日英知財研究

具体的構造が読み取れないクレームはx


2106 Patent Subject Matter Eligibility [R-9]の続き11

  •  (b) On the other hand, a claim that is directed to a machine (“What is claimed is a machine that operates in accordance with F=ma.”) and includes no tangible structural elements under the broadest reasonable interpretation, covers the operating principle based on a mathematical relationship with no limits on the claim scope. Thus, as no tangible embodiment is claimed, there would be no evidence of a practical application. The claim would wholly embrace the mathematical concept of F=ma and would not be eligible subject matter.
  •  (c) As another example, a claim to a non-transitory, tangible computer readable storage medium per se that possesses structural limitations under the broadest reasonable interpretation standard to qualify as a manufacture would be patent-eligible subject matter. Adding additional claim limitations to the medium, such as executable instructions or stored data, to such a statutory eligible claim would not render the medium non-statutory, so long as the claim as a whole has a real world use and the medium does not cover substantially all practical uses of a judicial exception. The claim as a whole remains a tangible embodiment and qualifies as a manufacture. As explained above, the additional claim limitations would be evaluated in terms of whether they distinguish over the prior art.
  • (b)一方、クレームが装置に関しているが(“クレームが、F=maに基づいて動作する装置に関する”)、論理的に広範な解釈の下における具体的構造を含んでいない場合、クレームの範囲が制限されず、その数学的関連性に基づく動作原理全てをクレームがカバーすることになる。したがって、具体的な実施例がクレームされていることにならず、実際の適用を示していることにならない。そのようなクレームは、F=maという数学的概念を全体として取り込んでいることになり、特許法の保護対象とならない。
  • (c)他の例として、非一過性に対するクレームがある。論理的に広範な解釈の下における構造的限定を有しており、製品であるとみなされる具体的なコンピュータ読取可能記録媒体自体は、特許法の保護対象である。クレームが全体として現実世界での使用に用いられるものであり、司法上の例外事項に対する使用を実質的に全てカバーすることにならない限り、実行可能な指示または記録されたデータ等の媒体に対する限定事項を法定の保護対象となるクレームに追加することによって、その媒体が非法定の主題であるとみなされることはない。上で説明したように、追加したクレームの限定事項は、先行技術との相違を示す文言であるかどうか評価される。

<ポイント>

・ F=maという数学的概念を利用した装置に対するクレームであっても、クレームの文言から、その装置に対する構造が読み取れないようなクレームは、特許法の保護対象とならない。

・ 審査において、特許法の保護対象か否かは、原則としてクレームの文言のみに基づいて判断される。明細書の実施例として、F=maという数学的概念を利用した装置の構造を明確に記載している場合であっても、つまり、明細書から特許法の保護対象である発明が読み取れる場合であっても、クレームの文言のみに基づいて判断され、その文言のみから装置の構造が読み取れないような場合には、特許法の保護対象とはならない。

・ 男の子がハサミと紙とをもって、何かをつくっている(明細書に対応)。その男の子が、「お母さん(審査官に対応)、机の上のそれとって」(クレームに対応)と言う。机の上には、男の子の接着ノリとお父さんのお箸と弟のお味噌汁が置いてあった。男の子の行動(明細書に対応)を考慮した場合には、接着ノリのことを言っているのだとお母さん(審査官に対応)は理解する。しかし、この言った文言「お母さん、机の上のそれとって」(クレームに対応)のみからは、「それ」が何を指しているのか(構造に対応)わからず、お箸のことを指しているともお味噌汁のことを指しているとも考えられる。つまり、机の上にある物全てを、埃なども含めて指していることになる。この時お母さん(審査官に対応)は、男の子が言ったこと(クレームに対応)をお母さん(審査官に対応)に対するリクエスト(特許法の保護対象に対応)とは考えない。埃なども含めて机の上にある物全てを男の子にとってあげる(特許権に対応)事になり、お父さんのお箸とが取られたらお父さんが迷惑し、弟のお味噌汁が取られたら弟が迷惑するからである。

・ 日本の特許法でも、審査段階では原則として、明細書の内容を無視して特許請求の範囲の文言のみに基づいて特許性が判断される(リパーゼ事件)。特許権の取得後(特許を受けた発明である”特許発明”[2条2項])ならば、明細書の内容を考慮した上で特許請求の範囲に基づいて権利範囲が判断されうる(70条1項、2項)。

・ 「Aして、Bして、Cする」という特徴について考える。このままクレームとした場合には、単なる抽象的なアイデアと判断され、非法定の主題とみなされる。しかし、『コンピュータに「Aして、Bして、Cする」工程を実施させるプログラムを記録した記録媒体』というようにクレームした場合、この「記録媒体」という文言から物品の構造性が読み取られるようになり、法定の主題として特許法の保護対象になる。


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