「〜できる」はcanやpossibleではダメなときがある


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特許明細書によく出てくる
「〜(することが)できる」
という表現をどう訳すべきかいつも迷うので
解説してほしいというご要望をいただきました。

これについて
当社の翻訳方針をご紹介したいと思います。

特許明細書で「〜(することが)できる」が
最もよく使われるのは、
発明の効果を述べる文脈においてではないでしょうか。

例:「本発明の装置によれば、産出量のばらつきを抑制することができる」

そして、
これを「できる」として一般的なcanを使って
次のように訳している翻訳文をよく見ます。

The device according to the present invention can prevent variation in output.

当社では、このような文脈において
canは使っていません。

というのは、canには「可能性」という
ニュアンスがあり、

発明の効果という文脈でcanを使うと可能性のニュアンス、
つまり「抑制するかもしれないし、しないかもしれない」
というニュアンスが出てしまい、
効果の表現として説得力に欠けます。

むしろここでは「抑制する」と言い切った
ニュアンスの英語にした方が
説得力があると考えています。

このように考えて、
当社では次のようにしています。

The device according to the present invention prevents variation in output.

実際にはこれを次のように
書き換えています。

The device according to this embodiment eliminates or minimizes variation in output.

「可能性」としてのcanは次のように定義されています。

used for saying what is possible
http://goo.gl/nycgtK
(Macmillan Dictionary)

“used for saying what is possible”
を見て分かる通り、possibleもcanと同様に
上記文脈では使うべきでないことが分かります。

it is possible to prevent variation in output

などとすると、
「産出量のばらつきを抑制する可能性がある」となり、
「抑制しない可能性」もあることを示唆しているため、
効果の表現としては説得力に欠ける上、
「抑制しない可能性」がない場合に使うと誤訳になります。

さらに、この文脈でallowを使用する翻訳文をよく見ますが、
allowは「許可ないし不干渉」というニュアンスがあるため
この文脈には適していないと考えています。

allowについて詳しくは、
当社ブログ記事『cause、make、allow、letの誤用』
http://goo.gl/8u8nM7
を参照してください。

allowと同じく翻訳文でよく目にする
permitも同様です。

もちろん、
「〜(することが)できる」が
可能性の意味で使われていることもあります。

例:「Xは、ZとYに大別することができる」

この場合、
人によってはこのような大別をしない「可能性」があるため、
canを使って次のようにしています。

X can be roughly classified into Z and Y.

これを次のようにcanなしで表現すると、
「しない可能性」を無視した主観的な表現になる
と考えています。

X is roughly classified into Z and Y.

可能性が意図されたその他の例として、
代替案を述べる文脈があります。

例:
「なお、本実施形態においては、AはB型としたが、
これに限られることなく、C型とすることもできる。」

これを当社では例えば次のようにしています。

While in this embodiment A is of B type, B type should not be construed in a limiting sense. Another possible embodiment is that A is of C type.

もっとすっきりと書くと、
次のようになります。

While in this embodiment A is of B type, A may be of C type.

このように、
「〜(することが)できる」
は文脈によってcanを使えるのか、
それとも別の表現を使うべきなのかを
しっかりと考えるようにしています。


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