英語コミュニケーションのコツ:5つの極意で仕事に使える英会話スキルをレベルアップ!

新年度が始まり別の部署に異動したり、新しい仕事を任された人も多いのではないでしょうか?その中でも海外の拠点のサポートや外国企業との交渉で英語で話す必要がある仕事についた人も多いと思います。そこで今回は大学から単身でアメリカにいる私、野口が実践で得た「使える」極意5つを紹介します。

一番避けたいのはお互いが黙ってしまう間ができること

極意を話す前に、英会話で一番やってはいけない(やると落ち込む)ことを教えます。

それは話している相手との会話がなくなり黙っている「間」ができてしまうことです。

これは日本人同士でもあることですよね。一度会話が途絶えるとそれまでのリズムが崩れるので、お互いに気まずくなります。このような現象を英語では「awkward」と言いますが、日本人の場合、英会話に慣れていないと、このような「間」ができやすいです。私も何回も経験しました。

このようなことは日常英語を使って仕事をしている人でも起きることがあります。特に、メールや資料などの文字ベースの英語は問題なく読み書きできる人でも、会話になるとリアルタイムで英語を話したり聞いたりしないといけないので、英会話に苦手意識を持っているひとも多いかもしれません。

前提は文字ベースでの英語のやり取りを仕事でやっている人

これから具体的な英会話スキルの話をしますが、以下のコツはすでに英語に慣れていて、英語を使って仕事をしている人を前提にして話しています。特に、英語のメールのやり取りで十分コミュニケーションを取れている人、自分の専門分野では英語の資料も作成できるような人を想定しています。

コツ1:まずは度胸、これなしでは会話は成立しない

最初のコツが精神論のようなものになってすいません。

しかし、そもそも英語で会話を始める勇気と会話を続けていくという度胸がないと何も始まりません。

こんなことは当たり前と思うかもしれませんが、私の経験上、この「度胸を持つ」という決断ができるかどうかは、英会話の上達に大きな影響を及ぼします。

というのも、私が日本にいた学生時代は、外人ぽい人を見かけると会話にならないように避けていた経験があるからです。自分の発音や文法などが「完璧じゃない」、相手の話が聞き取れなかったらどうしようなど、自分の英語スキルのなさから自信が持てずにいたので、無意識に(意識していたときもありましたが)英語を話す場から逃げていました。

しかし、イギリスやアメリカに単身で留学するという強制イベントのおかげで、現地で生きていくためにどうしても英語でコミュニケーションを取らないといけなかったので、そこから自然に「度胸」がついてきました。そして毎回落ち込んでいても何も始まらないと思うようになり、徐々に私の英語を聞き取れないのは相手の責任、自分が相手の英語を理解できないのは相手の説明不足と考えるとても自分勝手な考えを持つようにして何度も壁を乗り越えてました。

この度胸から得られた都合のいい考え方があったからこそ、現役の特許弁護士としてアメリカで働けている自分があるのだと思います。

コツ2:「話す場」を体系的に考えてみる

よく英会話がうまくなりたいという人の中に、すべての会話を一緒くたに捉えている人がいます。しかし、英語を使うときの状況や相手によってコミュニケーションの性質が変わってくるので、「話す場」を分けて、それぞれにあったアプローチをすることで会話がスムーズに行くことがあります。

例えば、仕事における英会話を考えた場合、主に1)業務に関わる話、2)雑談の2つに分けることができます。

1)の業務に関する話の場合、対面でもビデオ・電話会議であっても、話す前にその場で話す内容(つまりアジェンダ)が決まっていると思います。このような英会話は、事前に当事者間の共通認識があり、実際の会話もアジェンダというレールに従って行われます。そのため、会話がうまく進まなくなっても、アジェンダに戻ることで修正でき、
英会話で一番避けたいお互いが黙ってしまう間を最小限に留めることができます。

同じ業界の人だったらなんとなくお互いのやることはわかっているので、言語を超えた部分での意思疎通が取りやすいというメリットもあります。私がアメリカでよく見る日本の技術者が英語しかわからない現地の技術者とコミュニケーションを取れるのはこの要素が強いと感じています。

次に、2)雑談ですが、実はこっちの方が英語のスキルとしてはハイレベルです。なぜかと言うと、業務に関する話とは違い、テーマがきまっておらず、そのときの流れによってダイナミックに話すことが変わるからです。相手とのリアルタイムでの意思疎通ができていないと、適切な受け答えに迷ってしまい、お互いが黙ってしまう間ができやすい傾向にあります。

このように「話す場」を体系的に考えてみることで、自分にあった英会話スキルのレベルアップができるようになります。

基本的には自分が得意だと思うことから始めた方が自信がつきます。なので、例えば、まずは自分の今までの経験が活かせる1)の業務に関する英会話を積極的におこない、そこでの経験から自分の英会話スキルに自信が持てた段階で、徐々に2)の雑談に挑戦するというようなアプローチをすると無理なく英会話スキルを高めることができるのではないでしょうか?

