respectivelyを正しく使う
日本語明細書には,「それぞれ」という表現が頻出します。原文の内容によってrespectivelyを使用して英訳すべき場合と,「それぞれ」を訳出する必要がない場合とがあります。
・例:AとBは,それぞれaとbに接続される。
・訳例:A and B are connected to a and b, respectively.
・より好ましい訳例:A is connected to a, and B is connected to b.
最初の訳例ではrespectivelyが使用されており,これによりAがaに接続され,Bがbに接続されることを示す役割を果たしています。2つ目の訳例ではrespectivelyが使用されておらず,代わりにAがaに接続され,Bがbに接続されることがはっきりと書かれています。最初の訳例はrespectivelyの上記役割を読み手が知っていることが前提になっており,そのような前提のない2つ目の訳例の方が好ましいといえます。
次の例における「それぞれ」は,respectivelyを使用する必要のない(使用してはいけない)例です。
・例:Aはaに,Bはbにそれぞれ接続される。
この例では,Aがaに接続され,Bがbに接続されることがはっきりと書かれているため,respectivelyを使用する余地がありません。訳例としては,上記「より好ましい訳例」と同じとなります。
本コラムは、『特許翻訳者のための米国特許クレーム作成マニュアル』から一部を抜粋したものです。