効果に説得力をもたせるための英文の工夫 ~「・・・を使用することにより」とotherwise~


日本語で書かれた特許明細書に記載されている効果を英訳するにあたり、説得力のある英文にするために当社が工夫している点をご紹介します。例えば、次のような効果を記載した一文があるとします。

「支持体に弾性材を使用することにより、振動や振動からのノイズ低減に資することができる。」

これを当社なら次のように英訳します。

The presence of elastomeric material in the support structure helps reduce vibrations and noise that might otherwise arise from vibrations.

まず、「支持体に弾性材を使用すること」の「使用する」を“presence”と表現しています。これは、振動やノイズの低減という効果は、弾性材を使用するという行為により実現されるのではなく、弾性材が存在することにより実現されると表現する方が英語として自然であろうと思われるからです。また、「使用する」という表現は、その動作主(人間と思われます)の影がちらつき、この文脈では不要なニュアンスが出るのも気になるところです。

次に、「振動からのノイズ低減」を“noise that might otherwise arise from vibrations”としています。“otherwise”という、原文に対応するものがない語を加えていますが、ここで“otherwise”を加えることは重要だと当社では考えています。“otherwise”は「そうでなければ」という意味で、ここでは「支持体に弾性材を使用しなかった場合」ということを表しています。ここで“otherwise”を加えないと、望ましくないはずの“vibrations”(振動)の存在を許してしまっていることを書き手が自ら認めているか、ノイズを低減する程度にまで振動を低減できていないかのような印象を読み手に与える可能性があります。これは、英文として説得力がないどころか、効果を自ら否定していると解釈されかねません。“otherwise”を加えるだけで、振動が低減し、それに伴ってノイズも低減することを表現できます。また、“otherwise”は、「そうでなければ」という意味以外にも次のように「それ以外は」といった意味にも使えます。

「実施形態2の装置10Aのその他の構成については、実施形態1の装置10と同様のため説明を省略する。」

これを“otherwise”を使って次のように表現できます。

The device 10A according to embodiment 2 is otherwise similar to the device 10 according to embodiment 1 and will not be further elaborated here.

最後に、原文の「資することができる」の「できる」は訳出せず、単に“helps reduce”としています。あるいは、単に“reduces”でもいいと思います。これについては、『「〜できる」はcanやpossibleではダメなときがある』で説明しています。


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