日英知財研究

“時”と“とき”


ん~ん、まだもう少し問題があると思うよ・・・。」

『え、まだダメなんですか?!』

「ん~ん、もう一度今のクレームを見てみようか。」

~~~i-phone用のプログラムであって、…①

登録した野球チームが勝ったかの判定を行い、…②

前記野球チームが勝ったことを前記判定の結果が示した時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示する …③

前記野球チームが負けたことを前記判定の結果が示した時に、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示しない …④

ことを特徴とするi-phone用のプログラム。~~~

「確か、この発明は日本にも出願する予定だったよね。」

『はい、その予定ですが・・・。プログラムの発明が良くなかったのですか?』

「いや、プログラムの発明は日本でも認められるんだけど(特許法2条3項1号)、ちょっと気になるのが③と④にある“時”という表現なんだ。実は、日本の特許実務では、“時”というように漢字で記載した場合と“とき”というようにひらがなで記載した場合とでは、“トキ”の意味が違うように解釈されるんだ。漢字の“時”を用いた場合には、点としての時刻を彷彿させ、ちょうどまさにその瞬間“at that time”という意味に解釈されるし、ひらがなの“とき”を用いた場合には、一定の広がりのある時間帯を彷彿させ、“場合”という意味に解釈されるんだよ。③と④とでは、“場合”という意味を示そうとしているから、“とき”を用いた方がいいと思うよ。今のままだと、翌朝に判定結果が示されてその瞬間にホームページが表示される、というような内容になってしまう。」

~~~i-phone用のプログラムであって、…①

登録した野球チームが勝ったかの判定を行い、…②

前記野球チームが勝ったことを前記判定の結果が示したときに、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示する …③

前記野球チームが負けたことを前記判定の結果が示したときに、前記野球チームの試合結果のホームページを翌朝表示しない …④

ことを特徴とするi-phone用のプログラム。~~~

『へ~、そうなんですか。“時”と“とき”の違いなんて気にしたことがなかったです。』

「普通に生活している分には気にしないよね。でも結構重要で、外国から日本出願を行う案件のクレーム等で“when”を翻訳するときには注意が必要だよ。“when”を“~する時”と翻訳すると、ちょうどまさにその瞬間“at that time”という意味に解釈され、非常に大きな限定事項となってしまう可能性があるからね。例えば、“Aと判定したにBを表示する”などというようにクレームを翻訳すると、Aと判定したまさにちょうどそのタイミングでBを表示するという内容だけが基本的に権利範囲となり、Aと判定したあと1分後、3分後、5分後…にBを表示するような他社製品が権利範囲となるかどうかグレーゾーンになりかねないからね。他に“モノ”でも、“者”を用いると人を表すことになり、“物”を用いると人以外の物体を表すことになり、ひらがなの“もの”を用いると人+人以外の物体、つまり“者”+“物”を表すことになるよ。」

『今度から、“時”と“とき”など漢字とひらがなの違いをちょっと気にして見るようにしますね。ところで、これでクレームの準備OKですよね!』

「まぁ、今聞いた内容ならばこんな感じかな。」


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