特許英語を話そう!Episode 4:補正って自由にできるの?

Episode 4: Can We Amend This Claim Like That?

シーン紹介

東西電機工業株式会社の知的財産部。

前回のミーティングで102条・103条拒絶に対する応答の方針を確認した佐藤たちは、補正案の具体的な内容を詰めていく段階に入りました。

田中が補正のルールについて素朴な疑問を投げかけたことから、実務経験のある佐藤と、弁理士の山本、米国弁護士のリードがそれぞれの視点で補正に関する注意点を確認していきます。

登場人物紹介

  • 佐藤 正樹(Masaki Sato)
    東西電機工業 知的財産部。国内外出願の実務経験が豊富。
  • 田中 結衣(Yui Tanaka)
    東西電機工業 知的財産部。入社3年目。特許実務を勉強中。
  • 山本 雅子(Masako Yamamoto)
    日本弁理士。山本国際特許事務所所属。国内外出願を多数扱う。
  • Michael Reed(マイケル・リード)
    米国特許弁護士。バージニア州の知財法律事務所(Reed & Holt LLP)所属。

クレーム補正

クレーム補正を行う際には、クレームの内容が元の明細書(原出願)に記載されている必要があります。

米国特許法112条の「記載要件(written description requirement)」により、明細書に記載されていない事項をクレームに追加することは認められていません。もしそのルールに違反すれば、新たな拒絶理由を受けることになります。

このダイアログでは、拒絶対応としてクレーム補正を検討する中で、補正の許容範囲と注意点について会話が展開されます。

実践ダイアログ

[場所:東西電機工業本社 知的財産部 会議室]

Tanaka:
Excuse me, Mr. Sato. I’ve been looking at this draft amendment. Can we just add these features to overcome the rejection?
(佐藤さん、この補正案を見ていて思ったんですが…拒絶を回避するために、こういう要素を足すだけで大丈夫なんでしょうか?)

Sato:
Good question. We have to be careful. In the U.S., we can only amend the claims based on what’s already described in the original specification.
(いい質問ですね。アメリカでは、補正は原出願に記載されている内容に基づいて行わなければいけません。)

Yamamoto:
Exactly. That’s the written description requirement. If we add something new, the Examiner might issue a new rejection under §112.
(その通りです。いわゆる記載要件ですね。新しい内容を足してしまうと、112条の拒絶を受ける可能性があります。)

Reed:
Right. So before we submit the amendment, we always double-check: "Is this wording clearly supported by the original spec?"
(そうですね。だから、補正を提出する前には必ず確認します。「この表現は元の明細書にちゃんと書かれているか?」と。)

Tanaka:
Got it. So we’re not allowed to add anything that’s not originally there, even if it seems obvious?
(なるほど。じゃあ、もともと明細書に書かれていないことは、たとえ当然のことでも追加しちゃダメなんですね?)

Yamamoto:
Exactly. Obvious or not, it has to be explicitly disclosed.
(そうなんです。当然かどうかに関係なく、明細書に明確に記載されていなければいけません。)

Sato:
Thanks for bringing it up, Ms. Tanaka. These details are easy to miss, but they can make or break the application.
(ご指摘ありがとうございます、田中さん。こういう細かい点は見落としやすいですが、出願の成否に大きく関わることもあるので大事ですね。)

語注・重要表現

  • amend the claims:クレームを補正する
  • written description requirement:記載要件(112条)
  • original spec (specification):原出願の明細書
  • double-check:再確認する(丁寧な確認)
  • explicitly disclosed:明確に開示されている
  • bring it up:話題にする、提起する(問題や質問などを持ち出す)
  • make or break:(成功と失敗を)分ける要因になる

実践ダイアログの英語音声


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本コンテンツは、特許実務や英語表現の学習を目的として構成されたものであり、実際の特許手続き等に関する判断は、必ず専門の弁理士・弁護士などの助言を受けてください。
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