らせです。

フェローアカデミーさんから、
特許翻訳の初心者の方向けのトライアル対策講座を
開いて欲しいというご依頼をいただきました。

今まで何度かセミナーを開いたことがありますが、
トライアル対策という切り口でのセミナーはしたことがなく、
非常に面白そうだったためお引き受けしました。

今、講座の準備をしているところですが、
準備しながら分かってきたことは、
トライアル対策は、トライアル合格後も安定して仕事を受注する
翻訳者になるための対策でもあるということです。

したがって、
『特許英訳トライアル対策』となってはいますが、
翻訳会社が考える売れる翻訳者とはどんな人かを
知りたいと思っている方にもお勧めできます。

今回特に重点的に取り組みたいと思っているのが、
コメントの書き方です。

私は、多くの特許翻訳者のコメントは書き方が
雑で分かりにくいという印象をもっています。

また、原文の間違いに対して「誤記」という
相手にとって印象の良くない言葉を使っている人が
多いのも気になっています。

翻訳業はサービス業だ。
サービス業にはおもてなしの心が必要だ。
だから、翻訳業にはおもてなしの心が必要だ。
と私は考えています。

コメントの書き方については
『実践・米国式特許クレーム作成講座』
http://beikokupat.com/usclaim_drafting/
でも徹底的に解説していますが、
今回改めて詳しく解説する予定です。

また、講座の後半では特許明細書の一部を
実際に英訳する課題にも取り組みます。
このような実践的な内容も盛り込み、
トライアルだけでなく、日々の特許翻訳の仕事でも役に立つ
講座にしたいと思っています。

講座名:特許英訳トライアル対策
場所:フェローアカデミー(東京都港区赤坂8-5-6)
日時:2016年3/23、4/6、20、5/11、25(隔週 水曜・全5回)、19:00~20:40(各100分)
受講料:
一般:45,360円(税込)
マイページユーザー/アメリア会員:42,360円(税込)

詳しくは、フェローアカデミーの募集ページをご覧ください。
http://www.fellow-academy.com/fellow/pages/school/short/SPJO.jsp?boshuu

役に立つ講座にしたい

縁あって社外の方から講師の
ご依頼をいただきました。

特許翻訳についての講座ですが、
これまでやったことのない新鮮な切り口での講座で、
私自身非常に愉しみにしています。

私はこれまで受講者として
特許翻訳に関する様々な講座やセミナーに
参加してきましたが、
役に立ったものとそうでないものがありました。

今回講師として行う講座は、
受講する方にとって有意義になるよう
今内容を練っているところです。

以前、駆け出しだった頃に
受講したある講座では、
自分のレベルよりもはるかに高いレベルの内容を扱っていて、
毎回劣等感を味わい、
参加するのが苦痛だったのを覚えています。

このような受講者と講座内容の
レベルの乖離がないように、
事前に受講者のバックグラウンドを
しっかり把握して準備を進めたいと思っています。

特許翻訳者がもっておくべき英語力

特許翻訳の仕事に携わっていると、
自分の英文法の知識にあいまいな部分が
あることに気づくことがよくあります。

曖昧な部分をなくして確かな知識にするために
私は英文法書を常にパソコンの横に置いています。

私が愛用している英文法書が
表現のための実践ロイヤル英文法(例文暗記CD付き)

という本です。

タイトルが示す通り、
「表現」つまり英作文や英会話のための
英文法に特化しており、
実践的な内容になっています。

実践的ということは
実際の仕事に使えることが多いということで、
非常に便利な本を見つけたと思っており、

私は自分のセミナーでこの本を推薦したり
メール講座で解説を頻繁に引用しています。

特許翻訳者の英語に関する知識は、
この本を一通り理解した程度で
十分だと思っています。

つまり、特許翻訳者は、
読み手に違和感や誤解を与えない程度の
英文法の知識をもっておくべきであり、
その程度の知識をこの本で得ることができると
この本を使ってきた経験から感じています。

といっても、
解説部分が500ページ程度あり、
全部理解するとかなりの英語博士になれます。

serving asの注意点

ManualKaiteiBan

米国出願用特許翻訳・重要ポイント解説
の配信を開始してから4ヶ月程経ち、
これまでに約2000人の方に
購読いただきました。

一番反響が大きかったのが、
第8回
『みんな関係代名詞がおかしい!』で、
関係代名詞の本当の使い方が分かった
というご感想をたくさんいただきました。

また、この回では同じ質問を
非常に多くの方から
いただきました。

今回はこの質問に回答したいと
思います。

第8回で、
「装置Aは、検出素子としてのセンサ1を備えている。」
を、当社では関係代名詞を使わずに
次のように表現している
と説明しました。

The device A includes a sensor 1. The sensor 1 is a detecting element.

