離れているものを関係付けるテクニック


特許翻訳(英訳)には、離れているもの同士を関係付けるというテクニックがあります。これは、簡潔且つ説得力のある英文を書くためには是非身につけたいテクニックだと考えています。

非常にシンプルな例を見ながらご説明します。次のような日本語の原文があるとします。

「ヘラ102は、弾性を有する素材で形成されており、ヘラ102を壁部200に押し付けて方向Aへ移動させるとたわむように構成されている。」

これを「普通」に英訳してみた例が次です。

The spatula 100 is made of an elastic material, and when the spatula 100 is pressed against the wall 200 and moved in direction A, the spatula 100 bends.

この訳文でも全く問題はないと思いますが、原文をよく見ると、「弾性を有する素材」が「たわむ」を可能にしていることが分かります。

この2つは原文ではお互いに離れたところにありますが、実は密接な関係にあり、この関係を英訳に盛り込むことによってより簡潔になり、且つ説得力が増します。

The spatula 100 is made of an elastic material that enables the spatula 100 to bend when the spatula 100 is pressed against the wall 200 and moved in direction A.

文脈によっては、次のようにしてもいいかも知れません。

The spatula 100, which is made of an elastic material, bends when the spatula 100 is pressed against the wall 200 and moved in direction A.

The spatula 100, made of an elastic material, bends when pressed against the wall 200 and moved in direction A.

弾性とたわみが関連しているなんて当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、関連付け可能なもの同士があたかも関係のないことのように英訳され、結果として説得力が弱くなっている英訳をよく目にします。

米国特許弁護士がクレームの英訳をリバイズすることがありますが、リバイズ作業の中心を成すものが、上記のような関連付けによるクレームのポイントの明確化です。

このようなスキルを身につけるためには、想像力(創造力とも言えるかも知れません)を駆使して関連付けられるものはないか注意しながら英訳する努力をしていくことが必要だと考え、私は実践しています。

関連付けの方法については、ここでも詳しく取り上げています。
『実践・米国式特許クレーム作成講座』
http://beikokupat.com/usclaim_drafting/


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