"distinguish"と"over":特許中間処理文書における「差異」の表現法

特許実務において、「差異」という言葉がよく使われます。特に、中間処理文書でこの言葉がよく見られます。「差異」とは、本発明と先行技術(引例)との間の違いを示し、特許査定において非常に重要な要素です。単なる違いではなく、本発明が先行技術に比べて優れている点、つまり特許性が認められるような違いを意味します。

英語では、「差異」は一般的に"difference"と訳されますが、特許実務の文脈では、上記の意味を適切に伝えるために、「超える」という意味の"over"を使い、そして多くはこれを"distinguish"と組み合わせて使用し、本発明と先行技術との差異を表現することが一般的です。

たとえば、以下のような文があります。

If the examiner is convinced that issues raised in the Office Action had been resolved, such as amended claims distinguishing over the prior art of record, a patent may issue.
https://bltg-ip.com/opportunities-for-obtaining-patent-claims-from-a-single-u-s-patent-application/

また、次の例文のように、"distinguish"、"over"とともに"patentably"が使用されることがあり、これによって差異が特許法上の基準を満たすものであることが示唆されています。

We recommend amending the independent claim to include at least one feature that patentably distinguishes over the cited reference.
The Examiner noted that, for the application to proceed, the applicant must demonstrate how claim 1 is patentably distinguishable over the cited reference.

このように、本発明と先行技術との比較という文脈では"over"が使われることが多いですが、単にある発明と別の発明との違いを表す場合は、"from"が使われることが多いように思われます。

Because these two claims are so similar, we must look to see if there is anything to distinguish claim 1 of the '989 patent from claim 1 of the '569 patent.
https://casetext.com/case/georgia-pacific-corp-v-us-gypsum-co-2

これらの例文では、「差異」という日本語に対して"distinguish"という動詞を使っていますが、現地代理人への指示書などの中間処理文書では、例えば「この差異を強調してください」のように「差異」が名詞として使われることが大半です。この文章を英訳する際は、単純に"difference"を使うか、"distinguish"に対応する"distinction"を使って"Please emphasize this distinction."などとすることが考えられます。また、「差異」は「特徴」と言い換えることができる場合があることから、"feature"という言葉を使って"Please emphasize the feature that distinguishes over the cited reference."とすることも考えられます。

以上、特許実務における「差異」は、本発明が先行技術に比べてどのように優れているかを示し、そのために英語では"distinguish"と"over"を使って表現するのが一般的です。また、"patentably"をこれらと組み合わせることで、その差異が特許法上の基準を満たしていることをさらに強調することもあります。

-知財英語情報, 英文明細書マニュアル

© BPT - Beikoku Patent Translation