日英知財研究

文と文とを繋ぐ


文と文とを繋ぐ

ん~ん、まだまだ問題があると思うよ・・・。

『え、だって勝った時のことだけでなく負けた時のことも書きましたよ!これでもまだダメなんですか?!』

「では、もう一度今のクレームを見てみようか。」

~~~i-phone用のプログラムであって、…①

登録した野球チームが勝ったかを判定し、…②

前記野球チームが勝った時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示する …③

前記野球チームが負けた時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示しない …④

ことを特徴とするi-phone用のプログラム。~~~

「このクレームの③番の文章と④番の文章とをよ~く見てほしいんだ。実は、③番の文章には、②番の文章の“判定”に関する記載が全く存在していないんだ。同様に、④番の一文にも、②番の文章の“判定”に関する記載が全く存在していないんだ。ということは、従来のi-phone用プログラムの存在により、①の限定事項が満たされることになり、そのプログラムが試合結果データを受信した場合、勝っていたら勝っていることを示す表示を行い負けていたら負けていることを示す表示を行うであろうから、勝ちを判定しているとも考えられ、②の限定事項が満たされることになり、登録した野球チームが勝った翌朝にi-phoneのユーザが操作して試合結果のホームページを表示するようにすれば、③の限定事項が満たされることになり、登録した野球チームが負けた翌朝にi-phoneのユーザが操作しなければ、試合結果のホームページが表示されず、④の限定事項が満たされることになり、結局、今のクレームはそのような従来のプログラムによって新規性違反・進歩性違反になると思うよ。逆に、今のクレームで特許権が取得できた場合、上で述べたような従来のプログラムを販売する行為などが特許権の侵害行為になりかねないんだよ。だから、今のクレームでは特許権の取得が難しいと思うよ。」

『でも、判定するって書いたんですから、表示するかしないかは判定に基づいているはずじゃないですか!』

「前も言ったけど、これは小説などの文系文章ではないんだ。当然そのように読み取れると大部分の人が考えるような場合であっても、読み手に想像力を要求せずとも一義的に懐疑なく内容を伝えられるように書かなければならないんだ。③の内容が②の判定に基づくと書いていないため、④の内容が②の判定に基づくと書いていないため、上で述べたように読み取ることが排除されておらず、キミが述べようとしていることは一義的に懐疑なしには読み手に伝わらないんだ。」

『そうか、わかりました!“判定”について③と④とに記載したらいいんですね。じゃあ、③の一文を“前記野球チームが勝ったことを判定結果が示した時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示する”とリバイズし、④の一文を“前記野球チームが負けたことを判定結果が示した時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示しない”とリバイズすれば、②の判定と③とが繋がり、②の判定と④とが繋がり、僕の言いたいことが一義的に懐疑なく伝わるんじゃないですか』

「惜しいね、あと一息。まだ一義的に懐疑なくとは言えないよ。キミは“判定結果”と書いているけど、この“判定結果”と②の文章の“判定”が同一のものか否かがこのままでは一義的に懐疑なしには決まらないんだよ。」

『え~!だって、“判定”って②に書いてあるんだから、“判定結果”といえば②の“判定”の結果のことだとわかるじゃないですか。あ、そうか。当然そのように読み取れると大部分の人が考えるような場合であっても、読み手に想像力を要求せずにかかなければならないんでしたね。でも、どういうふうに書けば、②の“判定”と③・④の“判定”とが同じだと表現できるんですか?』

「ここで登場するのが、キミのよく知っている“前記”という言葉だよ。“前記”がつくということは、前に登場した既述と同じものですよ、ということを示しているんだ。だから、③の一文を“前記野球チームが勝ったことを前記判定結果が示した時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示する”と更にリバイズし、④の一文を“前記野球チームが負けたことを前記判定結果が示した時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示しない”と更にリバイズする。あと、③及び④で“判定”を名詞として使用しているため、②の文章でも“判定”を名詞として使用するように“登録した野球チームが勝ったか判定を行い”とリバイズするんだ。これで②~④が“判定”でつながるようになり、キミの言いたいことが一義的に懐疑なく伝わるようになると思うよ。」

~~~i-phone用のプログラムであって、…①

登録した野球チームが勝ったか判定を行い、…②

前記野球チームが勝ったことを前記判定結果が示した時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示する …③

前記野球チームが負けたことを前記判定結果が示した時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示しない …④

ことを特徴とするi-phone用のプログラム。~~~

『そうか、こんなふうに書けばよかったんですね!』

「日本の審査官は、非常に親切だから、文と文との行間を読み取って審査してくれることもあって、キミのリバイズのままでも認められることがあると思うけど、海外の審査官の場合、文と文との行間を読み取って審査してくれることは皆無に等しいよ。だから外国出願の場合でも、例えば、②“determining whether the registered team has won”、③“when a determination result shows …”としないで、②“determining performing a determination as to whether the registered team has won”、③“when a determination result the determination shows …”として、文と文との繋がりを明確にした方が良い場合が多いよ。」

『でも、“performing a determination”というような名詞を使って動作を表すより、“determining”とした方が、ネイティブのような流暢な英語になると聞いたことが有りますよ。』

「キミの言うとおり。名詞を使って動作を表すよりも、動詞を使って動作を表したほうが英語表現として適していると考えられるみたいだね。だけど、このリバイズの最終目的は、迅速に権利化できて訴訟にも強いクレーム・明細書となるようにすることだったよね。多分その人がいっているネイティブのような流暢な英語になると言うのは、小説などの文系的読み物として流暢な英語になるという意味であって、特許などの科学的読み物として適切になるという意味ではないと思うなぁ。」

『なるほど。文と文とを繋ぐのって、簡単そうでなかなか奥が深いですね。でも、これで特許取得できるんですね!』

「ん~ん、まだもう少し問題があると思うよ・・・。」


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