コツ3:会話をコントロールできるようになる

コツ2では雑談はハイレベルというお話をしましたが、雑談をマスターする方法の1つとして、会話をコントロールするという方法があります。

雑談は言葉のキャッチボールなので、テーマを事前に全て決めておくことはできませんし、相手が興味のないことを永遠に話すのは良くないですが、それでも相手の話題に翻弄されずに、ある程度の会話の主導権を握りつつ雑談をしていくことは大切です。

会話をコントロールできるようになれば、フリートークで形のない雑談にある程度の枠組みを設けることができ、話す話題もある程度予想できるようになります。

しかし、最初から会話のすべてをコントロールすることは不可能ですし、やりすぎは良くないので、まずは初対面のときはほぼ毎回最初におこなう「自己紹介」をマスターするところから始めましょう。

会話は最初が一番緊張するものです。しかし、逆に言うと、最初に話すであろう「自己紹介」を自信を持って言うことができれば、そのリズムでその後の会話もスムーズにいく可能性が高くなります。

なので、特に高度な英会話スキルが要求される雑談に挑戦したい方は、自分の自己紹介をマスターすることに時間を割いてください。自己紹介を寝ぼけていても英語で言えるレベルまでになれば、会話の最初の一手を頭で考えなくても打つことができます。そうすれば、話し相手の表情や話している内容にも耳を傾ける余裕ができ、雑談に慣れてきます。

プロチップ: 自己紹介では「オチ」を用意してください。話している人にもわかるネタでないといけないですが、相手を笑わせようとする意識が伝わると、相手も面白がって話が盛り上がる傾向があります。アメリカの社会に溶け込んでる日本人に関西人の方が多い印象があるのもそれが理由かもしれません。

コツ4:話し相手のことを事前に調べる

会話は話し相手とのキャッチボールで、相手に興味があることは喜んで話してくれます。そのため、もし英会話をする相手の素性が事前にわかるようであれば、事前に話し相手のことを調べておくことをおすすめします。

例えば、アメリカの弁護士さんと話すことがわかっているのであれば、大体の場合、その弁護士さんのプロフィールはホームページに載っています。そこでその人の経験や経歴がわかります。また、アメリカ人の多くはLinkedInというプロフェッショナル用のSNSのアカウントも持っているので、その人のことをLinkedInで探してみたり、他のTwitterやInstagramなどでアカウントを探してみるのもいいでしょう。このようなSNSは実名でやっている人が多いので、探すのは比較的簡単です。特に、Instagramからは、家族との写真や旅行、暮らしの様子などがわかることがあるので、雑談のネタにするには好都合な情報がたくさん詰まっています。

事前に調べたネタに関する質問を会話に織り交ぜると、会話をコントロールできるようになります。そうなるとコツ3で話したように、英会話がやりやすくなります。

会う人すべてにこのようなことはできないかもしれませんが、話題として聞けるネタをいくつか持っていると安心感が違います。会話が途絶えて黙ってしまう間ができても、すぐに持っているネタに関する話題を提案できるので、会話を継続することができます。

コツ5:聞くときはキーワードに集中する

事前に話し相手のことを調べられない場合でも、英会話をうまくやるコツがあります。それは、キーワードに集中することです。

私達は相手が話していることなるべく理解しようとして、内容をできるだけ詳しく聞こうとします。でも、英会話に慣れていなかったり、話している人のアクセントが自分に合わない場合、すべての内容を正確に把握するのはとてもむずかしいです。

そして、会話(特に雑談の場合)はその性格上、その場の流れで話がコロコロと変わっていきます。なので、英会話であっても、相手の言っていることを毎回すべて正確に理解した上で返答をしなくても、会話を成立することができます。

そのため、自分が聞く側になった場合は、相手が話すキーワードに集中して、そのキーワードから話題を展開するように話を進めるように意識すると、うまく会話が進むことがあります。

たまに、相手の言っていることを正確に理解しようとするために「もう一度言ってください」みたいに何度も相手に同じことを言わせるような会話を見かけますが、そのようなことが何度も続くと相手も気まずくなります。そうではなく、逆にすべてを理解できないと割り切って、聞くときはキーワードを聞き取ることに集中して、そこから話を膨らますことに意識を向けてみてください。

実践経験あるのみ

今回は5つのコツを「極意」として紹介しましたが、頭でっかちになっていても、英会話のスキルはレベルアップしません。学んだスキルを実践して初めて自分のものにすることができます。

最近は気軽に英会話できる機会も増え、様々なサービスやアプリ、コミュニティーがあります。その中から自分のライフスタイルにあったものを選んで、今回紹介した5つのコツを1つでも実践してもらえたら嬉しい限りです。

私も知財コミュニティーを運営していて、その中で英会話クラスもやっています。知財に特化した専門的な英会話スキルを学びたいのであれば、ぜひ無料体験レッスンに申し込んでみてください。

野口剛史
米国特許弁護士

 

野口剛史 | Koji Noguchi

米国特許弁護士
ジョージア州弁護士。東京都出身。ジョージア工科大学航空宇宙工学学部卒業。アトランタジョン・マーシャル法科大学法務博士。大学進学で渡米、大学時代は工学を学んでいたが、卒業後に働きながらパテントエージェントの資格をとり、さらに法科大学に通い、弁護士資格を取得。その後は、工学と法律の知識を活かし、特許、商標、企業機密など知的財産に関わる分野で米国特許弁護士として活躍する。

また、アメリカでの知財業務の経験と知識を活かしOpen Legal Community というアメリカの知的財産情報を日本語で提供するメディアの運営も行っている。現在、600人以上の日本人知財プロフェッショナルが毎週送られるメーリングリストに登録している。

 

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