英文特許クレームにおける"whereby"の使い方について、Patent Practice(Irving Kayton著)を参照しながら見ていきます。
"whereby"の意味
まず、"whereby"は機能的表現の一つで、以下に解説される「正しい用法」を守る限りクレームにおいて使用できるとされています。
A "whereby" clause is always proper when it merely describes a function or operation that necessarily follows from the previously recited structure.*1
("whereby"は、それよりも前に述べられた構造から必然的に起こる機能や作用を表すためのみに使用するのが適切)
"whereby"の使い方がこの用法に反している場合、つまり、"whereby"の前に述べられた構造から必然的に起こるわけではない機能や作用を表すために"whereby"を使用した場合、"whereby"の不適切な使用とみなされる可能性があります。
こういったことから、"whereby"は"it follows from the foregoing that..."*2という意味といえます。
"whereby"の位置
"whereby"は、通常、クレームにおいて説明文の最後に記載します。例えば、ある一つの要素について説明文の場合、この説明文の最後に"whereby"を記載し(後述の例文参照)、複数の要素の組み合わせについて説明文の場合、すべての要素の説明文の最後に"whereby"を記載します。
"whereby"のもう一つの用法
"whereby"は、それよりも後の記載に対する先行詞(antecedent basis)を記載するために使用されることがあります。
例えば、化合物Aと化合物Bを反応させて物質Cを生成する場合、次の例のように"whereby"節のなかで物質C(product C)について言及し、このproduct Cが先行詞となってそれ以降"the product C"とすることができます。
A process for making product D, comprising the steps of: (a) reacting a reaction mixture of A and B under conditions XYZ, whereby a product C is formed; (b) separating the product C from the reaction mixture;...*3 |
このように、生成物を"whereby"を使って明示する用法は、特許翻訳においても非常に便利な用法です。
*1, *2, *3:Kayton, Irving. Patent Practice, Vol.3, 8th ed. Patent Resources Institute, 2004, pp.3.33-3.34.