「wherein」節

特許特有の表現の一つに「wherein」節がある。使いやすい表現であるため、USEP等現在多くの独立クレーム・従属クレームで頻繁に用いられている。

しかしながらUS特許出願では、独立クレームに「wherein」節を使用すべきではない、という声も聞かれる。「wherein」節を独立クレームで使用すると特に限定されることになる、という声も聞かれる。

独立クレームに「wherein」節を使用すべきでないとする理由が明確でないため調べてみると、以下の様な背景が見えてきた。

① クレームは明確な表現を用いて記載することが要求されているが(MPEP 2100, Section 2173等)、USでは、「A comprising B名詞節;C名詞節;and D名詞節」というように、名詞節を用いてクレームを表現するのが一般的であった(特許英語通信文と英文明細書作成へのガイド(12等)。

 wherein」節は元々、特許的なウェートの低いオプション的内容を示す表現としてUSでは用いられていた。そのため、クレームを特に限定しない表現として用いられていたMPEP 2100, Section 2111.04等)。例えば、「A comprising B名詞節;C名詞節;and D名詞節, wherein EFする」という独立クレームである場合、「A comprising B名詞節;C名詞節;and D名詞節」という独立クレーム1と「A according to claim 1, wherein EFする」という従属クレーム2とが存在するかのような曖昧な様相を見せていたようである。

しかしながら、時代の流れとともに、グローバルスタンダードとともに、wherein」節に対する特許的ウェートが認められるようになり(Griffin v. Bertina等)、USの独立クレームでも普通に「wherein」節が使用されるようになり(MPEP 2100, Section 2173.05等)、現在我々がUS特許で見ているごとく「wherein」節が多くの独立クレーム・従属クレームで頻繁に用いられるようになった模様である。現在のUS特許審査実務に於いても、独立クレームの「wherein」節に記載された内容が無視されるという声は聞かない。

以上のを考慮した場合、伝統的なUSのクレーム形式を重んじるのであれば、独立クレームに「wherein」節を使用しない方が良いように思われる。そうでないのであれば、独立クレームに「wherein」節を使用しても良いように思われる。どちらの形式を選択した場合であっても、クレームに記載すれば権利範囲が限定されようになる、ということであろう。

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