『米国出願用特許翻訳・重要ポイント解説』質問への回答


今回は、メール講座を購読している翻訳者の方から
非常によくいただく質問について
回答させていただきます。

よくいただく質問とは、
私がメール講座で説明していることは
原文の大幅な変更を伴うことが多く、
これがいくら良いプラクティスだとしても
クライアントは不安に思うのではないか、
というものです。

「大島さんは確かに正論を言っていますが、
訳文に原文と異なる部分があるということで
クライアントから問い合わせあるいは批判がくる
かもしれないことを考えるとメール講座の内容を
実際の仕事に使う自信がありません」

という質問を翻訳者さんから多くいただきます。

まずお断りしておきたいのは、
メール講座は翻訳者だけに向けて書いたものではない
ということです。

実際、購読者には翻訳者だけでなく、
企業の知財部や特許事務所の方も
非常に多くいらっしゃいます。

一方、質問をくださった翻訳者さんが仰ることも
たいへんよく理解でき、共感できます。

質問について、私は次のように考えています。
私が納品したものをクライアントが不安に思うのは
私がクライアントに信頼されていないからだ、と。

信頼していない人がやることを
受け入れ難いのは
誰でもそうだと思います。

特に、メール講座で説明している段落の移動などは
しっかりした翻訳がまだできていない翻訳者さんは
すべきではないと思います。

これはクライアントの立場になってみれば分かります。
翻訳の質が良くない上に段落を勝手に移動している翻訳というのは、
商品としてはめちゃくちゃではないでしょうか。

こういう翻訳をする人を意外とよく見かけます。

特許事務所で外国案件を手がけた経験があり、
外国のプラクティスには詳しいものの、
肝心の翻訳を見てみると、
翻訳の研究はお留守になっているように思われる
翻訳者さんなどです。

このような翻訳者さんは
謙虚に翻訳の研究も続けていかないと
次第に誰にも相手にされなくなります。

クライアントが翻訳者に求めているのは
外国のプラクティスに関する知識ではありません。
そんなことはクライアントの方が何倍もよく知っています。

クライアントが求めているのは
しっかりとした翻訳です。

しっかりとした翻訳を提供し続けて
信頼を得てから初めて、
段落を移動するなどの意見にも
耳を傾けてもらえるかもしれません。

したがって、私も含め翻訳者は、
まずは翻訳の質を高める努力をして、
クライアントの信頼を得ることが大切だと思います。

2年ほど前、私の会社では新規のクライアント
(機械メーカー)と取り引きを始めました。

上記のようにまずクライアントの信頼を得ることが
大切だと考え、いい翻訳を提供することに徹し、
プラクティス上の提案はコメントに詳しく記入しておきました。

しばらくしてからクライアントから高い評価をいただくようになり、
コメントに書いていた提案も取り入れてもらうようになりました。

そしてその後、
私の会社が翻訳するようになってから
米国でのRCE(継続審査請求)
の回数が劇的に減ったということで大変喜ばれ、
今年から出願用の翻訳をすべて私の会社が
担当することになりました。

このように、
翻訳者の本分はいい翻訳を提供することだ
ということを肝に銘じて日々精進しています。


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