Episode 1: Is Priority Really That Important?
シーン紹介
東西電機工業株式会社(Tozai Electric Works Co., Ltd.)は、東京都品川区に本社を置く電子部品メーカーです。このシリーズは、主にその知的財産部が舞台です。
今回は、知的財産部の会議室。今年4月10日に日本で出願したセンサーの発明を、米国にも出願する準備をしています。リード弁護士がオンラインで参加しています。
登場人物
- 佐藤 正樹(Masaki Sato):東西電機工業 知的財産部。国内外の出願を長く担当してきたベテラン。真顔で皮肉を言うが、後輩の質問にはきちんと付き合う。
- 田中 結衣(Yui Tanaka):東西電機工業 知的財産部(入社3年目、知財部1年目)。特許実務を勉強中。まじめで、言葉を文字どおりに受け取ってしまうことがある。
- Michael Reed(マイケル・リード):米国特許弁護士。Reed & Holt LLP(バージニア州)。前向きで楽観的。時差のため、日本との会議にはよく深夜や早朝から参加する。
優先権(priority)とは?
- パリ条約にもとづく制度です。第一国出願の日から12か月以内(優先期間)に他の同盟国に出願すれば、新規性などの判断について、第一国出願の日に出願したものとして扱われます。
- 米国では、米国出願において、日本の出願にもとづく優先権を主張する手続きが必要です。
- 例:2026年4月10日に日本で出願した場合、米国出願の期限は2027年4月10日です。同日は土曜日のため、翌営業日の4月12日(月)に出願しても期限内となります(MPEP 213.03)。
- 優先日(4月10日)より後に他社が類似製品を発表したり、論文を公表したりしても、それらは先行技術として引用されません。ただし、日本の出願に記載された内容に限ります。
実践ダイアログ:優先権ってそんなに重要なんですか?(Is Priority Really That Important?)
[場所:東西電機工業 本社 知的財産部 会議室]
Tanaka:
Why is it so important to claim priority from our Japanese application?
(日本の出願にもとづいて優先権を主張するのは、なぜそんなに大事なんですか?)
Sato:
Because with priority, our US application is treated as if it were filed on April 10, the day we filed in Japan.
(優先権があれば、米国の出願は、日本で出願した4月10日に出したものとして扱われるからです。)
Reed:
So if a competitor shows a similar product in May, it can't be used against you, as long as you file in the US within twelve months.
(ですから、12か月以内に米国に出願しさえすれば、もし競合他社が5月に似た製品を発表しても、御社に不利な証拠としては使えません。)
Sato:
It's already in our docketing system.
(もう期限管理システムに入れてあります。)
Tanaka:
Good, I'll keep an eye on it too.
(よかった。私も気をつけて見ておきます。)
Key Phrases
- be treated as if ...: 〜であるかのように扱われる。ここでは実際に4月10日に出したわけではないので、it were filed と過去形を使っています。
- be used against ...: 〜に不利に使われる。特許では、先に公開された文献などが、発明は新しくない、または容易に思いつけたと示す証拠として使われることを指します。
- as long as ...: 〜しさえすれば、〜する限り。条件が未来のことでも、as long as の後は現在形を使います。
- docketing system: 期限管理システム。法律上の手続きの期限を記録し、管理するためのソフトウェア。
- keep an eye on ...: 〜に気を配って見ておく。
実践ダイアログの英語音声
この会話を使った練習方法の一例については、Episode 0:シャドーイングを使った練習方法の一例をご覧ください。
本コンテンツの登場人物・企業・団体・会話内容等はすべて架空のものであり、実在の人物・企業・団体等とは一切関係ありません。
本コンテンツは、特許実務や英語表現の学習を目的として構成されたものであり、実際の特許手続き等に関する判断は、必ず専門の弁理士・弁護士などの助言を受けてください。
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