新刊のご案内『特許翻訳者のための「米国特許クレーム作成マニュアル」』

この度、『特許翻訳者のための「米国特許クレーム作成マニュアル」』という本を出版しました。

本書は、米国出願用のクレーム翻訳について詳細に解説した本です。

本書の構成と特徴につきましては、以下をご覧ください。

<本書の構成と特徴>

本書の構成は、日本語で書かれたある特許明細書の請求項をまず原文に忠実に英訳し、これを米国特許クレームにリライトしていくという実践的なものになっています。

そして、「なぜこのようにリライトするのか?」について、ステップ・バイ・ステップ形式の詳細な説明を行っています(例えば、「プリアンブル」に関する説明は約10ページにも及んでいます)。

また、扱っている題材は、ティーバッグ(飲料バッグ)という多くの人にとって非常に馴染みがある日用品のため、技術的な予備知識なしに読むことができます。

さらに、ティーバッグを題材に、次のような主要なクレーム形式について翻訳する方法を解説しています。

・モノに関する独立クレーム(モノクレーム)
・モノクレームに従属するクレーム
・モノの製造方法に関するクレーム(方法クレーム)
・方法クレームに従属するクレーム

このように、新刊では、米国特許クレームについてしっかりと学べるようになっています(クレームだけではなく、明細書本文の翻訳例も記載しています)。

また、本書はいわゆる米国出願用翻訳に関する本ではありますが、説明の多くはPCT用翻訳やEP用翻訳にも応用できます。

例えば、以下の独立クレームについて英語で定義した文章において、withoutの前にコンマがあります。本書ではなぜここでコンマが必要かについて詳しく解説していますが、この解説は米国用・PCT用・EP用といった分類に関係なく当てはまります。

A claim that contains a complete description of the subject matter, without reference to any other claim.

本書のその他の特徴として、ほとんどの説明において根拠となる条文や文献を引用しています。引用文献としては、米国特許クレーム作成の指南書として名高い次の3冊を主に採用しています。

Faber on Mechanics of Patent Claim Drafting(Robert C. Faber著)
Patent Practice(Irving Kayton著)
Essentials of Patent Claim Drafting(Morgan D. Rosenberg著)

1番目のFaberは特に名著と言われています。今回の新刊プロジェクトは、Faberの内容を特許翻訳に応用するためのマニュアル本のようなものを作りたいという思いから始まりました。

Faberは、米国特許クレームに関するノウハウが詰まった1000ページを超える大著で、実務家や翻訳者のあいだでバイブル的存在として長年親しまれてきました。

その一方、Faberは、長すぎてどこを読んでいいか分からない、難解な説明部分がある、高価である(5万円前後)、英語で書かれている、などの理由で一部の学習者にとってハードルが高い存在となっています。

新刊では、Faberの内容を噛み砕いて紹介しつつ、これを参考に実際にクレームを作成(翻訳)していきます。

また、Faberをはじめとする上記文献の原文(英文)をスペースの許す限りたくさん記載してもらうよう出版社に尽力いただきました。

これにより、読者は新刊のなかで多くの分量の一次情報に触れることができ、ご自身の研究材料にできるようになっています。

さらに、「おまけ」として、「特許英語の基本をチェック」と題したコラムを計23コラム書いています。

コラムでは、英文明細書の形式や公報の表記方法などの形式に関する基本事項や、特許翻訳をする上でおさえておきたい(しかし間違いやすい)英文法の基本事項などをチェックできるようになっています。

コラムだけを読んでも、特許英訳の勘どころを押さえることができるように努めました。

<おわりに>

これまで、多くの翻訳者から、米国出願用の翻訳はどのようにしたらいいか分からない、といった声を聞いてきました。

また、「米国出願用の翻訳はこうすればいい」と明確に解説した本はいままでになかったように思われます。

本書では、信頼できる文献を参照したうえで、「こんなやり方もある」というアプローチ方法を提案しています。少しでもみなさまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

当社HPでの新刊紹介ページ:http://beikokupat.com/usclaim_drafting/
Amazonでの販売ページ:https://amzn.to/2HsXvWs
出版社の紹介ページ:https://www.kspub.co.jp/book/detail/5195611.html

BRI基準及びPhillips基準のいずれを用いても同じ結論になるとしたPower Integrations事件

小野康英先生(Westerman Hattori Daniels & Adrian, LLP)による連載『米国特許法解説』を更新しました。

第16回:米国特許法の基本~米国特許商標庁の手続におけるクレーム解釈(その4)~

http://beikokupat.com/us-patent/number16/

「BRI基準及びPhillips基準のいずれの基準を用いても同じ結論になる」という前回とは逆の内容です。今回の記事も、BRI基準とPhillips基準に関する、数少ない有益な情報源になると思います。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~as a resultとas the result~

「グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語」を更新しました。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~as a resultとas the result~

今回も記事を作りながら非常に勉強になりました。パケット先生もこの取り組みを喜んでくださっており、やり甲斐をもって続けています。

 

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語~according to~

「グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語」を更新しました。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~according to~

今回は、特許英語において頻出する表現であるaccording to(Chapter 3)についてまとめました。according toの誤用例とリライト例をいくつか記載しています。これらを何度も見比べて、according toの正しい用法の感覚をつかむ必要があると思います。

BRI基準及びPhillips基準のいずれを用いるかにより結論が異なると明言したPPC Broadband事件

小野康英先生(Westerman Hattori Daniels & Adrian, LLP)による連載『米国特許法解説』を更新しました。

第15回:米国特許法の基本~米国特許商標庁の手続におけるクレーム解釈(その3)~

第15回:米国特許法の基本~米国特許商標庁の手続におけるクレーム解釈(その3)~(2020年1月20日)

「BRI基準及びPhillips基準のいずれの基準を用いるかにより結論が異なると明言したPPC Broadband事件」という非常に面白い内容です。また、次のような事態が起こり得るとも解説されており、非常に興味深く読みました。

特許侵害事件においては、まず、連邦地裁で特許侵害訴訟が提起され、その後、USPTOで当事者系再審査(EPR: Ex Parte Reexamination)(35 U.S.C. 302-307)又はIPRの開始申請がなされるというケースがある。その場合、同一のクレーム中の同一の用語について、連邦地裁はその用語をPhillips基準に基づき解釈し、USPTOのPTABはその用語をBRI基準に基づき解釈するという事態が生じ得る。
「(2)連邦地裁におけるクレーム解釈及びUSPTOにおけるクレーム解釈」より

【24の例文に見る】冠詞用法の違いがもたらす意味上の差異

「『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語」を更新しました。

【24の例文に見る】冠詞用法の違いがもたらす意味上の差異

今回は、「第2編 冠詞用法」の前書きに含まれている「冠詞の機能の概略」(p.4-8)における解説をまとめました。

12対の例文を用いて、冠詞用法の違いによって文章の意味が変わることが簡潔に解説されており、これは英語学習者にとって非常に有意義な解説であると考え、今回選びました。

特に、用例(7)と(9)は要チェックです。

特許翻訳者は判例を知っておくべき

特許翻訳者にとって、判例を知っておくことは重要だと思っています。例えば、米国においてなぜミーンズクレームを避ける出願人と逆に積極的に使用する出願人がいるのか、あるいはなぜプログラムクレームを記録媒体クレームとして書かなければいけないのか、などは判例を知ることで理由が分かってくることが多く、クライアントの指示の意図を汲み取ることができます。

私自身の判例の勉強を兼ねて、米国の主要な判例の概要を数行でまとめ、『米国特許用語集』に加えていくことにしました。まずは、特許対象(特許適格性、patentable subject matter; 35 U.S.C.§101)に関する以下の3つの判例についてまとめました。

・Diamond v. Chakrabarty, 447 U.S. 303 (1980)
http://beikokupat.com/uspatent_glossary/diamond-v-chakrabarty/

・Mayo v. Prometheus, 566 U.S. 66 (2012)
http://beikokupat.com/uspatent_glossary/mayo-prometheus/

・Alice Corp. v. CLS Bank International, 573 U.S. 208 (2014)
http://beikokupat.com/uspatent_glossary/alice-cls/

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語~information~

「グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語」を更新しました。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~information~

今回は、Chapter 68のinformationについてまとめました。

前回「about」において、aboutはinformationと組み合わせても不自然ではないという解説がありました。この点について理解を深めたいと思い、今回はChapter 68を選びました。この点の他に、このChapterでは”information of”という表現について詳細に解説されています。それだけ”information of”の誤用が多いということであり、注意しなければならないと再認識しました。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語~about~

『科学論文の英語用法百科』は、多くの翻訳者や研究者が愛読しています。この度、著者であるグレン・パケット先生の承諾を得て、各Chapterのポイントをまとめた記事を当社HPに連載することになりました。第1回目は、Chapter 2のaboutについてまとめました。今後、1ヶ月に1回程度の頻度で更新する予定です。

グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~about~