“Amelia” 2017年2月号

翻訳業界誌“Amelia”の2017年2月号において、当社が紹介されています。
http://www.amelia.ne.jp/user/info/history/backnumber_top.jsp
『会社訪問記』という見開き2ページの記事で、“Amelia”編集者の方々が去年取材に来て下さいました。会員専用の記事で転載不可のため、残念ながらこのブログに載せることができませんが、当社がどんな会社かについて1時間30分にわたって私が話し、それを編集者の方々がうまく記事にまとめて下さっています。

税理士事務所との付き合いについて

私の会社では、経理関係の業務を税理士事務所に委託しています。これまでに、2つの税理士事務所とお付き合いしてきました。1つ目の税理士事務所には創業から3期目までお世話になり、その後事情があって2つ目の税理士事務所に委託先を変え、今に至っています。1つ目と2つ目の税理士事務所は、顧客(私)への対応の仕方がまったく異なり、2つ目の税理士事務所の方が自分自身の成長のためには良いと私は思っています。

1つ目の税理士事務所は、私が素人社長であったためか、登記の仕方や弥生会計の使い方など、社長業務の初歩の初歩から丁寧に教えてくれました。また、親身になって相談にものってもらいました。私の話に熱心に耳を傾け、頻繁に頷いたりメモをとったりしてくれたので、話をしていて心地よかったです。あるいは、私が仕事で何か工夫を思いついたり、誰か新しい人に会ったと言えば、「いいですね」「すごいですね」といった肯定の言葉をかけてくれました。たとえ私のやったことが会社の売上げに結びつかなかったとしても、頑張り自体を評価してくれるような事務所だったと思います。今思えば、カウンセリングを受けているような心境で、話を聞いてもらえるだけで嬉しく、月1回の打ち合わせが楽しみでした。

それに対して2つ目の税理士事務所は、非常にドライです。この事務所が重視するのは数字、つまり売上げです。業務上の話はもちろん聞いてはくれます。しかし、もともと特許翻訳というマニアックな仕事の話なので共感し難いのかも知れませんが、私のやったことが売上げにどうつながったかという話にもっていかないと、オチのない話を聞いたあとのような、何かどんよりとした空気になります。口には出さなくても、相手が「それで?」と思っているのが伝わってきます。この事務所のこういう性格に当初は戸惑いましたが、今では、こういう対応をしてくれた方が自分自身の成長のためには良いと思っています。どんなに自慢話や苦労話を語っても、数字がすべてを物語っているということです。また、会社をやっていく人間としては、褒められたから頑張るというのではダメでしょう。褒められなくても頑張る、批判されても頑張る(むしろもっと頑張る)、でないと。今は、売上げという結果が伴った話だけを事務所とするようにしています。

もっとも、これは、私が会社をやっていく上でこういう突き放した対応をしてくれた方がいいと思っているのであって、私が人に対してこういう態度をとりたいと言っているのではありません。特に、スタッフに対しては、1つ目と2つ目の税理士事務所の対応を合わせたような、硬軟おり交ぜた対応が必要かと思います。つまり、数字という現実も説明しつつ、頑張り自体も評価すべきなのだと思います。

DC滞在最終日

ワシントンDC滞在の最終日は、午前中に米国最高裁判所の口頭弁論を傍聴しました。Lynch v. Dimayaという移民法に関係する事件で、知財とは関係のない事件でしたが、米国最高裁判所の口頭弁論を生で見れるという貴重な経験となりました。傍聴には整理券が必要で、整理券をもらうために朝早くから最高裁判所の前に並びます。私は、アテンドして下さった特許弁護士の方と一緒に朝6時頃から並びました。整理券を受け取ると、厳重な荷物チェックを受けて裁判所内に入り、口頭弁論の開始時間まで裁判所内で待ちます。私たちは裁判所内のカフェテリアで朝食を取りながら待ちました(最高裁判所内にカフェテリアがあるとは驚きでした!)。法廷に入り、最高裁判事8人(本来は9人だが現在は1人欠員している)が登壇すると口頭弁論が始まります。当事者双方の弁護団がそれぞれ30分ずつ意見を述べ、その間判事から頻繁に質問を受けて回答するという形で進行しました。時折、笑いが起きる場面がありましたが、正直、私にはなぜ皆が笑っているのか聞き取れませんでした。自分のヒアリング力のなさを再確認しましたが、最高裁判所のHPでは口頭弁論の内容がスクリプトと音声で公開されており、後で復習したり、法廷に行かなくても内容を確認できるようになっています。

米国最高裁判所HP:
https://www.supremecourt.gov/

午後は、キャピトル・ヒル近くにある特許弁護士の事務所に行き、米国用特許クレーム作成の留意点などについて話し合いました。今回のワシントンDC滞在で、ここで話し合ったことが一番大きな収穫でした。私は、翻訳という商売柄、英文法や形式といった、特許においては比較的重要度の低い事柄にこだわり過ぎるきらいがあると思っています。今後は、全体最適(http://beikokupat.com/blog/?p=526)のために特許法や判例をもっと深く研究していく必要があることを再認識しました。

