日英知財研究

新規性欠如 MPEP 2131


『どうしたらいいでしょう・・・。米国へ出願したら、オフィスアクションで引例がひとつ挙げられて新規性欠如と言われたんです。』

「どんなクレームだったの?」

『A表示部と、B入力部と、C補正部と、D制御部とを備えている画像処理装置なんです。でも、こんなオフィスアクションが出されて、引例1により全てが開示されていると言われたんです。』

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画像処理装置(引例1の要素1が対応)、comprising:

           画像を表示するA表示部(引例1の要素10が対応);

           外部からの信号を入力するB入力部(引例1の要素11が対応);

           前記B入力部に入力された前記信号を補正するC補正部;and

           前記C補正部が補正した前記信号を用いて前記A表示部が前記画像を表示するように制御するD制御部(引例1の要素12が対応)。

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「な~るほどね。ところで今回の発明で、C補正部がD制御部から分離して記載してあるけど何で?」

『はい、この補正処理って負荷が大きいらしいんです。これを制御部にさせると、動作が遅くなるそうなんです。それで今回の発明では、C補正部がD制御部とは別体になっていて、動作速度が速くなるようにあるそうです。』

「そうか、じゃあこんな反論はどうだろう。今回のオフィスアクションでは、クレームの各要素が引例1のどの要素に対応するか示してあるけど、C補正部に対応する要素だけ示されていないよね。これは、MPEP 2131違反になるんじゃないかなぁ。MPEP 2131には“A claim is anticipated only if each and every element as set forth in the claim is found, either expressly or inherently described, in a single prior art reference.”と書いてあり、審査官は全ての要素に対して一対一の対応関係を示すように促されているんだ。今回のオフィスアクションではC補正部に対応する引例1の要素が示されていないので、MPEP 2131違反だと反論してはどうだろう。」

『な~るほど、そうか!これで権利化OKですね!』

「ん~ん、反論だけでは厳しんではないかなぁ。多分審査官は、D制御部に対応する引例1の要素12がC補正部にも対応すると考えていると思うよ。その反論だけではたぶん、次のオフィスアクションで引例1の要素12がC補正部にも対応するって言われ、新規性欠如が維持されるんじゃないかなぁ。」

『でも、引例1の要素12はD制御部に対応するんでしょ?!C補正部にも対応するってずるいんじゃないですか!』

「そうだね。でも今回のクレームには、C補正部とD制御部とが別体だとは一言も言っていないよね。そのため次のオフィスアクションで、引例1の要素12がC補正部にも対応するって言われたとしても、このままでは反論できないと思うよ。でもさっきキミが教えてくれたように、今回の発明ではC補正部とD制御部とが別体であることに意味があるんだったよね。動作速度が速くなるという効果があるんだったよね。そこで、さっきの反論とともに、C補正部とD制御部とが別体であるという限定補正をしてはどうだろう。引例1の要素12がC補正部にも対応するって言わせないように、先手を打ってはどうだろう。」

『そうか、な~るほど!クレームでは当たり前みたいなことでも言葉にしないとダメなんですね。そうしてみます!』


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