preambleの限定をクレーム本体に移動させる

米国式特許クレームを作成するにあたり、日本語で書かれた請求項の前提部に記載された限定を、米国クレームでは本体に移動させるというプラクティスが有効な場合がある。

以下の様な内容の日本語クレームがあったと想定する。

(クレーム)タッチパネルを有する携帯電話端末において、筐体を2つに折り畳んで重ねる畳重構造を備えることを特徴とする携帯電話端末。

(内容)スマートフォンであるが、従来のガラケーのように2つに折り畳んで重ねることができるようにした発明。

この日本語クレームに対するUS用クレームの翻訳を検討する。原文要素の記載構成を反映させるようにした場合、次のような翻訳構成1が考えられる。

(翻訳構成1)A タッチパネルを有する携帯電話端末, comprising a 筐体を2つに折り畳んで重ねる畳重構造.

この翻訳構成1を採用した場合、次の点に注意が必要である。具体的には、「タッチパネル」が無視されて、「携帯電話端末」と「筐体を2つに折り畳んで重ねる畳重構造」だけに焦点を当てた審査が行われ得ることに注意が必要である。つまり、この翻訳構成1を採用した場合、「タッチパネル」が無視された結果、従来のガラケーを引例として新規性欠如の理由が構築され得ることに注意が必要である。なぜなら米国審査では、「comprising」の前にある記載を「プリアンブル」・後にある記載を「ボディ」と区別して、「プリアンブル」にある記載内容は自認の従来技術であるから特許的ウェートがないと判断される傾向にあるからである(MPEP 2129のIII JEPSON CLAIMS)。

そこで、日本語クレームに記載してある要素全てに特許的ウェートを与えるためには、「プリアンブル」に記載する要素を少なくする対応が有効である、と考えられる。そのため、今回想定した日本語クレームに対しては、「タッチパネル」を「ボディ」に移動させた次のような翻訳構成2が有効であると考えられる。

(翻訳構成2)A携帯電話端末, comprising a タッチパネル;and a 筐体を2つに折り畳んで重ねる畳重構造.

 

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