今回のワシントンDC滞在で強く印象に残ったことがあります。それは、現地の日本人特許弁護士は皆たくましいということです。猛勉強の末にロースクールを出て弁護士資格を取り、専門知識と英語を操って米国社会をたくましく生きているように私に映りました。苦労も多いでしょうが、それからくる悲壮感のようなものはないか表に出さず、フレンドリーな方が多いように思いました。また、アテンドして下さった特許弁護士が家族を非常に大切にしておられるのも印象に残りました。家族を大切にしつつ一流の仕事をする、ということを目指そうと改めて決心した旅でもありました。

米国最高裁判所

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キャピトルヒル

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途中で立ち寄ったジョージタウン大学ローセンター

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服部健一弁護士の母校ジョージ・メイソン大学ロースクール(現在はスカーリア・ロースクール)

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服部健一弁護士との会食

ワシントンDC近郊にある日本食レストランにて、Westerman Hattori Daniels & Adrian, LLPの服部健一先生と夕食をご一緒しました。服部先生のことは、私が日本の特許事務所に勤めていた10年以上前から存じ上げていましたが、お会いするのは今回が初めてです。和食とお酒をいただきながら、米国特許の話や、法律事務所を運営する立場からの意見、非常にプライベートな話など、普段は絶対に聞くことができないような貴重なお話をしていただき、時間があっという間に過ぎていきました。

また、服部先生の著書『日米特許戦争の狭間で―米国特許弁護士・パートナーへの3000日』と『新米国特許法 増補版』にサインをしてプレゼントして下さいました。私は服部先生にお会いする前にこの2冊を既に読んでいましたが、サイン本が欲しかったので喜んで受け取りました。『日米特許戦争の狭間で』を読むまでは、私は服部先生が非常にスマートな生き方をして米国法律事務所(ザ・ファーム)のパートナーに登り詰められたと思っていました。しかし実際は、今の地位を築くまでに様々な苦労を経験されており、『日米特許戦争の狭間で』では様々な苦労が非常にリアルに、時にユーモアをもって描かれています。

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DC訪問

ワシントンDCに来ています。日頃お世話になっている特許弁護士の方と一緒に、連邦巡回区控訴裁判所(Federal Circuit, CAFC)やジョージ・ワシントン大学ロースクールなど、知財に関係の深い場所を訪れました。キャピトル・ヒル周辺では、今週末に行われる新大統領の就任式の準備が行われていました。明日はUSPTOにいく予定です。

CAFC
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ジョージ・ワシントン大学ロースクール
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アドミッション・オフィス
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模擬裁判が行われるmoot court
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パレード(?)の予行練習

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eachを使って数の対応を明確にする

特許翻訳では、eachを使って数の対応を明確にするという手法があります。これについて、『表現のための実践ロイヤル英文法』で解説されており、該当部分を以下に引用します。以下の解説において、「あいまいさが許されない文」と書かれていますが、特許文書がこれに該当すると思います。

Helpful Hint 87 「主語が複数で各自が1つ」を正確に表すには?
上の「(3)主語が複数で、各自が1つずつ何かを持っているというような場合」、確かに日常会話や友人どうしのメールであれば、All my neighbors have dogs.(私の近所の家はみな犬を飼っている)のように、「可算名詞なら複数形」にしてもまったく差し支えない。
しかし、論文やビジネスレターとなると、そうした表現はあいまいすぎるケースも出てくるかもしれない。具体的に言うと、All my neighbors have dogs.という表現だけでは、「近所の家はみな犬を1匹飼っている」とは限らず、「数匹飼っている家」も十分考えられる。逆に、単数形を使う“… students have to write a paper of 20 to 25 pages.”(・・・生徒は20ないし25ページのレポートを書かなければならない)の場合、「生徒たちはみんなで(協力して)1つのレポートを書けばいい」とも受け止められる。このようなあいまいさが許されない文を書くときには、eachという語が役立つ。それぞれEach of my neighbors has a dog./ …each student has to write a paper … .と書けば、受け止め方が1つしかない表現になるのである。
また、eachは「各自に1つずつ」でない場合にも役立つ。たとえば、「近所の家は、犬を1匹飼っている家もあれば、数匹飼っている家もある」という状況を表すには、“Each of my neighbors has at least one dog.”(近所の各家はみな犬を少なくとも1匹飼っている)という言い方がちょうどよい。あるいは、「生徒は各自レポートを3つ書かなければならない」なら、“Each student has to write three papers.”と言えばよい。

表現のための実践ロイヤル英文法』p. 346

今年も面白い年に

新年明けましておめでとうございます。今年も、面白い年にすべく、いくつか計画を立てています。1つには、久々に新しい社員を募集する予定です。これまでは、即戦力となる翻訳者だけを迎えてきましたが、今後は、多少スキルが足りない方でもいいかなと思っています。多少スキルが足りない方でも、時間をかけてじっくりと一流に育てて、会社を代表するような名翻訳者にするという活動にも重点を置きたいと思います。

