グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』から学ぶ特許英語 ~as a resultとas the result~


グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』を題材に、特許翻訳における適切な英語表現について考えていきます。

今回は、「as a result」と「as the result」について見ていきます。

第1編 よく誤用される単語と表現 Chapter 15 ~as a resultとas the result~

<概要>as a resultとas the resultの違い

as a resultとas the resultの違いついて、本Chapterの冒頭で次のように解説されています。

・as a resultは、「何らかの結果として現れる状況」に対して使用される。
・as the resultは、「より具体的な形態をとるもの(たとえば数式など)」に対して使用される。

さらに、この違いについて次のように解説されています。

この違いは定冠詞と不定冠詞の違いに起因する。つまり、theは考察されている結果が唯一であり、aはそれが唯一でないという意味を示すからである。一般に、as the resultは、論じられている結果が質的、抽象的な内容ではなく、むしろ明白に指定できる内容である場合に用いられる。なぜなら一般に、質的、抽象的な事柄は、限定、あるいは定義しにくいものなので、唯一に特徴付けられないのが通常だからである。

<例文(1)> As a result of our investigation, we can intuitively understand the behavior near the two point sources.

例文(1)において、”result”は「我々が直感的な理解を持つ状態になっていること」を意味しており、このような状態ははっきりと定義できないために”as a result”となっており、ここで”as the result”はふさわしくない、と解説されています。

また、ここで”result”自体は明示されておらず、間接的に説明されているだけになっていることも注目すべき点であると解説されています。

<例文(2)> We thus obtain the relation g = a2/3 as the result of our analysis.

例文(2)において、”result”はg = a2/3自体であり、この例のように”result”が何かはっきり定義された量、式、データを指す場合に”as the result”が使用される、と解説されています。

ここで”as a result”を使用すると、”result”が意味するのはg = a2/3ではなく、”we”がこの等式を導き出したことのようになってしまい不自然である、と解説されています。

<誤用例>

as a resultとas the resultの誤用として最も多く見られる例として、as a resultが適切であるにもかかわらずas the resultを使用している文章が紹介されています。

[3] Due to the entropic effect, the polymer tends to occupy a large volume and moves to the curved region of the membrane. As the result, the flat membrane becomes unstable.

[4] Here, h ≡ 0 is no longer a solution of (4.3), and the second solution is selected. As the result, the solutions of (4.4) and (4.5) differ only by an additive constant.

[3]において、”result”は平らな膜が不安定であるという「状態」を示しており、[4]において、”result”は(4.4)と(4.5)がある付加定数でしか異ならないという状況を示している、と解説されています。

(※本記事は、判例(英文法だけでなく特許明細書の記載内容など様々な証拠を考慮して判断される)とは相容れない部分がある可能性があります。本記事は、純粋に英文法の側面から見た適切な英語表現を考えていくことを目的としています。)

『科学論文の英語用法百科』について

学術論文における英作文についての解説書シリーズ。現在、「第1編 よく誤用される単語と表現」と「第2編 冠詞用法」が出版されている。

筆者は、9年間にわたって、日本人学者によって書かれた約2,000本の理工学系論文を校閲してきた。その間、「日本人の書く英語」に慣れていく中で、日本人特有の誤りが何度も論文中に繰り返されることに気付いた。誤りの頻度は、その英語についての誤解がかなり広く(場合によってほぼ普遍的に)日本人の間に浸透していることを反映しているだろう。そのような根深く定着している誤りに焦点を当て、誤りの根底にある英語についての誤解をさぐり、解説することがシリーズの基本的な方針になっている。(第1編「序文」より)

第1編 よく誤用される単語と表現

シリーズの第一巻となる本書では、日本人にとって使い方が特に理解しにくい単語や表現を扱っている。

第2編 冠詞用法

冠詞についての誤解が原因となる日本人学者の論文に見られる誤りの多さ、またその誤りに起因する意味上の問題の深刻さがゆえに、当科学英語シリーズにおいて冠詞が優先度の高いテーマとなり、この本を第二編とすることにした。(p.1)


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