いただいた質問は、
これを次のようにしてはどうか、
というものです。

The device A includes a sensor 1 serving as a detecting element.

私は、この英文は関係代名詞を
不適切に使用した次のような英文と同じで、
不適切な英文だと考えています。

The device A includes a sensor 1 that serves as a detecting element.

「sensor 1 serving as」も
「sensor 1 that serves as」と同様に
sensor 1を「限定」しており、

「いろいろなsensor 1のうち、
detecting elementの機能をもつsensor 1」
「この明細書ではdetecting elementの機能を
もたないsensor 1もある」

といったニュアンスになっています。

sensorに参照番号「1」が
付くことによって、
固有名詞に近いものとなり、

sensor 1は絶対にdetecting element
である、つまり
「sensor 1 = detecting element」
になることがほとんどだと思います。

したがって、少なくとも次のように
コンマを使った「非限定の同格」に
すべきだと考えます。

The device A includes a sensor 1, serving as a detecting element.
The device A includes a sensor 1, which serves as a detecting element.

「非限定の同格」については、
実践・米国式特許クレーム作成講座
で徹底的に解説しています。

sensorに参照番号が
付かない場合は、
次のように限定用法で
表現することができます。

The device A includes a sensor serving as a detecting element.
The device A includes a sensor that serves as a detecting element.

この場合、
sensorの後ろにコンマがない
ことによって、

「世の中にいろいろあるsensorのうち、
detecting elementの機能をもつsensor」

といったニュアンスになり、
筋が通っており、納得できます。

このように、
非常によく目にする手法である
serving asは注意して使う必要があります。

また、冒頭の当社の例文のように、
当社ではできるだけ関係代名詞を使わない
表現を模索しています。

意外なリーダーシップ本

年末年始にかけて、
ずっと読みたいと思っていたこの本を
読みました。

The Godfather

昔からゴッドファーザー映画版の大ファンで、
パートI~IIIは何度も観ていましたが、
原作はまだ読んだことがなく、
年末年始はこの本に捧げようと決めており、
移動の新幹線の中で読破しました。

原作は映画のパートIとほぼ同じ内容に
なっており、
パートIIでロバート・デ・ニーロが演じた
回想シーンなどは出てきません。

映画パートIが原作に忠実に作られて
いたんだということが分かりました。

「馬の首」事件や5大ファミリーの会合など、
映画で観てきた名シーンを
改めて活字で読むのは感慨深いものがあります。

そして、
マイケル・コルレオーネが
敵対するマフィアのボスと警察官を
狙撃するシーンは映画と同様
本当にハラハラします。

原作を読んで一番の発見だったのは、
この本はドン・コルレオーネから学ぶ
リーダーシップ本でもあるということです。

組織をうまくまとめるために
どのように人を使い、
人の働きに対してどのように報えばいいかなど、
意外にも参考になることが多く書かれています。

また、
本を洋書で読むことのメリットでもありますが、
特許翻訳で使えそうな英語表現を
今回も見つけました。

映画パートIの終盤シーンで、
マイケル・コルレオーネの部下(Neri)が
警察官に扮装してバルジーニという
敵対するマフィアのボスを銃で撃つ
シーンがあります。

ここで、
警察官扮するNeriが警察手帳を
お尻のポケットにしまい、
その手で腰に付けた銃を取る
という微妙な動きが次のように
描かれています。

Then he (Neri) put his summons book in his hip pocket and with the forward motion of his hand drew the .38 Special.

“with the forward motion of”
は特許翻訳で実際に使えそうな表現です。

使う機会を狙っています。

今年も、日々の勉強と実践と検証を怠らない

新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

今年も、
特許翻訳・米国特許制度に関して
知らないことがあれば、

それはクライアントへの罪だと考え、
日々の勉強と実践と検証を怠らない
日常を過ごしていきます。

こういう考えを持てる
日常を過ごしていることが、
「起業して仕事をしている人間」の
最低ラインだと改めて肝に銘じています。

 

さて、元日の今日は、
赤坂にある日枝神社に初詣に行った後、
いつも通りジムに行きました。

元日ぐらいはジムを休んでも
いいんじゃないかとも思いましたが、
自分で決めたルーティーンを
できるだけ守ろうと思い直しました。

朝5時〜6時半ぐらいまで
ジムにいましたが、
私以外に誰も来る人はおらず、
貸し切り状態でのトレーニング初め
となりました。

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この後は少し仕事をした後、
毎年行っている京都の神社への
初詣に出発します。