さて、年始は、友人家族と一緒に香港で過ごしました。香港は日本から5時間程度で行くことができ、夜景が美しく、現地の食べ物も個人的に好きなこともあって、毎年数回訪れています。元日に京都の神社へ初詣に行った後、友人家族と合流し、そのまま関西国際空港から香港へ向かいました。香港では、九龍(カオルーン)にある中華料理の名店「夜上海(イエ・シャンハイ)」で新年会をして、翌日は香港ディズニーランドを初めて訪れ、ほぼすべてのアトラクションを回りました(香港DLは客が比較的少なく、アトラクション前に並ぶ列ができず、すぐ入ることができて穴場です)。他の日は、泊まっていたホテルの温水プールで過ごし、Kindleに溜まっていたたくさんの電子書籍を読みました。わずか2泊3日の香港旅行でしたが、非常に有意義に過ごせました。

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大きな出会い

あっという間に年の瀬になりました。私の会社はもう休みに入っていますが、私自身は今週ずっと出勤して翻訳と事務仕事をしています。年末まで忙しくさせてもらえるというのは有り難いと思うと同時に、忙しさが続くのは仕事を工夫していない証拠だとビジネス本で読んだことがあり、確かに心当たりがあり、まだまだ工夫が足らないのかなと反省もしているところです。

さて、今年は、当社にとって非常に大きな出会いがありました。当社は、どちらかというと我が道を行くタイプで、普段、こだわりをもって仕事をしているつもりでしたが、これでいいのかとときに悩むことももちろんありました。そんな中、今年の大きな出会いがあり、これまで自分たちがやってきたことに対して自信を持つことができ、またこれから自分たちがやるべきことが明確になりました。と同時に、まだまだこだわりが足りず、努力を重ねてもっともっと先鋭化しなければならないことを認識しました。

また、今回の出会いで、応援してくれる人がいるというのはやはりいいものだなと実感しています。当社のような人脈も広くなく変わったことをしている会社を気に入ってくれるというのは有り難いことで、このような人との縁を、社内・社外を問わず、これからも大切にしていきたいと思います。

年末の恒例

年末になりました。今年も、定期的に翻訳依頼をいただいているクライアントから来年のカレンダーが届きました。毎年、12ヶ月すべてがF1の写真で埋め尽くされ、F1好きだった元少年の心をくすぐるカレンダーになっており、毎年届くのを楽しみにしています。
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このクライアントは当社が創業した当時からのお付き合いで、知的財産権の活用について、企業としての立場から率直な意見をいつもいただいており、当社が企業の立場になって特許翻訳をするという方針で活動するようになったきっかけを与えてくれた存在でもあります。また、実は、私は過去に何度か「ヘマ」をしたことがあり、にもかかわらず、変わらず仕事を依頼し続けてくれたことに深い恩を感じています。このことを含めたお付き合いを通して、このクライアントは非常に懐が深く、この体質が企業全体に浸透していることを感じてきました。叱咤激励しつつも決して見捨てない。そして私は期待に応えようと俄然頑張ろうと思う。こうやって人材は育っていくのだなと学びました。この企業風土は、このクライアントが好業績を続けていることと何か関係があるのかも知れません。

年末のもう一つの恒例として、私は『表現のための実践ロイヤル英文法』を読み返すことにしています。12月の後半、全部で600ページ程あるこの本を毎日50ページずつ読み、忘れていたことや理解があいまいだった部分を再確認しています。『特許翻訳における部分最適と全体最適の両立』において、私は、特許翻訳者は英語表現にこだわるだけじゃだめだと偉そうなことを書きましたが、特許翻訳者に一番求められているのはしっかりした英語だということも確かなので、やはり英語の研究も欠かせません。

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この本の他に、今年は書店で偶然見かけて「ジャケ買い」した『ENGLISH EX』という本も読もうと思っています。まだ読んでいないので役立つ本かどうか分かりませんが、大昔に得た知識や経験に固執して取り残されるような人にならないためにも、新しい情報や考え方を取り入れて知識をアップデートすることが大切だと思っています。

“configured to”についての記事をアップしました

米国特許クレームにおいて多用されている“configured to”(MPEP2181)について、USPTOのPTAB(Patent Trial and Appeal Board、特許公判審判部)の解釈を調査した記事があることを知り合いから教えてもらいました。

“Analysis of 2013 Board Decisions Regarding ‘Configured to’ Language”
http://patentlyo.com/patent/2014/02/decisions-regarding-configured.html

要点を日本語でまとめて、当社のHPに掲載しました。

『PTAB審決における“configured to”の解釈』
https://goo.gl/mc58R3

 

蛇足ですが、PTABは「ピーブ」と発音するようです。
https://www.youtube.com/watch?v=7Do2qUbAKjM