クレームにおける造語と35 U.S.C. §112(f) 〜AGIS v. Life360 (Fed. Cir. 2016)〜


The Likely Indefiniteness of Coined Terms
by Dennis Crouch
http://goo.gl/pCx6QB

AGIS v. Life360 (Fed. Cir. 2016)

Summary:
AGISは、すべてのクレームにおいて“symbol generator”(携帯電話ユーザをトラッキングする)の使用を必須としている(USP7031728(クレーム3、10)、USP7672681 (クレーム5、 9))。地裁は、この用語を35 U.S.C. §112¶2(現§112(b))に規定される明確性に欠けるとしてクレームを無効とした。

控訴審において、Federal Circuitはミーンズ・プラス・ファンクションからのアプローチを行い、地裁の判断を支持した。すなわち、“symbol generator”は具体的な構造を(クレームに)記載せずに特定の機能を行う手段として§112¶6に基いて解釈すべきと判断した。§112¶6では、MPFクレームは「明細書に記載された対応構造、・・・及びそれらの均等物」のみをカバーすると解釈される。また、Federal Circuitは、明細書に対応構造が記載されていないMPFクレームは不明確であり、無効であると判断した。

Step 1:
クレームに含まれる要素をミーンズ・プラス・ファンクション要素として解釈させたい場合、“means”が伝統的に使用されてきたが、本件では“means”は使用されていない。したがって、反証可能な§112¶6推定は適用されない。2015年以前は、この推定は「強力な」推定と見なされていたが、Williamson (2015)において、Federal Circuitの大法廷は「強力な」を削除し、反証可能な推定となった。Williamsonのもとでは、クレームの文言を適切に解釈した結果として十分に明確な構造を見いだせなかった場合、§112¶6が適用される。基準となるのは「当業者がクレームの文言を読んだとき、構造を示すものとして十分に明確な意味があると理解するか」であり、これを満たさない場合、§112¶6が適用される。

AGIS v. Life360において、Federal Circuitは“symbol generator”は本特許用に作られた造語であり、当業者に知られた用語とは言えないと述べた。そこで、Federal Circuitはテキスト分析を行い、「symbolとgeneratorの組み合わせは、単に実行される機能を表しており(the generation of symbols)、これ自体によって構造が特定される訳ではない」と判断した。この時点では、Federal Circuitは明細書において“symbol generator”が適切に定義されているかどうかという問題について考察していない。

Step 2:
裁判所は、用語をミーンズ・プラス・ファンクションと定義すると、次に明細書を見て対応する構造があるかどうかを決定しなければならない。“symbol generator”はコンピュータによって実行される機能のため、裁判所は機能を実行するためのアルゴリズムの開示を要求する。しかし、本件ではアルゴリズムは提供されなかった。Federal CircuitはAristocrat Techs. Australia Pty Ltd. v. Int’l Game Tech. (Fed. Cir. 2008)を引用し次のように述べた。「特許権者は、特定の機能を実行する手段に対応する構造として汎用コンピュータしか開示されていなければ、pure functional claimingであり、その手段をクレームすることはできない。」


カテゴリ: 日英知財研究

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