コラム特許翻訳:代名詞とrespectivelyについて~


代名詞を極力使用しない

英文明細書において,代名詞は,何を指しているのかが100%明らかな場合を除いて,使用しないことが推奨されます。

例:腕部4と脚部12は胴体部17に接続され,またこれらは金属よりなる。

・避けるべき訳例:
The arm 4 and the leg 12 are connected to the torso 17, and they are made of metal.

この訳例は,theyがarm 4,leg 12,body 17すべてを指すと誤解される可能性を否定できない英文となっています。

・好ましい訳例1:The arm 4 and the leg 12 are connected to the body 17, and the arm 4 and the leg 12 are made of metal.
・好ましい訳例2:The arm 4 and the leg 12 are connected to the body 17 and (are) made of metal.

上記2訳例とも,代名詞「これら」に対してtheyなどを使用せずに英訳しています。

respectivelyを正しく使う

日本語明細書には,「それぞれ」という表現が頻出します。原文の内容によってrespectivelyを使用して英訳すべき場合と,「それぞれ」を訳出する必要がない場合とがあります。

・例:AとBは,それぞれaとbに接続される。
・訳例:A and B are connected to a and b, respectively.
・より好ましい訳例:A is connected to a, and B is connected to b.

最初の訳例ではrespectivelyが使用されており,これによりAがaに接続され,Bがbに接続されることを示す役割を果たしています。2つ目の訳例ではrespectivelyが使用されておらず,代わりにAがaに接続され,Bがbに接続されることがはっきりと書かれています。最初の訳例はrespectivelyの上記役割を読み手が知っていることが前提になっており,そのような前提のない2つ目の訳例の方が好ましいといえます。

次の例における「それぞれ」は,respectivelyを使用する必要のない(使用してはいけない)例です。

・例:Aはaに,Bはbにそれぞれ接続される。

この例では,Aがaに接続され,Bがbに接続されることがはっきりと書かれているため,respectivelyを使用する余地がありません。訳例としては,上記「より好ましい訳例」と同じとなります。

 

本コラムは、『特許翻訳者のための米国特許クレーム作成マニュアル』から一部を抜粋したものです。


カテゴリ: コラム特許翻訳

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