WIPO標準に基づく公報の表記方法


日本語明細書には,【発明の詳細な説明】などにおいて,例えば「特開2016-654321号」といった公報番号が記載されています。

日本語明細書を英訳するにあたり,このような公報番号を「JP2016-654321A」のようにWIPO標準に基づいて表記する方法があります。

日本の特許庁で発行された公報をWIPO標準で表記する一方法について見ていきます。

WIPO標準(Standards)とは,WIPO(World Intellectual Property Organization,世界知的所有権機関)が推奨する文献表記のための標準ルールであり, “Standards” からわかる通り,複数の標準ルールが存在します。これら標準ルールのうち,上記のような公報の表記にはST.3※1(発行国コード)とST.16※2(文献種別コード)を使用します。

発行国コードは,各国を2つのアルファベットで表すもので,例えば日本は「JP」,米国は「US」であり,それぞれ日本国特許庁と米国特許庁で発行された文献であることを表すために使用されます。冒頭の例では,「JP2016-654321A」の「JP」が発行国コードに当たります。

文献種別コードは,「1つのアルファベット」または「1つのアルファベット+数字」で公報の種類(公表レベル※3)を表すもので,公報番号の末尾に付されます。例えば,「A」は日本では公開特許公報(または公表特許公報(下記の表参照))を表す文献種別コードであり,冒頭の「特開2016-654321号」の「特開」は公開特許公報を表しています。したがって,「JP2016-654321A」のように公報番号の末尾に「A」が付されています。

このように,発行国コードと文献種別コードを使用した「JP2016-654321A」という表記により,この公報が「特開2016-654321号」であることが国際的に理解されるようになっています。ただし,両者の対応関係をより確実に理解されるようにするために,「JP2016-654321A」の後に「特開」に対応する英語の一例である “published unexamined patent application”※4をつけて「JP2016-654321A (published unexamined patent application)」などとすることも考えられます。

文献種別コードは「A」以外にも数種類あり,「A1」のようにアルファベットと数字の組み合わせになっている場合もあります。日本の特許庁で発行される公報のうち,主要な公報の文献種別コードは次の表※5のようになっています。公報の種類により適切な文献種別コードを選択して表記を行います。

公報種別 文献種別コード 備考
公開特許公報 A ・「特開」
・Published unexamined patent application※4/Publication of unexamined patent application※6
公表特許公報 A ・「特表」
・外国語によるPCT出願の日本移行後に日本語翻訳を公開したもの。
再公表特許 A1 ・「再表」
・日本語によるPCT出願が国際公開された後,同じ内容を日本国特許庁が公開したもの。利用されることは少ないとされている。
特許公報 B1,B2 ・「特許」
・Published examined patent application※4
・B1は公開公報(A)が未発行の場合(Publication of examined patent application or granted patent (without publication of patent application) ※6)。
・B2はAが発行済みの場合(Publication of examined patent application or granted patent※6)。
登録実用新案公報 U ・「登録実用新案」
・Publication of unexamined utility model application or registered utility model※6

 

※1

WIPO. STANDARD ST.3, 2019
https://www.wipo.int/export/sites/www/standards/en/pdf/03-03-01.pdf

※2 WIPO. STANDARD ST.16, 2019
https://www.wipo.int/export/sites/www/standards/en/pdf/03-16-01.pdf
※3 一般的に,文献種別コード「A」を第1公表レベル(first publication level:出願後に最初に発行された公報のレベル),「B」を第2公表レベル(second publication level:登録後に発行された公報のレベル),「C」を第3公表レベル(third publication level:訂正後に発行された公報のレベル)と呼ぶ。
TEIWiki. Encoding Patent Bibliographic References, 2013
https://bit.ly/2GX4gj8
※4 WIPO. EXAMPLES AND KINDS OF PATENT DOCUMENTS, 2016
https://bit.ly/3jXIaM2
※5 詳しくは以下を参照。
特許庁. 公報発行案内, 2016
https://bit.ly/376iYzn
※6 Japan Patent Office. Use of Patent Information (Including J-PlatPat), 2016
https://bit.ly/3j2z0g1

本コラムは、『特許翻訳者のための米国特許クレーム作成マニュアル』から一部を抜粋したものです。


カテゴリ: コラム特許翻訳

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