同一性がある場合にのみtheをつける

『英文明細書マニュアル』の一部をご紹介しています。

英語の名詞について、初出の名詞にはaをつけ、既出の名詞には2回目以降theをつけるという原則がありますが、これには例外があり、『例文詳解 技術英語の冠詞活用入門』はこの例外を「theをつけるのはその前に出た名詞と同一性がある場合に限られる*」と説明しています。

次の例文では、free bodyが2度出てきますが、2度ともa free bodyとなっており、2回目以降theをつけるという原則に従っていません。

We mentally isolate the body we wish to analyze from all other bodies it is in contact with and also from the influence of the earth. Thus we obtain a free body. Figure 4 shows the beam of the previous figure isolated as a free body.
(われわれは解析したいと考えている物体をその物体が接触しているあらゆる物体や地球からの影響から頭の中で分離する。このようにして、自由物体が得られる。図4は前の図のはりを自由物体として分離したものを示している)*

この例外について、『例文詳解 技術英語の冠詞活用入門』は次のように解説しています。

  2度目がthe free bodyになっていないのは最初のfree bodyは一般概念としてのfree bodyであるのに対し、後のfree bodyは不特定の意味のfree bodyで、両者は異なるからである。書き手の意識のなかでは2つが別々のものとしてとらえられているのである。一方、日本語をみるとどちらも「白由物体」となっており、意味の違いがわかりにくい。このような場合に「既出の名詞には2回目以降theをつける」と機械的に覚えているとtheをつけてしまいやすいのである。

この考え方は特許翻訳にも当てはまり、特許翻訳において例えばa free bodyとthe free bodyが混在している状況(the free bodyの後にa free bodyと書く必要がある状況)は十分にあり得ると思われます。

*原田豊太郎. 例文詳解 技術英語の冠詞活用入門. 日刊工業新聞社, 2004, pp.37-38.

 

-英文明細書マニュアル

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