書籍紹介:『現代アメリカ法入門 アメリカ法の考え方』

現代アメリカ法入門 アメリカ法の考え方』(丸田隆著)は、現代のアメリカ法について分かりやすく解説している本です。個人的には、アメリカ法について、普段新聞やテレビドラマなどで耳にしたことはあるが詳しくは知らなかったことが本書を読むことで理解できました。「Law & Orderで言っていたことはそういうことだったのか!」というような発見がいくつもありました。

例えば、次のようなことが詳しく説明されています。

コモンロー(アメリカ法の基本となっており、12世紀にイングランドで始まった王立裁判所を起源とする、判例を重視する主義)、
・判例主義(Case Law、「アメリカのコモンロー・システムの基礎である」p.69、「先例と、現在直面している事案の法律問題に共通性があるかどうか決定するために、裁判官は審判対象事件について判断を下す際に、法的争点に関する先例の決定を考慮しなければならない。」p.70)
・ロースクールで行われるソクラティック・メソッド(「教員は、事案(case)について批判的な思索を刺激する一連の質問を学生に矢継ぎ早に発して、多様な争点について自分の考えを瞬時に組み立て、同時に返答することを学生に求める」p.18)、
・法律事務所の運営について(経営に参加できるのはエクイティ・パートナーからで、その上にマネージング・パートナー、シニア・パートナーがいる)、
サーシオレイライ(州最高裁判所の判断に不服の場合に連邦最高裁判所に再審理を求めること)、
・特許権・著作権に関する訴訟は連邦裁判所の管轄であること、
・クラスアクション(集団代表訴訟。これに参加することをopt-in、参加しないことをopt-outという)、
・ディスカバリ制度(民事訴訟で正式な審理に入る前に当事者同士で情報や証拠を開示し合うこと)、
・ミランダ警告(警察が被疑者を逮捕する際に言う「あなたには黙秘する権利があります」などのおなじみの文言)が導入されるに至った経緯。

また、本書には、和書・洋書を含め参考文献の紹介が多く、次にどの本を読んで研究を進めるべきかの参考になります。

本書ではまた、法律関連の映画もいくつか紹介されており、ハーバード・ロースクールででのソクラティック・メソッドが再現されている映画として『ペーパーチェイス』という映画が紹介されています。

キングスフィールドという強烈なキャラクターをもった教授が、講義で学生を指名し、次々と質問を投げかけていくソクラティック・メソッドのシーンは一見の価値があります(とても面白いので是非見てくださいとは決して言えませんが、ハーバード・ロースクールの壮絶な授業と試験の様子を見てみたい人にはオススメです)。

ハーバード・ロースクールの関連でいうと、『推定無罪』の著者Scott Turowがハーバード・ロースクールで過ごした1年間を描いた『One L: The Turbulent True Story of a First Year at Harvard Law School』というノンフィクション作品があります。

また、学生がロースクールで格闘する様子を生々しく描いた作品としては、米国弁護士の服部健一氏による『日米特許戦争の狭間で―米国特許弁護士・パートナーへの3000日』は上記作品群に負けていないと思います。ロースクールに入学し卒業してから米国法律事務所のパートナーに登り詰めるまでの様々な苦労が非常にリアルに、ときにユーモアをもって描かれています。

-書籍紹介

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